伝統的なアメ車に宿る世界観が味わえるクライスラー 300試乗レポート(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正/FCA
アメ車としてちょうど良い操舵感
ボディサイズは全長が5070mm、全幅は1905mmと大きい。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も3050mmと長く、プラットフォームはメルセデス・ベンツ Eクラスがベースとされるものの、ボディサイズはSクラスに匹敵する。後輪駆動は前輪駆動よりも前輪の切れ角を大きく取れるが、ホイールベースが長いために最小回転半径は5.8mと比較的大回りだ。
なので日本の道路環境に適したクルマではないが、ボディスタイルが直線基調だから四隅の位置は比較的分かりやすい。ハンドルの位置も300SRT8を含めて右側だから、日本向けに造り込んだ。Lサイズモデルに乗り慣れたユーザーなら、違和感はさほど生じないと思う。
V型6気筒の3.6リッターエンジンは、少し高回転指向ではあるが、排気量に余裕があって加速性能は十分に確保される。4000回転を超えた領域の吹き上がりも適度に活発だ。車両重量は1880kgと少し重いが、エンジン性能はバランス良く仕上げた。
ハンドルを切り込んだ時の反応は、日本車や欧州車のLサイズセダンに比べると、初期の反応が少し鈍い。プラットフォームの設計が古いためでもあるが、このあたりを几帳面に仕上げると、運転感覚が進歩してもアメリカ車の個性は薄れてしまう。走行安定性に不満はないので、この操舵感はアメ車としてはちょうど良いと思う。
乗り心地は少し硬い。ホイールベースが3mを超えることもあって前後方向の揺れは気にならないが、街中ではもう少し柔軟性が欲しいと感じる。タイヤの影響もあるだろう。300Sも300SRT8と同じ20インチ(245/45ZR20)を装着して、足まわりの設定と併せて引き締まり感を持たせたからだ。
300SRT8は動力性能が極端に高いので20インチが適するが、300Sは17あるいは18インチに抑えたい。柔軟性が増して、スポーティーな300SRT8とは違うリラックスできる運転感覚を味わえるだろう。
少なくとも日本のユーザーには、300Sは乗り心地を重視した方がニーズに合う。20インチはオプションで用意すれば良い。
古典的なセダンに思えるも、相応に新しい安全装備
内装にも触れたい。インパネは流行に沿ったデザインで、メーターパネルには7インチサイズのフルカラーディスプレイを装着した。左中央にはカーナビの進行方向などが見やすく表示される。
インパネの中央にはタッチパネルが備わり、カーナビや携帯電話のハンズフリー機能を設けた。運転席と助手席の間に位置するセンターコンソールには、ダイヤル式のATシフターが装着される。
このあたりのデザインは、2015年10月のマイナーチェンジで変更されて、質感も高められた。
安全装備を充実させたことも注目される。センサーにはミリ波レーダーとカメラを採用して、前面衝突の危険が生じるとドライバーに警報を発し、避けられない時は緊急自動ブレーキを作動させる。車線逸脱の警報も行い、車線内に戻るようにハンドル操作を支援する機能も備えた。
後方の死角を補うブラインドスポットモニターも採用され、車線変更時の安全性も高めた。駐車などで後退する時、後方の障害物を知らせる機能もある。さらに安全装備を活用して、車間距離を自動制御するクルーズコントロールも装着した。古典的なセダンに思えるが、安全装備は相応に新しい。
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