英国の伝統的スポーツカー「モーガン」が正規輸入元“モーガンカーズ・ジャパン”を発足
- 筆者: 遠藤 イヅル
- カメラマン:遠藤 イヅル
1909年設立の伝統的英国スポーツカーメーカー、モーガン
「モーガン」というスポーツカーの名前や姿を知っている人は多いかもしれない。流麗なフェンダーを持つロングノーズのロードスタースタイルのモーガンはかつてトミカでも商品化されたこともあり、日本のクルマ好きの間でも名前の馴染みは深いだろう。
英国マルヴァーンでスポーツカーを製造している自動車メーカー、モーガン・モーター・カンパニーの設立は1909年と古く、今年で創業109年を迎える。大きな特徴は製法で、アッシュ材(トネリコ)、アルミ、革をメイン素材とした職人による伝統的かつ古き良き時代のままのハンドメイド。しかもクルマのボディの一部にも木製素材が使用されているのだ。その頑なまでの伝統と高い品質、スポーツカーとしての性能の高さやドライビングの愉しさから、世界中に多くのファンを持つメーカーである。ジャガー、ランドローバー、ロールスロイスなど英国自動車メーカーの多くが海外資本下に置かれている中、モーガンは創始者のヘンリー・フレデリック・スタンリー・モーガン(H.F.S. Morgan )、彼の息子ピーター、さらに現在はその息子チャールズが引き継ぐ同族経営を継続。数少なくなった生粋の英国車メーカーという側面も持つ。
82年前に登場(!)の現行車種、モーガン4/4
そんなまさに英国スポーツカーの伝統を今に受け継ぐ「モーガン」を代表する車種が「4/4」だ。
設立間もなく3輪スポーツカーで成功したモーガンは、1936年に4輪スポーツカー市場に進出。4/4は4気筒・4輪を意味する。デビュー当時から1950年までの4/4はフラットタイプの直立したグリルを持っていたシリーズ1だったが、1955年以降のシリーズ2では現在のモデルと同じ丸いグリルと埋め込み式ヘッドライトを備えた姿に進化。以来その姿をほぼ変えずに今なお製造されている。つまり82年前の車種が現役でラインナップされているのだから驚きだ。
ボディはスチール製のラダーフレームにアッシュ材のボディ骨組みを構築、外側にアルミパネルを貼るという構造で、内装もウッドと本革で設えられている。4/4のシリーズ2は生まれてからずっと英国(現欧州)フォード製を搭載しているが、現行モデルもその流れを汲み1.6リッター直4 DOHC16バルブエンジンを積む。古典的なスタイルでありつつ最新のエンジンによる高性能とメンテフリーを実現しているのも嬉しいポイントだ。車重は795kgしかないため、112psのパワーは十分に刺激的である。
日本法人「モーガンカーズ・ジャパン」発足
モーガンは日本でも人気が高く、1960年代から上陸している。1970年からはモーガンオートタカノが、2002年からはモーガンオートイワセが総代理店になって数多くが輸入された。そして2018年4月5日、ケータハムの輸入を行っていたエスシーアイ株式会社はモーガンの正規輸入元として「モーガンカーズ・ジャパン」の発足を発表。全国に8店舗の正規販売代理店を設け、4/4、プラス4、ロードスター、3Wheeler(ホイーラー)の4モデルを発売するほか、部品販売、アフターセールス業務も開始することとなった。
なおエスシーアイ株式会社とロータスの正規輸入元であるエルシーアイ株式会社は、愛知県名古屋市に本社を置き日産やホンダなどのカーディーラーを展開するVTホールディングス株式会社傘下の企業だ。
日本で海外のクルマを走らせるには、日本独自の法規に沿って様々な改造や変更を行わねばならないことはご存知の通り。そうなると正規輸入元による日本向け仕様の購入がマストなのだが、日本に入ってくる台数が年間で1ケタや2ケタだと正規輸入をしているメーカーや代理店も少なく、日本での購入や車検取得には困難が伴う場合も。日本各地に販売店がないことも多く地方での購入が難しい。そのため年産で850台という小さな自動車メーカーであるモーガンの正規輸入元の発足と、東北から九州へと全国に広がるネットワークの確立は嬉しいトピックである。
なお、日本でのモーガン販売で長い実績を誇りモーガンの普及に尽力してきたモーガンオートイワセは、モーガンカーズ・ジャパン正規ディーラーの「モーガン東京」としてこれまで同様モーガンの販売とアフターセールスを継続する。
「モーガンカーズ・ジャパン」発足記念イベントを緑深い明治記念館で開催
そして2018年5月22日、エスシーアイ株式会社は明治記念館(東京都港区)においてモーガンカーズ・ジャパンの発足を記念したイベント「MORGAN CARS JAPAN INTRODUCING」を開催した。
会場となった末広の間には、シルバーのモーガン4/4が美しい庭園をバックに鎮座。明治記念館の荘厳で伝統と格式ある建物は、同じく長い伝統を誇るモーガンにふさわしい雰囲気だった。イベントには各地のモーガン正規代理店の代表者や2つのモーガンオーナーズクラブのメンバーも参加し、詰めかけた多くの取材陣とともに賑やかに行われた。
最初に挨拶を行ったエスシーアイ株式会社の伊藤誠英代表取締役社長は、「ケータハムやロータス販売実績の評価をいただきモーガン社から日本でのインポーターをお任せいただくことになりました。昨今では自動車の電動化、自動運転などの話題が多い中、クルマ好きの方々にこういったクルマを提供し、安心して維持していただける体制をメーカーとディーラー、モーガンのクラブとともに展開できることを嬉しく思います」と語った。
イベントではその後モーガンの歴史のおさらい、そして壇上に立った同社ブランドマネージャーのジャスティン・ガーディナー氏によるモーガンのピッカーズレイロード工場における製造工程の説明や、実際のアッシュ材サンプルや選択できるレザーのサンプルブックの紹介などのモーガンをより知ることができるプログラムが用意された。説明で投影された写真には確かに木材がボディの一部を構築していることがわかり、とても興味深かった。
またジャスティン・ガーディナー氏は、これまでに輸入されたモーガン各車のアフターフォローももちろん行っていきます、と語った。今年は30台ほどを輸入する予定とのこと。モーガンといえば気になる納期だが、4/4では現在オーダーを入れると手元に届くまで約1年(以上かも)かかるという。しかしこれでも納期が長いことで知られたモーガンとしては短いような気もするから不思議だ。
会場前には3ホイーラーやオーナーズクラブのモーガンも
明治記念館入口脇にはこのたび発売されるモデルのうちの「4/4」と「3ホイーラー」が展示されていた。4つのラインナップのうち残りは、4/4に比べて幅広のボディとフォード製2リッター直4(156ps)を積んだ「プラス4」、そのプラス4のボディにフォード製V6(3.8リッター、284ps)を詰め込んだモンスター「ロードスター」となる。
ロードスターはかつてローバーのV8を載せモーガンの最高峰として名を馳せた「プラス8」の代わりに2003年に登場したモデルだ。3ホイーラーは2010年に「58年ぶりに復活」したその名の通りの3輪スポーツカーで、むき出しのエンジンはS&S製の2リッターVツイン、トランスミッションはマツダ ロードスター用である。こちらももちろんボディにはアッシュ材とアルミが用いられる。またモーガンのオーナーたちも自慢の愛車で乗り付けてイベントを華やかに盛り上げていた。
正規輸入元の発足と全国の正規代理店の誕生により一気に身近なイメージになったモーガン。
「ケータハムやロータスに乗っていた方々からの乗り換えも多い」というモーガン。日本における新たなスポーツカーの選択肢として一般的になりつつあることを予感させる。モーガンカーズ・ジャパンには既に問い合わせも多く届いているようで、今後のモーガンの動きにも目が離せなくなりそうだ。
[Photo&レポート:遠藤 イヅル]
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