プジョーやジープ、フィアットなど米仏伊メーカー連合連合「ステランティス」のクルマが売れている! ニッチな輸入車集団が躍進の理由は個性の尊重にあり

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ステランティスというのは、イタリアの自動車メーカーFCAとフランスの自動車メーカーであるPSAが対等合併することによって生まれた巨大自動車製造グループのことだ。

取り扱うブランドもPSA系がプジョー、シトロエン、DSオートモビル、FCA系がジープ、フィアット、アバルト、アルファロメオと輸入車の中では個性的な車種が豊富。

しかし、そのステランティスの日本での販売台数が伸びているのだ。一体なぜなのだろうか。詳しく解説したい。

目次[開く][閉じる]
  1. ステランティスはFCAとPSAが合併したことで生まれた巨大自動車製造グループ
  2. 2021年7月に日本国内での販売台数過去最高を更新!
  3. 7月に対して8月の販売実績には息切れも感じる

ステランティスはFCAとPSAが合併したことで生まれた巨大自動車製造グループ

少々旧聞に付すニュースになるが、2021年7月にステランティス・ブランドの日本における販売台数が過去最高を更新したという発表があった。

FCAがフィアットとクライスラーという米伊の連合であり、PSAはプジョーシトロエンを軸としたフランス連合というルーツを持つが、それがひとつになったのがステランティスというわけだ。

ちなみに、ステランティスの主導権についてもFCAとPSAは対等となっているが、ステランティスの初代CEOとなったのはPSA出身のカルロス・タバレス氏。

タバレス氏といえば、かつて日産のゴーン体制下において活躍したことで、その名前を覚えている自動車ファンも少なくないだろうが、ルノーCOOを務めた後に、ライバルのPSAへ転身し、そして現在はステランティスのリーダーとなっている。

そのグループ傘下にあるブランドは多彩であり、またブランドの個性が強いものが多い。日本で展開しているブランドだけでいっても、PSA系がプジョー、シトロエン、DSオートモビル、FCA系がジープ、フィアット、アバルト、アルファロメオと計7ブランドを展開している。また来年にはオペルが8番目のブランドとして日本上陸(復活)することも既定路線となっている。

さて、ステランティスの方針は、こうしたブランドを整理するのではなく、ブランドの個性は残したまま、自動運転や電動化といった基本となるテクノロジーの開発においてスケールメリットを活かそうというもので、アメ車のイメージが強いジープであっても、コンパクト系モデルでは、ハードウェアの基本がフィアットの小型車と共通だったりしている。

同じプラットフォームやパワートレインを使いつつ、ブランドの個性をしっかりと残すというクルマ作りについてはプジョーとシトロエンでまったく異なるキャラを実現してきたPSA系の商品企画が得意とするところでもあり、ステランティスとして合併したメリットは、実際の商品において感じられるようになってくることだろう。

2021年7月に日本国内での販売台数過去最高を更新!

そんなステランティスの7ブランドは日本での販売が好調だ。

2021年7月には7ブランドの合計で3,643台を販売、前年同月比128.2%となり、7月単月の過去最高記録を更新した。ブランドごとの内訳は次のようになっている。

プジョー:1,133台(154.4%)

ジープ:987台(98.9%)

シトロエン:575台(163.4%)

フィアット:504台(128.2%)

アバルト:162台(117.4%)

アルファロメオ:194台(293.9%)

DSオートモビル:88台(120.5%)

※()内は前年同月比

旧PSAのリーダーであったプジョーと、旧FCAを代表するブランドのジープが切磋琢磨して、ステランティスの販売をけん引しているといった状況だ。

ジープとプジョーがけん引役! 電動化技術の導入もグループ内で加速化

どちらのブランドにも共通しているのは電動化を進めているという点だろう。プジョーでいえば208や2008に100%電気自動車のバリエーションを増やしているほか、3008や508にはプラグインハイブリッドを設定するなどしている。

ジープにしてもコンパクトクラスのレネゲードにプラグインハイブリッドを用意している。それでいながら、昔ながらのタフ&ワイルドなモデルもしっかりと残している。このあたりのバランス感覚が、日本のユーザーマインドにフィットしたことが、こうした好調につながった。

7月に対して8月の販売実績には息切れも感じる

ちなみに、2021年8月の販売実績は以下のようになり、ステランティスとしての合計は2,789台となった。

ジープ:997台(106.0%)

プジョー:624台(112.8%)

フィアット:571台(132.2%)

シトロエン:219台(70.65)

アルファロメオ:196台(332.2%)

アバルト:139台(129.9%)

DSオートモビル:43台(47.35)

台数的には7月に対しては大きく減っており、販売は息切れしたようにも見えるが、8月の前年同月比でみると111.9%と十分に好調を維持している。

とくにフィアット、アバルト、アルファロメオといったブランドは確実に前年比を超えており、日本におけるステランティスの飛躍を支えている。このあたり旧FCAと旧PSAのライバル心がうまく切磋琢磨につながっていることを感じさせる。

2021年8月までの統計をみると、国産ブランドを含めた輸入車全体のシェアにおいてステランティスが占める割合は約13%。複数ブランドの合計ではあるが、フォルクスワーゲン単体のシェアが10%ほどであることを知れば、ステランティスの健闘が光ってみえてくる。

【筆者:山本晋也】

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山本 晋也
筆者山本 晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ1969年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、雑誌編集長などを経て、2010年代からWEBを舞台に自動車コラムニストとして活動している。タイヤの数や有無にかかわらずパーソナルモビリティの未来に興味津々。「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることもポリシーのひとつ。個人ブログ「クルマのミライ」やYouTubeチャンネルでも情報発信中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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