ホンダとグーグルが完全自動運転で連携した理由(1/2)

ホンダとグーグルが完全自動運転で連携した理由
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驚きの連携発表

ホンダの研究開発を行う子会社の本田技術研究所は22日、先日グーグルからスピンアウトした自動運転の研究開発を行う「ウェイモ」と共同開発に向けた検討段階に入ったと発表した。

具体的には「ウェイモ」が開発しているセンサー、画像認識などに関するソフトウエア、そして車載コンピュータなどを、ホンダが提供する車両に装着し、両社が共同でアメリカの公道で実証試験を行うという。

「ウェイモ」に関しては、本連載のなかで筆者が詳しく解説しているので、そちらの記事をご参照いただきたい。概要を紹介すると、2015年8月にグーグルが持ち株会社アルファベット設立で大幅な組織改編を行った際、グーグル社内の極秘プロジェクトを行う「X(以前のグーグルX)」に属していた自動運転チームが事業部として独立。その際、外部から自動車産業の経営に関するベテランを雇い、早期の量産化を目指した。

その過程で、ビジネスを優先する会社側と、人工知能など最新技術をさらに突き詰めてから量産したいと考えていたエンジニアたちとの間で意見が対立。グーグルの自動運転を約8年間に渡り支えてきたリーダー格のエンジニアが次々と退職した。

そして、アルファベットが12月上旬、自動運転事業部を「ウェイモ」として子会社化。その時点では、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービル)とロボットタクシー事業で連携を模索するとのことだった。

そして今回、「ウェイモ」はホンダとも連携することになり、今後はさらに多くの自動車メーカーと「ウェイモ」が連携する可能性が出てきた。つまり、アルファベットとしては、完全自動運転におけるデファクトスタンダードを狙う考えだ。

>>ホンダとグーグルの自動運転車など写真で見る

完全自動運転に対してセンシティブだったホンダ

ホンダはこれまで、社内的にも社外的にも「自動運転」という言葉を積極的に使ってこなかった。例えば、いまから二カ月ほど前、ホンダの開発部門を訪れた某調査企業の担当者が自動運転についてホンダ側に聞いたところ「ここでは、自動運転という言葉自体を使わないで頂きたい」と強く言われてビックリしたという。

それは、今回の「ウェイモ」とホンダとの連携が極秘裏に協議されていたことを隠そうとする発言だったとも考えられなくはない。だが、筆者としてはそうは思わない。

その理由は、今年7月にホンダの「栃木プルービンググランドさくら」(栃木県さくら市)で、ホンダの先進安全技術部門の担当者らと、実車による走行体験を含めて、丸1日かけてさまざまな視点で意見交換した時の体験に基づく。

同施設は今年4月にオープンしたばかり。現在量産している先進安全技術、いわゆるADAS(アドバンスド・ドライバー・アシスタンス・システム)に特化したテストコースで、敷地面積は東京ドーム4.5個分もある広大なエリアだ。

近年、欧米の自動車メーカーや、米ミシガン大学などの教育機関、そして日本自動車研究所(JARI)でも、先進安全技術を専門とする独自の施設が続々と開設されている。

「栃木プルービンググランドさくら」での体験の際、ホンダとして自動運転に関する開発のスタンスについても意見交換した。その担当者とは、その数週間後に、カリフォルニア州サンフランシスコ市街地で行われた米政府が深く関与する自動運転・国際カンファレンスでも情報交換をした。

そうした筆者とホンダとの自動運転に関する接点のなかで、グーグルの影はまったく見えなかった。

ただし、ホンダ側のコメントの中から筆者は「これまでのように(何事においても)自前主義に執着していては、競争が激化している自動車産業の変革を生き残れない」という危機感を覚えていた。

そうした流れの中、グーグルが「ウェイモ」をスピンアウトさせるタイミングを見計らって、今回の発表となったのだろう。

>>ホンダとグーグルの自動運転車など写真で見る

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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