レクサス IS F CCS-R 試乗レポート/松田秀士(3/4)
- 筆者: 松田 秀士
- カメラマン:島村栄二
ところで、ウェット路面で神経質になるのはブレーキングだが、踏み過ぎればABSがきちんと作動する。その状態でさらに無理やりステアリングを切り込むと、アンダーもオーバーもきちんとVDIMが処理してくれる。
そう!CCS-RにはABSはおろかVDIMまで装備され、スリックタイヤでしっかり機能するようにセッティングされているのだ。
VDIMを採用する理由は、CCSの真ん中のCが「クラブ」であることから、仲間と楽しくサーキット走行をしてほしいという、開発リーダーの矢口氏の意志が込められているからだ。
VDIMの作動によって限界点が分かり、次の周回でドライビングを修正する一つの目安となるのでサーキット走行が楽しくなる。
つまり、行き過ぎたらVDIMの作動があるので、“そこが限界”とドライバーが察知しやすいのだ。
ただし、それらは全く安心してコントロールしてくれる、というほどお任せな安全セッティングではない。
例えば、アクセルの踏みすぎでは最初にはっきりとリアタイヤがスライドしてドリフトのきっかけが始まるが、スピンしそうなレベルまで行くときにしっかり制御してくれる。
この間にドライバーが修正の動作をすれば、挙動の乱れも小さくてすむ。この最初のスライドが肝心で、ここにレーシングドライブの極意が隠されている。
その領域を大きく超えないレベルでコントロールすることがFRのナチュラルなサーキットでの楽しみ方なのだ。
ステアリングだけでなく、右足でクルマをコーナリングさせる楽しさ。つまり、その極意をアマチュアでも楽しんでもらえるように間口を開けているものといえる。
CCS-Rを販売するかどうかはまだ未定とのことだが、こんなに気軽にサーキット走行をこなし、さらにそのままニュルなどのレースイベントにも参加できる車両はぜひとも発売してほしい。
もし、2,000万円以内で発売できるならば日本はおろか、中国など各国から引き合いがあるはずだ。
この記事にコメントする