試乗レポート

ジャガー XKR 海外試乗レポート(2/4)

公開日:2009/03/05 10:27 最終更新日:2009/03/06 10:38

筆者：河村康彦
カメラマン：ジャガー・ランドローバー・ジャパン

背中を押す強烈な全開加速

従来型ユニットとの共通パーツは、「タペットとボルトの2点だけ」という文字通りオールニューの直噴V8エンジンは、5リッターのスーパーチャージャー付き。ライバル各車に対しての商品性も考えて800cc強の排気量アップが図られたこのユニットの90度バンク間には、効率と静粛性の高さが売り物で最近はアウディやキャデラックなどにも採用例の見られる、米イートン社製ルーツ式スーパーチャージャーがマウントされる。

最高で510psを発するそんなモダーンな心臓を、オールアルミ・モノコック式という贅沢な構造の採用によって1.8トン台に収まる重量のボディに組み合わせたのだから、その全力加速力は凄まじい。実際、アクセルペダルを深く踏み込んだ際に背中を押す加速Gは強烈なもの。しかも、ハイパフォーマンスなV8ユニットらしい排気サウンドこそ勇ましいものの、それがすこぶる滑らかなエンジンフィールの下に実現されるのが、いかにも最新のパワーユニットを搭載したモデルらしい。

また、そうした強力加速力を得るのがエンジン高回転域に限られないのも大きな特徴。実はこの新心臓はすでに2,500rpmという低回転域から、625Nmというこちらも強大な最大トルク値を発するのだ。

そんな好印象の動力性能を生み出す一端は組み合わせるトランスミッションにもある。構造上はオーソドックスなトルコン式6速仕様ながら、タイトなトルク伝達感やパドル操作時のレスポンスの素早さでは、このところ流行のDCT（デュアル・クラッチ・トランスミッション）にも匹敵する印象を持たせてくれるのがこのモデルに採用のATなのだ。

毎秒100回解析する“足”

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筆者河村康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン（三栄書房）の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員などを歴任。記事一覧を見る