『ジュネーブモーターショー2013』レポート/小沢コージ ~スーパーカー祭りは突然に!ほとんどリアル「サーキットの狼」世界版だ~(1/2)
- 筆者: 小沢 コージ
- カメラマン:オートックワン編集部
ハイブリッドを毒に使ったスーパーカー
♪ラララララララララララ~いや、不肖小沢も久々のジュネーブショー。行くのは何年ぶりかだけどやっぱ盛り上がるね~、気分アゲアゲ!
というのも、今回は問答無用の『スーパーカー祭り』だったからだ。しかも、その主人公はこの世界の巨人ともアントニオ猪木とも言うべき問答無用の超ヒーロー、フェラーリ! しかも名前が“ラ”フェラーリですよ“ラ”フェラーリ!
本来の「La」はイタリア語の冠詞で、英語で言えば「ザ・フェラーリ」なんだけど、強引に中国語に当てると“裸 法拉利”もしくは“辣 法拉利”!
日本のディーラーさんにゃ怒られそうですが、これだけでワクワクしてくるじゃないですか。事実、今や世界最大レベルのフェラーリ市場になった4月の中国上海ショーじゃ、簡体字でそんな風に表記されるかもしれないし。
中身も凄くって、フルカーボンモノコックを使った総合出力963psのスーパーミドシップマシン。
パワーユニットは現行フラッグシップモデル「F12ベルリネッタ」用をパワーアップした800psの6.3リッターV12DOHCを中心に、プラス163psの2モーターシステム「HY-KERS」を加えた構成になってるけど、最大のポイントは本来エコなハイブリッドシステムをパワーアップのために使ってること。
昔話をすると実はターボチャージャーもそうで、あれも当初は排ガスを利用した「高効率システム」って解釈があった。だが、実際70年代に出たポルシェターボはパワーの塊のモンスター。結局、この手の付加装置は使いようによっては毒にも薬にもなるワケで、トヨタ・プリウスがある意味モーターを“薬”としてつかったのに対し、「ラ」の方は、“毒”として使ったわけですよ。
最も、燃費も「エンツォ・フェラーリ」比で4割減ってことになってますけどね。ムダにパワー遊びで使えばどんなクルマでも燃費は悪くなりますので(笑)。
スーパーカーは見て、眺めて、想像して喜ぶモノ
ラ フェラーリに対抗して永遠のライバル、スーパーカー界の「阪神タイガース」ことランボルギーニが当ててきたのは、50周年記念車の「ヴェネーノ」。
コイツが世界3台限定ですよ、たったの3台!「ラ」が499台も本気で作るのに、ナメてんのか? って余興のような数字ですけど、このハズし具合がまたランボルギーニの真骨頂。
中身も「ラ」が最先端のハイブリッドで、デザインもリアルなF1マシンをベースに、風洞実験で空力を煮詰めてきたような本気フォルムなのに対し、ほとんどマンガっすマンガ。こういったら怒られるかもしれないけど、不肖小沢に言わせると「ヴェネーノ」は完璧イマジネーションの世界。
スポイラーが何層にも重なったように見えるフロントはともかく、実際、リアなんて完璧エヴァンゲリオンじゃないですか、エヴァ初号機!
発想の原点は確かにF1用ディフューザーかもしれないけど、それにしても悪魔的なまでの迫力ありすぎです。ぶっちゃけどう考えてもハッタリ系デザインだと思われます。
しかも中身は意外にしょぼい。どうやら現行フラッグシップのアヴェンタドールとほぼ同じで、エンジンも基本同じ6.5リッターV12DOHC。最高出力はチューニングされて50hpも上がっているけど「ラ」に遠く及ばぬ750hp。最も動力性能は独自のフルタイム4WDシステムにより0-100km/hが2.8秒、最高速355km/hとなかなかだけど、正直目新しさはない。
でもまあスーパーカーってそれでいいとは思うんだよね。誰もがポルシェ系ドライバーみたいに本気でサーキットを攻める人ばかりじゃないし、これで都会をゆっくり走るだけで“It's so exciting!”
そもそもスーパーカーは見て、眺めて、想像して喜ぶモノ。そうでなくても人間、500psを超えたスーパーマシンを簡単に思い通りに操れるワケがないわけで、そういう意味じゃ「ラ フェラーリ」も「ヴェネーノ」も同じようなモノ。
ラ フェラーリは499台限定で100万ユーロ(1億2000万円)! かたやヴェネーノは3台限定で300万ユーロ(3億7000万円)!!
ってところがふざけてる。マジメにサラリーマンが購入を考えられる値段じゃないよね。 でも世の中、本気でコイツを買うアラブの金持ちとかロシアの資源王みたいな人がいるわけで、それを考えただけでも世界の広さが伝わってくる。スーパーカーの楽しさとはそういうもの。不肖小沢もこの2台が見れただけでジュネーブショーに来たかいがあった…とマジで思いましたよ。
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