マツダ CX-30 新型車解説│高い商品力で激戦のCセグメントに真っ向勝負!(2/2)

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3種類のパワートレインを用意

CX-30のパワートレインは、ガソリンがスカイアクティブGの2.0リッターNA(156ps/199Nm)、ディーゼルがスカイアクティブDの1.8リッターターボ(116ps/270Nm)、そしてガソリン圧縮着火エンジンのスカイアクティブX(180ps/224Nm:欧州仕様)の3タイプを用意する。トランスミッションは6速ATに加え、ガソリンとスカイアクティブXには6速MTも設定される。

駆動方式はFF/AWDが選択可能。AWDはクルマの27個のセンサーを活用、ドライバーが感じ取れないわずかなタイヤスリップまでリアルタイムでモニタリング。刻々と変化する路面状況に合わせ、後輪に適切な駆動力を瞬時に演算(1秒間に200回)。更に「スリップ予兆制御」の採用で、どんな道でも“滑らせない”走りを実現する「i-ACTIV AWD」を継承するが、新型CX-30では悪路で駆動力を高める「オフロードトラクションアシスト」が追加されている。

価格と性能のバランスから予想するとディーゼルが優勢か!?

どのモデルも現時点では未試乗となるが、僕はすでに欧州向けのガソリン/ディーゼルには試乗済み。欧州仕様のガソリンは2.0リッター+マイルドハイブリッド(123ps/213Nm:馬力課税対応の低出力ユニットと日本仕様とはスペックは異なるので参考程度となる)で、動力性能は必要十分だが、欲を言うと「もう少しパンチがあれば……」と言う印象だった。その辺りが日本仕様の高出力版のエンジンで解消されていることを期待したい。

ディーゼルは日本仕様と同スペックだが、道路環境や速度域に合わせてギア比が異なる(欧州仕様のほうがハイギアード)。巡航してしまえば全く問題ないが、日常域で最も使う1500~2000rpmのトルクはディーゼルとは思えない薄い上にターボラグも大きめで、ドライバビリティの悪さが少々気になった。その印象がギア比の変更でどのように変わるのかが気になる所である。

ちなみにスカイアクティブXはMAZDA3(欧州仕様)で試乗済み。応答性の良さは「ディーゼル」、フラットかつ自然なトルク感は「ライトプレッシャーターボ」、レッドゾーンの6500rpmまでスッキリと綺麗に吹け上がるレスポンスの良さは「ガソリンNA」と、様々なエンジンの長所が融合しており、マツダの目指す「滑らかな走り」を体現するユニットとなっているが、MAZDA3+50kgの車両重量が走りにどのような違いを生むのか気になる所である。

現時点では「これがベスト!!」とは言えないが、価格と性能のバランス……と言う意味で言うと、ディーゼルが優勢かもしれない。

CX-30に搭載される気になる新世代技術や先進安全技術

フットワーク系はMAZDA3から全面採用された新世代車両構造技術「スカイアクティブビークルアーキテクチャ」を踏襲しながら、新型CX-30用に最適化。ヒップポイントや重心の高さなど基本素性が不利なクロスオーバーながら、パッセンジャーカーのMAZDA3と変わらない走りのフィーリングや静粛性を目指したと言う。

欧州仕様に乗って新世代車両構造技術「スカイアクティブビークルアーキテクチャ」から感じたのは、MAZDA3は走り始めの一転がりからクルマの動きの滑らかさや目線がブレないフラット感の高い乗り心地、速度域や走るステージを問わず、クルマの動きと人間の感覚にズレがなく滑らかな挙動と違和感がないハンドリングを実現しているということ。CX-30は、目線が高い上に広いガラスエリアと死角の少なさによる解放感と、MAZDA3よりもクルマの動きが大きく、結果的にマツダの目指す走り[=クルマの挙動(=ヨー、ロール、ピッチ)を総合的にコントロールできれば積極的に動かしたほうがいい]に対して有利に働いていると感じた。

もちろん、先進安全支援技術群「i-ACTIVSENSE」は、自転車の検知が可能となったスマート・ブレーキ・サポート(SBS)やレーンキープ・アシスト・システム(LAS)、後方からの車両接近を通知するブラインド・スポット・モニタリング(BSM)&後側方接近車両検知(RCTA)、マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)、ドライバーの眠気やわき見を検知するドライバー・モニタリングなど最新スペックのアイテムを全グレードに標準装備するほか、高速道路での渋滞時に疲労軽減をサポートするクルージング&トラフィック・サポート(CTS)なども一部モデルに設定する。

新型CX-30は、CX-3/CX-5のユーザーを奪ってしまいそう!?

このように、個性豊か(!?)なマツダ車の中でデザインと実用性、そして走りをバランス良く両立させた新型CX-30。一般的には「あれも、これも!!」と欲張ると、性能も個性も薄味になりがちなのだが、そうならなかったのは開発陣の努力の賜物だろう。そういう意味では、マツダの個性を薄めることなく裾野を広げる商品として、販売面でも貢献してくれるはず。

価格は239万2,500円~371万3,600円(消費税10%込)とライバルと比べると決して安くはないが、その値段に見合った満足度はあると思っている。

佐賀氏は「マツダのクロスオーバーラインアップが揃ったので、自分の感性やニーズに合うものを選んで欲しい」と謙遜するが、僕の一番の心配事はCX-30が、CX-3/CX-5のユーザーを奪ってしまいそうな事である……。

[筆者:山本 シンヤ/撮影:森山 良雄]

マツダ 新型CX-30 主要スペック比較表

グレード名

20S PROACTIVE Touring Selection

XD L Package

価格(消費税込み)

2,733,500円

3,305,500円

全長×全幅×全高

4,395mm×1,795mm×1,540mm

4275mm×1765mm×1550mm

ホイールベース

2,655mm

2,655mm

駆動方式

FF

4WD

車両重量

1,400kg

1,530kg

乗車定員

5名

5名

エンジン種類

水冷直列 4気筒 DOHC 16バルブ

水冷直列 4気筒 DOHC 16バルブ 直噴ターボ

総排気量

1,997cc

1,756cc

エンジン最高出力

115kW(156PS)/6,000rpm

85kW(116PS)/4,000rpm

エンジン最大トルク

199Nm(20.3kg・m)/4,000rpm

270Nm(27.5kg・m)/1,600-2,600rpm

トランスミッション

6EC-AT

6EC-AT

使用燃料

レギュラー

軽油

燃料消費率(WLTCモード燃費)

15.4km/L

19.2km/L

燃料消費率(WLTC:市街地)

12.0km/L

16.1km/L

燃料消費率(WLTC:郊外モード)

15.7km/L

19.3km/L

燃料消費率(WLTC:高速道路モード)

17.4km/L

20.9km/L

タイヤサイズ

215/55R18

215/55R18

マツダ/CX-30
マツダ CX-30カタログを見る
新車価格:
255.6万円367.8万円
中古価格:
156.5万円367.6万円
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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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