BMW 新型Z4 M40i試乗|その走りはチャラくない。BMWの基本を備えた優れたスポーツカー(3/4)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:佐藤 正巳
オープンモデルを思わせないガッチリボディ
試乗してみる。
まず驚いたのが、圧倒的な静粛性だ。
何度もいうがZ4はキャンバストップのオープンモデルである。だからこそ、外からの音が入るのはある意味当然、くらいに思っていた。ハードトップのオープンモデルならばまだしも、キャンバストップならば室内と外界を隔てるのは布一枚だからして、ある程度隙間風も入りそうだし、素材的にも遮音や密閉は難しいだろうと思い込んでいたのだ。なんというか、ある種の割り切りが必要なクルマなんじゃないかな、と。
しかしこのキャンバストップは凄い。クローズド・ボディーに近いくらいの静粛性が保たれているのは空力設計のおかげなのだろうか。高速道路走行中もザー、とか、シューとかいう風切り音がほぼ入ってこないのに驚いてしまった。
そして、オープンモデルなのに、といえばもう一つ驚くのは、弩級のボディー剛性!これ本当に屋根開くんですか?と確かめちゃうくらいにしっかりカッチリしている。
それを実感するのが、コンビニなどから一般道に出るときなんかの、大きめのギャップを乗り越えたとき。ボディーがねじれる感じがなく、まるでジャンプから降り立ったアメリカン・コミックスのヒーローみたいに、シュタっ!と華麗に着地するのだ。
もちろん、道路の継ぎ目なんかの小さな入力が連続するようなシーンでも効果てきめん。ただ硬い、だけではなく巧く振動を逃しているのだろう、ねじれ感のなさは本当にお見事だ。
もちろん、ルーフをオープンにしたって印象は変わらなかった。
サスペンションは“M”の名を冠するワリには柔らかい。しかし、このサスペンションセッティングこそが(プロトタイプではあるが)スープラとの最も大きな違いであると感じた。スープラのほうがもうすこし全体的にマイルドなのだ。本当に藤原豆腐店のハチロクじゃないけど、紙コップの水をなるべくこぼさせないような、ロールをじわ〜っと活かして前後左右の挙動を繋げさせるように仕立てられている。
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