メルセデス・ベンツ SLクラス 試乗レポート

メルセデス・ベンツ SLクラス 試乗レポート
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バリオルーフ搭載のメルセデス・ベンツ量産スポーツカーの最高峰

メルセデス・ベンツがはじめてSLという車名を市販車に使ったのは、1954年のこと。乗降用のドアが上に開くガルウィングタイプのスポーツカーだった。ボディのフレームに鋼管を使用したことで、ドアの敷居が高くなり、ノーマルのドアが取り付けられなかったのだ。このガルウィングのSLはいまでも名車として扱われている。2代目は1957年の300SLロードスター。これはガルウィングSLのルーフを切り取ったモデルだった。

現行のSLは01年にデビューした5台目にあたる。特徴はルーフ。バリオルーフと名付けられたこのルーフはメタルのルーフが開閉する。いまでこそ、各国のオープンカーに採用されている形状だが、01年の採用は早かった。

試乗したのは06年11月にマイナーチェンジした最新モデル。SL550は新世代のV8、5.5Lエンジンを新たに搭載している。このほかにV6、3.5LのSL350、V12、5.5LターボのSL600、さらにV8、6.2LのSL55AMGと、V12、6LのSL65AMGがある。

伝統のスリーポインテッドスターエンブレム

スタイリングの基本は、01年にデビューしたときから大きな変更はない。大きなフロントグリルの中央にスリーポインテッドスターのエムブレムが入るのは初代SLからの伝統。同じく、ボンネット上の2本の盛り上がりや空気取り入れ口、さらにフロントフェンダー横の空気排出ルーバーも、初代SLからの特徴になる。

ボディサイズは全長約4.5m、全幅約1.8m。長さは日産スカイラインクーペとフェアレディZの中間、幅は両車よりも15mmほど広いだけ。日本の道でももて余すことはない。定員は2名。リアにはフタ付の小物入れと、棚状の空間が設けられている。

インテリアはドライバーの目の前に大径のスピードメーターとエンジン回転計。クロノメーター風デザインの円形メーターは50年代のスポーツカーのイメージ。シートは本革を採用しており、背中のホールドはよかった。ドライビングポジションもよい。

新世代V8 5.5リッターDOHCを搭載するSL550

SL550のエンジンはV8のDOHC、5.5L。すでにCLやGLにも用いられている新世代エンジン。SL用は387馬力、54.0kg-mという性能。パドルシフト付の7速ATはメルセデス・ベンツの最新ミッションになる。ミッションはS/M/Cの3モードをチョイスできる。

Dレンジでスタートする。トルクは2000回転から、かなり太い。V8エンジンだが、軽快に6000回転まで上昇する。エンジン音はドッドッドッというアメリカンV8エンジン的。低く轟くサウンドだ。迫力はサウンドだけではない。動力性能もDレンジで0→100km/hを5秒台で走り切る。7速ATをマニュアルシフトにすればさらに速いかもしれないが、Dレンジでも十分。しかも、運転席からの見切りがよいので、コーナーを攻めることができる。とくに左ハンドルの左コーナーの見通しがよい。ブレーキやハンドルフィールはすべて重く、乗り心地はややかためだ。

贅沢な乗り物とは、このようなクルマを言うのだろう

メルセデス・ベンツの量産スポーツカーの最高峰にあるSLシリーズは、車両本体価格もベーシックなSL350ですら1130万円する。試乗したSL550は1500万円。最高級のSL65AMGは、2800万円になる。

決して安い買い物ではないが、このクルマの魅力は重厚感のある乗り心地とハンドリング、そして信じられない加速性能が、簡単に手に入ること。しかも安心感がある。ボディの包まれ感があるのだ。

最新のCLなどと乗りくらべてみると、SLはひと世代前のモデルなので、乗り心地やハンドリングの洗練度は、正直に言って若干低い。しかし、それがスパルタンなスポーツカーの雰囲気を醸し出しているのだ。

ハードトップを操作するのはセンターコンソールのレバーを引くだけ。しかもクルマが低速で動いているときでも、開閉ができるので、とても便利だった。

贅沢な乗り物というのは、このクルマのようなクルマをいうのだろう。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

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