【比較】トヨタ 新型ハイエース vs 日産 NV350キャラバン どっちが買い!?徹底比較/渡辺陽一郎(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
ハイエース vs NV350キャラバン -動力性能対決-
動力性能は、2リッターエンジンについては両車とも互角だ。車両重量は1,800kg前後に達するので、荷物を積んでいない状態でも登坂路では少し力不足を感じる。
注目されるのは、NV350キャラバンのATが「5速」ということ。ハイエースの「4速」に比べエンジンの力を有効に活用しやすい。
一方、動力性能と燃費の両面で魅力的なのが「ディーゼルターボ」。ハイエースの3リッターは最高出力が144ps(3,400rpm)、最大トルクが30.6kg-m(1,200~3,200rpm)で、発進直後から高い駆動力が沸き上がる。
アテンザやCX-5のディーゼルターボは最大トルクが42.8kg-m(2,000rpm)に達するが、1,500rpmを下まわる領域では駆動力が低下する。だが、ハイエースはこの領域から力強く、ターボの特性をほとんど感じない。高回転域の吹け上がりは鈍いが、通常の走行ではガソリンエンジンの3リッタークラスに相当する加速感を味わえる。
いっぽう、NV350キャラバンのディーゼルターボは2.5リッターながら129ps(3,200rpm)/36.3kg-m(1,400~2,000rpm)を発生する。1,400rpm以下ではハイエースの方がトルクが若干高く、徐行している状態からの加速感はNV350キャラバンよりも滑らかだ。
その代わり、1,400rpmを超えるとNV350キャラバンのトルクが約6kg-m勝り、通常の走行では力強く感じる。それでも両車ともに十分な駆動力があるから運転がしやすい。軽くアクセルを踏んだだけでトルクが沸き上がる感覚は、商用車用に開発されたディーゼルターボの醍醐味だ。
ハイエース vs NV350キャラバン -走行安定性・乗り心地対決-
走行安定性は、基本的には操舵に対する反応を鈍く抑えている。重心が高く、積載時にはボディが重くなるワンボックスバンを機敏に回頭させると、危険な状態に陥りやすいからだ。動きを鈍く抑えることで、後輪の接地性を含めて車両の動きを安定させている。
ただしハイエースのスーパーGLは、このワンボックスバンの特徴を踏まえた上で、ショックアブソーバーなどの足まわりを乗り心地を重視する設定に変更した。操舵に対する反応も、鈍めながら曖昧な感覚が払拭され、ワゴンのように運転できる。
そして乗り心地はかなり上質。タイヤサイズは15インチ(195/80R15)で、試乗車が履いていたブランドはブリヂストン・エコピアRD-613であった。指定空気圧は、荷物の積載を考慮して前輪が325kPa、後輪は300kPaときわめて高い。荷物を積んでいない状態ではタイヤが細かく跳ねて当然だが、ハイエースのスーパーGLは足まわりをゆったりと柔軟に伸縮させる。いわゆる「コシのある」乗り心地で、大きめの突起を乗り越えた時でもタイヤの動きがドタバタしにくい。
ハイエーススーパーGLは個人ユーザーがトランスポーターとして使ったり、絵画などの軽い荷物をオシャレな場所へ運ぶのに使われることが多い。商談の相手を同乗させる機会もあるだろう。そこで足まわりの設定も、少し乗り心地に振っている。
なので両車の走行安定性と乗り心地のバランスを比較すれば、ハイエースのスーパーGLが勝る。
ハイエース vs NV350キャラバン -装備・価格対決-
装備は充実しており、ハイエーススーパーGLは自発光式のオプティトロンメーターなどを標準装着。オプションでは、LEDヘッドランプ、アルミホイール、スマートエントリー&スタート、両側スライドドアの電動機能、バックモニターを内蔵したルームミラーなどを装着できる。
ハイエーススーパーGLのディーゼルターボ仕様は、車両価格が338万914円。前述の快適装備をフルに装着すると約30万円の上乗せで、総額では370万円近い金額だが、ワゴン並みの快適性と便利性が得られる。
NV350キャラバンプレミアムGXは、ディーゼルターボの価格が330万9120円。プレミアムGXにはインテリジェントキーなどが標準装着され、キセノンヘッドランプやアルミホイールはオプションだ(合計すると約20万円)。スライドドアの電動開閉機能はワゴンのみの設定で、バンには装着できない。
注意したいのは安全装備。4輪ABSは標準装着されるが、横滑り防止装置は設定がない。エアバッグは運転席側には標準装着されるが、助手席側はオプションになる。後席のシートベルトは、中央席が2点式だ。しかもハイエースの場合、後席のシートベルトが標準装着されるのはスーパーGLのみで、DXはオプション設定。注文しないと、後席にシートベルトを備えていない車両が納車される。
乗用車で先進的な安全装備を積極的にアピールしながら、商用車に基本的なシートベルトすら装着されないのでは、ユーザーに対する「安全差別」になってしまう。スマートエントリー&スタートなどはオプションでも構わないが、シートベルトは万一の時に乗員の生命を左右する。ユーザーが希望するか否かにかかわらず、「必ず着用してください」という態度で接するのがクルマ造りのプロであるメーカーのあり方だ。
ちなみに乗用車では、2014年10月からすべての生産車に横滑り防止装置が装着される。これも自発的に装着するのではなく、義務化によるものだから悲しいが、10月以降も商用車に備わらないとすれば、乗用車との「安全差別」がさらに拡大する。これは自動車メーカーが「人の生命をどのように考えているか」という重大な課題なので、積極的に取り組んで欲しい。
ハイエースも、NV350キャラバンも、荷物の積載性、使い勝手、ディーゼルターボの走行性能などはとても優秀だ。ただし総合的に「優秀なクルマ」と評価するには、安全装備の充実が不可欠になる。
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