【写真で解説】一緒なのは名前だけ!? 3世代続くハイブリッドカー「インサイト」の歴史(1/2)
- 筆者: MOTA編集部
ホンダがハイブリッドシステムの軸として誇る、高い環境性能と走りの楽しさを実現した2モーターハイブリッドシステム「e:HEV(イー エイチイーブイ)」。走り方に応じてエンジンとモーターの動力を使い分け、最高効率を実現するこのハイブリッドシステムを搭載するのが、同社のハイブリッド伝道者(車)的モデルののインサイトだ。ここでは、そんなインサイトの歴史を振り返っていく。
その時代を映し出すモデル「ホンダ インサイト」
ホンダ インサイトはトヨタのプリウスに相当するハイブリッド専用車で、初代は1999年~2004年、2代目は2009年~2014年に生産され、現行モデルとなる3代目は2018年より発売開始。3世代に渡り、モデルチェンジごとにボディタイプが変更されてきた。
開発者によると「初代は燃費ナンバーワンをめざし、2代目はハイブリッドを安く普及させることに重点を置いた。そして3代目は時代に合った本質的な魅力を追求している」という。
初代では、ガソリン量産車では世界最高となる低燃費を記録
1999年に登場した初代 インサイトは、3ドアのファストバックスタイル、2シーターレイアウトで、35.0km/L( 10・15モード)という当時世界一の低燃費を実現。ライバル プリウスと対照的に、スポーツカーの要素を取り入れていたパッケージングだった。
スパッと切り落とされたようなリアハッチを持つ3ドアの流線形ファストバックスタイルにリアホイールが覆われているホイールスカートが目を引く初代インサイト。ホイールを覆い隠すことで空気の流れをスムーズにし空気抵抗を低減させ、空気抵抗を示すCd値は0.25を達成している。(初代プリウスは0.3)
フレームは、NSXと同じアルミニウムフレームを採用し、アルミニウムのボディパネルや樹脂パネルを使うことで徹底的に軽量化された。
インテリアは2座しかなく、必要最低限の荷物のみ収納できるラゲッジスペースなど、「実用性は二の次」と割りきったパッケージング。しかし、NSXにも使われた技術や構造、実用性よりも燃費を優先したスタイルやパッケージングにすることで、世界一の燃費性能を実現したのは事実。クルマの作りやユーティリティなど、さまざまな意味でスポーツカーといえるハイブリッドカーが初代 インサイトだった。
パワートレインは、フリクションを低減させ、当時最軽量だった1.0リッター 直列3気筒エンジンに、エンジンをアシストする薄型モーターを組み合わせた「Honda IMAシステム」を搭載。トランスミッションは、CVTだけでなく5速MTの設定もされており徹底的な軽量化と低燃費に貢献している。
2代目は、ハイブリッドを安く普及させることを目的に誕生
2009年に発売された2代目の先代インサイトは、実験的だった初代とは異なり、大量に売ることを狙って開発された。ボディタイプはプリウスと同様の5ドアハッチバックになった。
5ナンバーサイズに収まるボディは、全長が4390mm、全幅は1695mmで、全高は1425mmと低い。近年のトレンド風にいえば5ドアクーペ風の形状だった。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2550mmで、最小回転半径は5mだから、小回り性能も優れている。
インテリアは、速度計をデジタル表示にして最上部に設置するなど、独特のデザインを採用していた。エコドライブの度合いをスコアで表示するなど、ハイブリッドらしい工夫も施していた。
搭載したハイブリッドシステムは、「IMA(Honda Integrated Motor Assist System)」と呼ばれるシンプルなタイプ。1個の薄型DCブラシレスモーターを装着して、減速時にはモーターが減速エネルギーによる発電を行い、搭載されている駆動用ニッケル水素電池に充電する。この電気を使ってモーターを駆動させ、エンジンの駆動力を支援した。
モーターは最高出力が14馬力、最大トルクは8kg-mとなる。駆動の主力はエンジンで、モーターは副次的な動力に位置づけた。
動力性能は1.3リッターエンジンを使ったベーシックなグレードで、感覚的には1.5リッターのノーマルエンジンと同等だ。低回転域など、エンジンの駆動力が不足する領域をモーターが補った。
操舵に対する反応は機敏でスポーティだったが、危険を回避する時などは後輪の接地性が下がりやすく、発売時点で走行安定性に不満があった。その後は、マイナーチェンジで多少改善された。
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