ホンダ エアウェイブ 試乗レポート(河村康彦)

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特等席はリアシート!後席に座ってみたいワゴン

ホンダからまたまた新しいブランニュー・ミニバンが登場か!? と思いきや、それは「自分のセンスや感性を大切にする若い人たちの生活をよりスタイリッシュに彩る、新しいステーション・ワゴンの提案」であると言う。

ひと時は日本の自動車市場を風靡した感の強かったステーション・ワゴンのカテゴリーも、このところはミニバン等にすっかり押され気味。エアウェイブの“ちょっとミニバン風味”のプロポーションもそんな事情を鑑みての事か! とちょっぴり勘ぐってみたくはなるものの、こうした今の時期に改めてワゴンを投入してくるあたりはやはり“負けず嫌い”のホンダらしいところでもある。

1.5リッターの4バルブSOHCエンジンや前後のサスペンション等をはじめ、このクルマに用いられたハードウェアの多くはフィットのそれと色濃い関係を持つもの。4350mmという全長や2550mmというホイールベースはフィットよりもグンと長いものの、例の“センタータンク・レイアウト”を踏襲するなどそのパッケージング・デザインもやはりフィットを範に置いている。

前述のように一見ではミニバン風にも受け取れるプロポーションの持ち主であるエアウェイブ。その全高は1.5mをオーバーしてオデッセイに接近。シルエット的にはホンダが誇るそんな“低全高ミニバン”を小さくしたイメージにも近似するのも納得だ。

そんなミニバン風味を少しでも払拭すべく、このクルマのエクステリア・デザインにはひとつの秘密がある。ヒドン(ブラックアウト)化されたCピラーの根元部分に、あたかも「そこからピラーが立ち上がる」かのようにボディ同色化されたベルトラインの盛り上がりがそれだ。その狙いは「ミニバンのように客室と荷室を一体化するのではなく、両者を分離して見せる事でワゴンらしさの演出を試みたもの」との事。正直なところちょっとばかり中途半端に思えない事もない(?)ディテール・デザインだが、これもまたホンダならではの新挑戦としてその新規開拓精神を認めたい点ではある。

そしてこのクルマ最大の売り物が、前半の2/3ほどもの部分を高熱線吸収UVカットガラスとプライバシーガラスの合わせ製としたルーフ。敢えて開閉機構を無くした事でその分最大限に面積を稼ぎ出したのが、この“スカイルーフ”と呼ばれるアイテムのポイント。外観上も、その部分があたかもフロントのウインドシールドと一体化したような雰囲気で演出されるのも、このルーフ採用モデルの魅力点になる。

それにしても、“スカイルーフ”が生み出すキャビンの明るさ、開放感の高さときたら、それは並のガラス・サンルーフの比ではない。何しろ、このガラスルーフ部分の実効サイズ(内寸)は、幅方向が770mmで前後方向は実に1110mm。すなわち、前後席に座ったパッセンジャーの頭上ほぼ全てがガラスで覆われるのだから、そんな新鮮な印象を演じるのも当然と言えば当然なのだ。

ちなみに、そんな“青天井”の恩恵をより強く受ける事が出来るのは、実は前席よりも後席の方。前席の場合、前方を軽く見上げるとどうしてもルーフ前端のパネル部分(サンバイザー装着部分)が死角を生みだしてしまう。一方で後席の場合には、前方頭上の殆どすべての部分が透けて見えるからだ。

フィットに比べ、後輪位置が後退したのを受けて後席位置も50mmほど後ろに移動。そのために、レッグスペースの余裕も特筆レベルにある。そこでのクッション厚をタップリと感じる事が出来るのは、その下に燃料タンクが配置されない事も関係ありそうだ。

すなわちこのクルマの場合、「もはや“特等席”はリアシートではないのか!」とそんな風にすら感じられるもの。どうせ乗るなら後席に座ってみたいワゴンでもあるのだ。

ところで、自ら新時代のワゴンを名乗るだけに、そのラゲッジスペースの出来栄えにも触れておく必要があるだろう。そこで、改めてエアウェイブのテールゲートを開いてみると、まずはそのフロアの低さに驚かされる事になる。

通常であればそのフロア下、もしくはリアシート下に燃料タンクが置かれるのが一般的。が、特にステーション・ワゴンでは“邪魔モノ”となりがちなそのアイテムは、このクルマの場合フロントシート下にレイアウトされている。前述のような超低床ラゲッジスペースが実現したのに加え、リアシート・クッションを跳ね上げればフィット同様の“トール・モード”も実現可能。そう、ホンダが誇るセンタータンク・レイアウトとは、本来ステーションワゴンにこそぴったりのデザインであったと言うわけだ。

そんなこのクルマ、走りの方はさほどの特徴が感じられるものではない。アクセル開度の比較的小さな領域では、CVTが可能な限り低いエンジン回転数をキープしようと頑張るので静粛性は期待以上。ただし、加速の能力のほどはさほど強力ではない。「およそ1.2トンの重量に、1.5リッターというエンジンの組み合わせからちょうど予想が出来る程度の動力性能」と評するのが適切だ。

ステアリング・フィールがやや人工的なのは、電動パワーステを用いるゆえのフィットから受け継いでしまったウイークポイントのひとつ。15インチ・シューズ仕様は路面凹凸を拾っての上下Gがやや強めなので、乗り心地重視ならば14インチ車がオススメだ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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