新車の「トヨタ GR86」購入予算300万円〜350万円で、コンパクトFRクーペ「BMW 2シリーズクーペ」を買う選択肢はアリ![どっち買う!?]
- 筆者: 遠藤 イヅル
- カメラマン:島村 栄二・青木 禎之・ビーエムダブリュー・MOTA編集部
トヨタとTOYOTA GAZOO Racingは、新型スポーツカー「GR86(ジーアール ハチロク)」を2021年10月28日(木)から発売を開始。大きな話題を呼んでいる。スペース効率に優れたクルマが重視され、スポーツカーが次々と消滅している昨今で、初代「86」を継ぐ新たなスポーツカーが登場したことに、大きな拍手を送りたい。スバルとの共同開発で開発され、フラット4エンジンと積むのは86と同じだが、今回のモデルでは、車名を「GR86」に変更した。価格は279万9000円~351万2000円(消費税込)だ。
そこで今回の「どっち買う!?」では、その予算で購入できるFRスポーツクーペ「BMW2シリーズクーペ」の中古車購入シミュレーションを行ってみたい。後輪駆動のBMW 2シリーズクーペ、相場感っていまどのくらい!?
BMW伝統のFRスポーツクーペ「BMW 2シリーズクーペ」
BMWでは、近年コンパクトなモデルを中心にFF(前輪駆動)を販売しているが、やはりBMWといえば伝統の後輪駆動、しかも同社のスポーティネスをより鮮明に具現化したスポーツクーペに乗りたいと思う人も多いだろう。でも、かつてコンパクトだった3シリーズクーペも、現在では4シリーズに進化し、サイズも大きくなってしまった…と嘆くそんなユーザーにオススメなのが、「2シリーズクーペ」だ。1シリーズに対するプレミアム・コンパクトという位置付けの2シリーズには、ミニバンの「アクティブツアラー」、その7人乗りモデル「グランツアラー」、スタイリッシュな4ドアハードトップの「グランクーペ」、そしてこの「クーペ」をラインナップする。
しかしこの中で、FRレイアウトを持つのは「クーペ」のみである。
2シリーズクーペは2014年に登場。全長約4.4mのコンパクトなボディを持つ。長めのボンネットフードの下には、2L直4(184ps)と3L直6ターボ(326ps!)が収まる。それぞれ「220iクーペ」「M235iクーペ」と命名され、さらに220iには「Mスポーツ」を設定し、計3グレードで発売を開始した。
5年落ち・走行5万キロ以下・300万円〜350万円で検索!
BMW 2シリーズクーペの検索にあたり、価格をGR86の「SZ」「RZ」の販売価格帯300万円〜350万円に設定した。
走行距離5万キロ以内、2016年式までの「BMW 2シリーズクーペ」の中古車を検索!
▼中古車検索条件▼
・メーカー車名: BMW 2シリーズクーペ
・モデル: 2014年式モデル
・年式:平成28(2016)年~令和3(2021)年
・走行距離:~最大5万キロまで
・価格帯:300万円〜350万円
・修復歴:なし
(2021年12月10日現在 MOTA調べ)
直6ターボ・340psを誇る「M240i」もターゲット・イン!
上記の条件で検索したところ、19台のBMW 2シリーズクーペが検索された。(2021年12月10日現在 MOTA調べ)。なお、3年落ち・3万キロに絞ると8台、3年落ち・5万キロという条件でも、8台という結果だった。
前述のようにBMW 2シリーズクーペは、2014年に日本で発売された際は3グレードでスタート。その後、2016年11月に新設計のエンジンを搭載する仕様変更を行っている。直4モデルの性能数値および「220i」という名称は不変だが、一方の直6モデルでは、最高出力+14psの340ps、最大トルク+50Nmの500Nmへとパワーアップして、「M240iクーペ」へと発展した。
これらの情報を把握した上で、19台の詳細を見てみることにしよう。ノーマルの220iクーペはゼロで、220iクーペ Mスポーツが9台、高性能版のM235iクーペとM240iクーペがそれぞれ5台だった。220iクーペ Mスポーツは、年式的にすべて新エンジン搭載で、中には2020年・1.2万キロという、新車のような物件まで見られた。なお、M235iクーペとM240iクーペではMTモデルも購入可能だが、検索では表示されなかった。
最多台数となった220iクーペ Mスポーツは、Mエアロダイナミクス・パッケージやBMWインディビデュアルハイグロス・シャドーラインエクステリア、Mスポーツサスペンション、バリアブル・スポーツ・ステアリングを標準装備して、スポーツ性を向上させたモデルだ。
2016年10月時点での新車購入価格は、220iクーペ=473.6万円、220iクーペ Mスポーツ=498.1万円、M235iクーペ=624.4万円、2016年11月の改良後はそれぞれ486.9万円、511.3万円、656.9万円だった。コンパクトなクーペだが、売れ筋の220iクーペ Mスポーツが約500万円という高価格帯で、これは上位の3シリーズに匹敵した。
特に300ps超という高性能を誇るM235iクーペとM240iクーペは600万円オーバー! それが5年落ちで300万円台前半まで下がっているのだ。お買い得と言えるだろう。
端正なスタイルと高性能を持ち、日常使いもできる稀有な存在
2シリーズクーペは、全長約4.4mのコンパクトなボディを持つ。同社の1960〜70年代における名車「02(マルニ)」や、1980年代に日本でも大ヒットを飛ばした2代目3シリーズ(E30型)を彷彿とさせる「ちょうどいいサイズのスポーツクーペ」だ。シャープでキリリとしたスタイルも好ましい。プレムアムコンパクトだけに内外装の仕立て、特にインテリアの質感も高い。ハンドリングの良さはいうまでもなく、乗り心地も犠牲にしていない。
エンジンのフィーリングも、エンジン屋たるBMWが作るエンジン、という期待を裏切らず、8段ATの滑らかさも心地よい。そして、近年では手に入れることすら難しくなってきた直6エンジンは、やはり白眉の存在だ。
2シリーズクーペには、別格のスポーツモデル「M2クーペ」もあるが、370ps〜450psという有り余る高性能、中古でも同条件で400〜700万円ほどの高価格ゆえ、手が届きにくい。その中で、通常で考えるなら相当な高性能と、日常使いでも気軽に乗れる実用的なクーペ、というバランスを高い領域で両立するM235iクーペ/M240iクーペは、現代では他にあまり類を見ないクルマだ。
BMW伝統のFR+直6を選べるという意味でも、大いに注目したい。
[筆者:遠藤 イヅル/撮影:島村 栄二・青木 禎之・ビーエムダブリュー・MOTA編集部]
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