【DESIGNER’S ROOM】ダイハツ 新型「コペン」デザイナーインタビュー/ダイハツ工業株式会社 デザイン部 チーフデザイナー 和田 広文(1/5)

  • 筆者: 森口 将之
  • カメラマン:オートックワン編集部・ダイハツ工業
【DESIGNER’S ROOM】ダイハツ 新型「コペン」デザイナーインタビュー/ダイハツ工業株式会社 デザイン部 チーフデザイナー 和田 広文
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初代から大きくカタチを変えた新型コペン、その真意を探る!

ダイハツ 新型 コペン 「DRESS FORMATION(ドレス・フォーメーション)」

約2年のブランクをおいて復活した軽自動車規格のスポーツカー、「ダイハツ コペン」。スティール骨格に樹脂アウターパネルを組み合わせた「D-Frame(ディー・フレーム)」、内外装を着せ替えできる「DRESS FORMATION(ドレス・フォーメーション)」、鎌倉に開設したメーカー直営の情報発信拠点「ローカルベース」など、ハードもソフトも話題豊富な1台だ。

しかも「ローブ」と「Xモデル」の2タイプを基本とするボディは、いずれもお椀を2つ重ねたような旧型とは似ても似つかないフォルムをしている。旧型のあのスタイリングもそれなりに人気があったはずだが・・・。チーフデザイナーの和田広文さんに、まず激変の理由から伺った。

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「コペン チャレンジ プロジェクト」α(アルファ)案「コペンチャレンジプロジェクト」β(ベータ)案

オートックワン(以下AO):新型コペンは、ドレスフォーメーションを生かして2つの基本ボディを発表しましたが、どちらも旧型とは一変したエクステリアデザインになっています。どのような経緯で方向性を変えることが決まったのでしょうか。

ダイハツ工業株式会社 デザイン部 チーフデザイナー 和田 広文さん(以下W):新型の先行開発はかなり前からスタートしていたのですが、当初は変えるべきか、深化の道を取るべきか迷いました。

ただ10年間で5万8000台の販売だったという事実もありました。それ以上を狙うには、新しい路線にチャレンジしてみる必要があったということで、その路線を探ることにしたのです。

「丸」から「角」への転換

「コペンチャレンジプロジェクト」γ(ガンマ)案

AO:いままでにないデザインプロセスで決めていったそうですが。

W:2011年の初めに、社内の若手デザイナーを集めて「コペンチャレンジプロジェクト」をスタートさせたのです。当時の現行コペンに挑戦しようという気持ちを名前に込めました。だから単なるモデルチェンジではダメだと言っていました。そこから「丸から角への転換」という考えが出てきたのです。アルファ、ベータ、ガンマの3パターンにまとまりました。

ダイハツ コンセプトカー「D-X(ディークロス)」[2011年東京モーターショー出展車]ダイハツ コンセプトカー「D-R」[2012年ジャカルタモーターショー出展]

AO:ボディを2つ用意するというのは大胆な決定だったと思いますが。

W:3つの案の中から、2011年の東京モーターショーにガンマをD-X、ジャカルタショーにアルファをD-Rとして出しました。いずれも好評でした。私がコペンのデザインチームを統括するようになったのは、ちょうどこの頃だったんですが、デザインと並行して、スティール骨格と樹脂外板を組み合わせるDフレームの構想も進んでいました。それなら2つのボディを作ってみようとなったんです。

AO:でもそこから市販化まで2年掛かっているわけですね。

W:プロジェクトは進んだり止まったりしていました。最終的には、やりたいという気持ちが社内の説得の力になり、ゴーサインにつながりました。もちろんその過程で、コストを抑えたりするために、いろいろな工夫を盛り込みました。ローブとXモデルのヘッドランプを共通化したのは、その一例です。

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森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

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