魅惑のフレンチハッチ 徹底比較(4/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
日本人好みの精緻な感覚
VWゴルフに代表されるドイツ勢の人気が高い輸入車Cセグメントの中で、ドイツのお隣りフランスにも、こうした選択肢が存在することを、まずはお伝えしたい。
彼らは日本ではマニアックな存在だが、いずれも世界的には非常にメジャーなクルマであり、ゴルフとはまた違った、それぞれの魅力を持っている。
中でも、欧州でゴルフに次いでNo.2の座にいるというメガーヌは、オーソドックスなまとまりのよさが光る。日本ではRS(ルノー・スポール)に代表される尖ったイメージの強いルノーだが、あくまで日常性を持った中でスポーティなルックスと走りを楽しめるよう位置づけられた「GTライン」は、内外装の随所にスポーティさを感じさせるコスメティックな要素が与えられているところも楽しい。
グレード体系は、下記2モデルのように上下の関係ではなく、「GTライン」と「プレミアムライン」という、キャラクターの異なる2グレードがラインアップされている点もメガーヌの特徴だ。
また、多くの日本人が好む精緻な感覚が、各部のつくりを見るにつけ、下記2台よりも高いように感じられたところも、このクルマの実力のうちだろう。
「普通」の中で一味違った感性を求める人へ
光が透過する液晶パネルを採用したセンターメーター、センターフィックスステアリング、標準装備の芳香剤など、いろいろなところがユニークだった先代C4に比べると、随分オーソドックスなつくりになった。
また、あとにDS4が控えていることもあり、新型C4ではあまり冒険することなく、ベーシックな実用ハッチバック車となったようだ。
ただし、「普通」でありながら、なるべく「普通」では済ませたくなかったようで、独特の素材や色使いをしているところも興味深く、音や光のギミックも見られる。
それでいて、居住空間の広さ、豊富な収納スペース、ラゲッジの使い勝手への心配りなどには注目すべきものがある。
ドライブフィールも、今回の3台はどれも良好だが、最近の実用車がおしなべてハンドリング重視で、固い乗り心地となっているものが少なくないなかで、これほどソフトな乗り心地を持っている点は特筆できる。
惜しいのはトランスミッション。「セダクション」は4速のATだし、「エクスクルーシブ」の6速EGSもあまり万人向けではない。こういうものと割り切れる人ならよいが、ひとまずは試乗するなど吟味して検討することをお薦めしたい。
実はもっともドイツ車的かも
登場からそれなりに時間が経っているが、こうして大幅なフェイスリフトが行なわれたことで、新鮮味をやや取り戻した。
控えめになったとはいえ、この3台の中では、どうこういっても見た目はもっとも特徴的である。
装備面では、エレクトリックパーキングブレーキなど、多少、後発モデルに比べて古さを感じさせる部分もあるが、一方で、熟成の進んだ308も、まだまだ旬をはずれたわけではけっしてない。
とくに2010年に6速ATを採用したことで、ドライバビリティが飛躍的に向上したことが大きい。
また、よく「猫足」と評されるプジョーだが、実はフランスの3メーカーの中で、もっともドイツ車的な乗り味を追求しているのではという気がしてならない。
最近新しく出た3008や508もまさにそうだったように感じているのだが、こうしてフランスのメーカーの同クラスの3モデルを同時に乗り比べると、なおそれがよくわかる。
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