伝統的なアメ車に宿る世界観が味わえるクライスラー 300試乗レポート(1/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正/FCA
アメ車のノスタルジーに浸れる存在
1950年代から1970年代の初頭にかけて、輸入車といえば欧州車ではなくアメ車だった。しかも今のようなSUVではなく、Lサイズのセダン/ワゴン/スポーティークーペが主力だった。
アメ車が人気を得た理由は、ボディが大きくて豪華だったからだ。大きくて豪華ならボディが重く動力性能を高める必要も生じるが、そこはV型8気筒の大排気量エンジンで対応した。1960年代の北米におけるガソリン価格は、1ガロン当たり30セントくらい。1リッターに換算すると約10円だ。当時は北米でも物価が安く額面通りには受け取れないが、ガソリンが「水より安い」といわれた時代であった。
この後、1973年のオイルショックで北米もガソリン価格が高騰。カリフォルニア州を皮切りとした排出ガス規制もあり、ボディサイズと排気量が小さくなって日本におけるアメ車の人気も薄れた。それでも黄金期におけるアメ車のインパクトは絶大であった。
Eクラスべースのアメリカンセダン
現行クライスラー300は2011年に登場して、2015年の10月にマイナーチェンジを受けた。
外観は生粋のアメリカンセダンだが、クルマの成り立ちは複雑だ。
プラットフォームは先代クライスラー300と同じだが、かつて合併していたダイムラーのメルセデス・ベンツ「Eクラス」がベースになる。Eクラスといっても1995年に登場したW210型だから、相当に古く感じるが、サスペンションなどの設定は細かく改良を受けてきた。サスペンション形式は、前輪側がダブルウイッシュボーン、後輪側は5リンクを使った4輪独立式になる。
グレードは2種類を用意して、それぞれエンジンが異なる。300S(577万8000円)はV型6気筒DOHCの3.6リッター、300SRT8(756万円)はV型8気筒OHVの6.4リッターを搭載する。
300SRT8はプッシュロッドを介してバルブを開閉させる古典的なOHVだが、2000年以降に登場したエンジンで、巡航時には4気筒を休止させる機能も備わる。設計の新しいエンジンなのに、OHVにこだわるところがいかにもアメ車的だ。
動力性能は、300Sの最高出力は286馬力(6350回転)、最大トルクは34.7kg-m(4650回転)。300SRT8は476馬力(6100回転)/65kg-m(4150回転)となる。300SRT8は、OHVなのに最高出力の発生が6000回転を上まわってOHVのイメージを覆している。
300SRT8はこのエンジンを搭載して756万円だから割安な気もするが、いわゆる「運転免許証が何枚あっても足りない」という高性能セダンだ。そこで試乗車には無難な300Sを選んだ。
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