「ロータリーエンジン50周年」が展示テーマのマツダに“本気”を見た!【オートモビルカウンシル2017】(1/2)
- 筆者: 遠藤 イヅル
- カメラマン:小林岳夫
マツダのテーマはロータリーエンジン50周年
ヘリテージカーの魅力を紹介するとともに自動車文化を語るイベント「AUTOMOBILE COUNCIL(オートモビルカウンシル)2017」が、8月4日(金)~8月6日(日)にかけて千葉県千葉市の幕張メッセで開催された。
オートモビルカウンシルは「CLASSIC MEETS MODERN」をメインテーマとしてヘリテージカーの展示(と販売)を主軸とするイベントだが、海外で開催される大規模なクラシックカーイベントでは大手自動車メーカーも出展を行っており、オートモビルカウンシルでも国内主要自動車メーカーが参加していることも特徴である。
今回参加した5メーカーのひとつであるマツダは「飽くなき挑戦の歴史 -ロータリーエンジン誕生50周年-」をテーマにした展示を行った。
これは、今年2017年がロータリーエンジン搭載車「コスモスポーツ」の発売開始50年を迎えることによるものだ。
マツダの展示に見る「本気」
各メーカーが持つそれぞれのフィロソフィーと魅力を伝え、ヘリテージカーに対する理解を深めることで、日本における自動車文化の新たな創生を図る。
これがオートモビルカウンシル開催の主旨なのだが、マツダの展示はこの主旨への賛同度、そしてその「本気」度がとても高いように思えた。
黒で統一されたブースにライトでクルマを鮮やかに浮かび上がらせるというシックで華やかな雰囲気は、モーターショーレベルのような作り込みだった。展示しているクルマもテーマにしっかりと沿い、クルマ好きも「ここでこれを持ってくるのか!」と思わず唸る内容になっていた。
コスモスポーツの「プロトタイプ」に注目!
主な展示内容は、「コスモスポーツ(プロトタイプ)」、「コスモスポーツ(1967年・前期型)」、「ファミリアプレスト ロータリークーペ(1970年)」、「ファミリアプレスト ロータリークーペ(1970年スパ・フランコルシャン24時間レース参加車仕様)、「サバンナRX−7(1978年・初代、SA22C・前期型)」、「787B(1991年のル・マン24時間レースで総合優勝した55号車)」「10A型ロータリーエンジン(1967年)」となっており、ロータリーエンジン50周年を飾るにふさわしい陣容だった。
マツダのヘリテージカーの代表・コスモスポーツが2台も展示されたことも驚きなのだが、そのうち1台がプロトタイプ(試作車)であることにさらに驚かされた。
海外のクラシックカーショーのメーカーブースでは、このようなメーカー自身でないと持ち得ないような開発途上のクルマや、お蔵入りになったプロトタイプが置かれて注目を集めることがあり、コスモスポーツ試作車展示もメーカーブースならではと言えるだろう。
「ロータリゼーション」でファミリアにもロータリーエンジンを搭載!
また、個人的に嬉しかったのが、ファミリア ロータリークーペが展示されていたことだった。
マツダはコスモスポーツでロータリーエンジンの実用化に成功したのち、「ロータリゼーション」という言葉を掲げて大衆乗用車にまでロータリーエンジンの普及を目指した。
マツダはロータリーエンジン搭載車、第2弾として1967年登場の2代目ファミリアを選び、1968年に「ファミリア ロータリークーペ」を発売した。10A型ロータリーエンジンはコスモスポーツのそれをデチューンしたものだが、それでも最高出力は100ps(グロス)を発生。小さく軽い車体には必要充分。強烈すぎるパワーを与えていた。
2代目ファミリアは1970年に車体幅を拡大した「プレストシリーズ」に発展。この際も、ロータリーエンジン搭載車がもちろんラインアップされていた。そのひとつが今回展示されたファミリアプレスト ロータリークーペだ。
ロータリーエンジンというと、RX-7やRX-8などスポーツカーのイメージが強いが、1990年代までは高級乗用車ルーチェ(コスモ)に、さらに遡ると1970年代にはファミリア、カペラ、サバンナなどの小型~中型クラスのモデルのセダンやワゴンにまでロータリーエンジン搭載車が存在していた(※ちなみにマイクロバスにもあった!)という事実は、ロータリーエンジンの歴史を語る上で大切なトピックだ。ファミリアのロータリー車が不可欠な存在としてしっかりと展示内容に選ばれていたことを素晴らしいと思った。
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