フリード vs シエンタ、室内空間はフリードの圧勝! 唯一の弱点は“上級クラスが売れなくなる”こと!?
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
- カメラマン:和田 清志・小林 岳夫・Honda・TOYOTA
コンパクトミニバンのライバル車「ホンダ フリード」と「トヨタ シエンタ」は、販売台数においても常に接戦を繰り広げている。2台の実車を見比べてみると、室内の広さや使い勝手の面ではフリードの圧勝。しかしホンダ フリードの唯一にして最大の弱点は、上級クラスのステップワゴンが売れなくなることだ。
デビューから丸5年で絶好調のフリード、丸6年のシエンタはやや失速気味か
ホンダ フリードが好調な売れ行きを示している。
現行型(2代目)フリードは2016年9月のフルモデルチェンジだったから、早くもデビュー5年を迎えたモデル。しかし自販連(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会)調べによる2021年8月度の新車販売ランキングでは、8位に位置する。しかも5200台という販売台数は前年同月比で124.8%の伸びで、ますます好調なくらいだ。
対するライバルのトヨタ シエンタは、やや失速気味な状態。こちらも2015年7月登場だから、デビューから丸6年。16位にランクインし、3351台を売った。前年比では81.0%となる。
ともあれ、コンパクトクラスで後席スライドドア付きの3列シートミニバンを買おうとすれば、国産車ではこの2台のみの存在。価格帯もおよそ100万円台後半から300万円以下と、ミニバンの中では手頃な設定なのも嬉しい(FFモデルの場合)。
全長4.3メートル! 全長4.7メートル級のヴォクシーやステップワゴンに比べコンパクトなサイズが魅力
フリード、シエンタ共に、ボディサイズは全長4.3メートル弱、全幅1.7メートル弱の5ナンバーサイズ。フリードのほうが全高1710mm、シエンタが1675mmと、全高だけ差が大きいのが2台の最大の違いだ。
ひとクラス上のMクラスミニバン、トヨタ ヴォクシー、日産 セレナ、ホンダ ステップワゴンとの違いを見てみよう。
例えば日産 セレナの場合、全長4.7メートル前後、全高1.8メートル強。ボディサイズに関してはふた回りくらい大きくなってしまう。
その分室内空間のゆとりはやはりMクラスミニバンのほうが圧倒的に広いが、狭い市街地や駐車場などでの取り回しという意味では、フリードやシエンタの程よいサイズが有利に働く。
このあたりをどう捉えるかによって、フリードやシエンタの評価も変わってくるだろう。
ライバルと言いながら正反対の設計思想! 広い室内を重視するフリードと格好良さを重視するシエンタ
高効率なパッケージングによる室内空間で上位クラスに迫るホンダ フリード
さて、セレナクラスの室内空間は圧倒的に広いと書いたが、フリードやシエンタが狭いという訳ではもちろんない。
特にフリードは、見るからに広さを感じさせる四角い車体形状と背の高さ、そして低床設計によって、乗り込んでみても空間効率の良さが実感出来る。これなら上位のMクラスミニバンでなくてもOK、と感じさせるほど。
現にホンダでは、Mクラスのステップワゴンの売れ行きがここしばらくかなり低迷し続けている。2021年8月の販売ランキングも18位(2907台)だ。おそらく全国の販売店ショールームでは「フリードで十分に良いじゃない」となっていることが推察される。
上位クラスにはないスタイリッシュなデザインで推すトヨタ シエンタ
対するシエンタは、低めの屋根とスタイリッシュなスタイリングが特徴。空間を最大限活用し実用性を最優先させたフリードとは、大きく印象が異なる。これは上位のMクラスミニバンとのすみ分けという狙いもあるだろう。トヨタ全体の商売を考えると、これもひとつの考え方である。
実際、Mクラスミニバンのヴォクシー(12位:4243台)やノア(17位:3080台)を合計すると、シエンタの倍の販売台数を売っていることからも、すみ分けが上手くいっていることがわかる。
少しでも安くお得な買い物を、と願う消費者の心理に見事にハマったフリード
このようにフリードとシエンタは、ライバルと言いながらも、対照的な設計思想により造られている。販売台数の違いは、2社の販売戦略の違いが大きく左右している。
そのうえで、先行き不透明なコロナ禍の中、少しでも安くてお得な買い物を志向するユーザーの気持ちに見事にハマったのが、安くて小さいサイズに実用性を確保したフリードだった。フリードの快進撃は、まだまだしばらく続きそうだ。
[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:和田 清志・小林 岳夫・Honda・TOYOTA]
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