メルセデス・ベンツ CLクラス 海外試乗レポート(1/3)
- 筆者: 石川 真禧照
- カメラマン:ダイムラー・クライスラー日本株式会社
最上級セダンのSクラスをベースにしたフラッグシップクーペ
06年9月末から開催されたフランス・パリのモーターショーで、メルセデス・ベンツはCLクラスのニューモデルを発表した。CLクラスというのはメルセデス・ベンツの最上級セダン、Sクラスをベースにした2ドアクーペのこと。Sクラスセダンは全長5.2mのクルマだが、それを2ドアクーペに仕立てているのだ。
国産車のイメージではトヨタ センチュリーを2ドアクーペにしたようなイメージ。いかに高級なクーペかがわかる。同時にユーザーもごく限られた、ぜい沢な人たちということもわかってもらえるだろう。メルセデス・ベンツはこのような超高級2ドアクーペを1950年代からカタログモデルとして生産している。
最初のモデルは1952年の300SC(W188=開発コード番号)だった。このクルマは1958年までごく少量がハンドメイクされた。その車両価格は、有名なガルウィングドアのスポーツカー300SLよりも30%以上も高額で、世界の富豪たちのガレージに収められた。
この300SCのイメージを生かし、もう少し生産台数を多くしたのが、1956年にデビューした220S/SE(W180/128)だった。この2ドアクーペは60年までに生産され、1961年には、220SE(W111/112)へと発展したのだ。タテ目のヘッドライトを持つこの2ドアクーペは、美しいボディが欧米で人気になった。
その後、メルセデス・ベンツはEクラスをベースにした2ドアクーペを生産していたが、1981年、再びSクラスをベースにした2ドアを登場させた。SEC(C126)は、91年まで生産された。このクルマは日本にもかなりの台数が入っているので、いまでも時々、美しく、バランスのとれた姿を見ることができる。その後、1992年からのSEC(C140)、99年にはCL(C215)と続いている。
そして、今回の最新CL(C216)だ。最初に書いたように、ベースになったのはSクラスセダン。従ってバリエーションもCL500とCL600の2グレードが、まずラインナップした。
日本での発売は、年内ということだが、ワールドプレミアデビューを機に、プレス試乗会が行なわれた。場所はスペインの地中海に浮かぶマヨルカ島。沖縄本島の約3倍の面積の島は1年のうち300日が晴天という楽天。島には高速道路から海抜1000m級の山岳地帯と、バラエティに富んだ道が待ちかまえていた。
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