三菱 新型デリカミニは先代と顔がほぼ同じ? フルモデルチェンジなのにデザインを「変えなかった」納得の理由
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂 幸正
2025年9月にフルモデルチェンジした三菱 新型デリカミニ。しかし「デザインが先代とあまり変わらない?」と感じた方も多いのではないでしょうか。
デザインをあえて大きく変えなかったことこそ、新型デリカミニの最大のポイントです。一見同じに見える外観に隠された狙いについて新旧比較を通じて、その魅力と開発陣の巧みな戦略をカーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが徹底解説します。
なぜ変わらない? 三菱 新型デリカミニのデザインに隠された狙い
2025年9月18日、三菱は人気の軽スーパーハイトワゴン デリカミニのフルモデルチェンジを正式に発表しました。
多くのファンが注目する中、明らかになった新型モデルのデザインは、意外にも先代のイメージを色濃く残すものでした。
市場では、軽自動車全体の販売が好調で、特にデリカミニが属する全高1700mm超のスライドドア付きスーパーハイトワゴンは激戦区です。
さらに小型/普通車市場ではSUVが人気を集めており、この2つの魅力を融合させたデリカミニは、登場以来、三菱を象徴する一台となりました。
これほどの成功を収めた車種が、なぜフルモデルチェンジでデザインを大きく変えなかったのでしょうか。
そこには、人気の理由を深く理解し、ブランドをさらに“深化”させようという三菱の明確な狙いが隠されていました。この記事では、その理由をデザインの細部から紐解いていきます。
新旧比較! 新型デリカミニのデザインはどこが変わった?
「新型デリカミニは、フルモデルチェンジをしたのに外観があまり変化していない」。そう感じた方も多いでしょう。しかし、新旧を注意深く見比べると、細部にわたり着実な進化が見て取れます。
キープコンセプトのフロントマスク! 人気の理由は「表情」
車の印象を決定づけるフロントマスク。新型デリカミニは、一見すると先代からほとんど変わっていないように見えます。
LEDを用いた半円形のポジションランプが作り出す、まるでキャラクターのような愛嬌のある表情は、新旧モデルに共通する最大の特徴です。
グリル中央に三菱のスリーダイヤエンブレムを置き、その下に「DELICA」のロゴを配する基本レイアウトも踏襲されました。
しかし、細部は明確に異なります。新型はボンネットを水平基調とし、フロントマスクに厚みを持たせました。
左右のヘッドランプをつなぐブラックのグリルはよりシンプルな造形となり、バンパー下部のアクセントも、先代のグレーからボディ同色へと変更されています。
こうした細かな変更は、フロントマスク全体の印象をよりシンプルに洗練させるためのものです。結果として、デリカミニのアイデンティティである半円形のポジションランプの表情がより一層際立ち、一目で「デリカミニらしさ」が伝わるデザインへと昇華されているのです。
タフさを増したサイドビューと絶妙なフェンダーデザイン
ボディサイドのデザインにも、新型ならではの進化が見られます。デリカミニは日産 ルークスとプラットフォーム(車台)を共有していますが、サイドビューにも独自の工夫が凝らされています。
新型ではフロントウィンドウの角度をより立てることで、室内空間の広さを予感させるスタイルになりました。また、サイドのキャラクターライン(ボディ側面を走るプレスライン)はドアハンドルの位置で一度持ち上げるような躍動感のあるデザインに変更されています。
特に注目したいのが、巧みにデザインされた前後フェンダーです。軽自動車の全幅は1475mmという規格の制約がありますが、新型はフェンダーの形状を工夫することで、タイヤが収まるホイールハウスが外側へ張り出しているかのような力強さを演出しています。
この絶妙な造形は、限られたサイズの中で最大限にタフさを表現する開発陣のこだわりを感じさせます。
シンプルさで一体感を高めたリアデザイン
ボディ背面のリアデザインも、フロントと同様にシンプルさを追求することで、より洗練された印象になりました。
縦長のテールランプという基本的なレイアウトは共通ですが、「DELICA」のロゴが入る中央部分は、先代で採用されていた別色のガーニッシュからボディ同色へと変更されています。
これにより、ボディ全体の一体感が高まり、よりクリーンでモダンなリアビューを形成しています。
「キープコンセプト」が開発背景にある2つの理由
これほど細部に手を入れていながら、なぜ全体としては「キープコンセプト」なのでしょうか。その背景には、開発陣が語る2つの明確な理由がありました。
理由1:先代モデルの圧倒的な成功と「デリ丸。」効果
最大の理由は、先代モデルのデザインが市場で絶大な支持を得たことです。
開発者によると「マスコットキャラクターの『デリ丸。』も大変好評でした」とのことで、デリカミニは発売からわずかな期間で、三菱ブランドを牽引するほどの人気車種となりました。
このような状況でデザインを大きく変更することは、築き上げた人気を失うリスクを伴います。そこで三菱は、好評を得た基本デザインと親しみやすい雰囲気をあえて変えず、細部を磨き上げることで魅力をさらに高める「正常進化」の道を選びました。
特に人気の源泉である“あの表情”を際立たせることに注力したのです。
理由2:「デリカミニ」ブランドの早期定着という戦略
デリカミニの誕生の経緯も、今回のデザイン戦略に影響を与えています。
先代デリカミニは、もともと2020年に発売された「eKクロススペース」をベースに、外観に大幅な改良を加えて2023年に登場したモデルです。
つまり、「デリカミニ」という名前の車種としては、今回のフルモデルチェンジまでに2年少々しか経過していません。
ブランドを市場にしっかりと定着させるためには、一貫したデザインイメージを継続することが極めて重要です。プラットフォームを共有する日産 ルークスのフルモデルチェンジに合わせる必要がありながらも、デリカミニとしてはブランドイメージを固める段階にある。こうした事情から、フロントマスクの印象は変えずに、他の部分で進化を示すという絶妙なバランスが取られたのです。
実車のデザインはいつ確認できる?【2025年10月最新情報】
この記事で解説したデザインを実車で確かめたい方も多いでしょう。
全国の三菱販売店では、2025年11月上旬から中旬にかけて試乗車が配備される見込みです。ボンネットの厚みやフェンダーの張り出しといった、写真だけでは伝わりにくい立体的な造形や質感を確認できる絶好の機会となります。
なお、正式な発売日は2025年10月29日(水)で、10月上旬時点での納期は約3か月と比較的短めです。しかし、試乗が始まると注文が増え、納期が長期化する可能性もあります。
購入を検討しており、デザインを自分の目で確かめたい方は、早めに販売店へ問い合わせてみることをおすすめします。
まとめ
フルモデルチェンジの際は、新しさをアピールするためにデザインを大きく変えるのが一般的です。しかし、新型デリカミニはあえて「変えない」という選択をしました。
それは、先代モデルで確立した「SUVらしいタフネス」と「キャラクターのような愛嬌」というデザインが、すでに完成の域に達していたからです。
市場の評価という成功体験を得たことで、開発における迷いがなくなり、新型ではその魅力をよりストレートに、より力強く表現することが可能になりました。
デリカミニの成功は、デザインが車の価値をいかに高めるかを示す好例です。今回の新型のデザインは、その価値を確固たるものにする、「変えない勇気」が生んだ新たな一手と言えるでしょう。
新型デリカミニの内外装デザインについてさらに詳しく見たい方は下記の記事をチェック!
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【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:茂呂 幸正】
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