BMW 新型X4 海外試乗|筋肉質でエレガントな個性派”SAC”の実力をいち早くレポート

  • 筆者: 飯田 裕子
  • カメラマン:ビー・エム・ダブリュー株式会社

SUVとクーペを融合させたミドルクラスSAC

ユーザーのニーズの多様化をSUV(BMWでは”SAV”=スポーツ・アクティビティ・ビークルと呼ぶ)にも取り入れ、エレガントなクーペのデザインを融合させた、ユニークな”SAC”=スポーツ・アクティビティ・クーペというカテゴリーをX6(2008年~)から導入しているBMW。ちなみにBMWではX1やX3など、奇数ナンバーがつくモデルをSAV、X4やX6など偶数ナンバーがつくモデルをSACとキャラクターを分けている。

SACの現在のラインナップはX6(二代目)に、登場したばかりのX2、そして今回の主役でもある新型X4である。

新型X4は2モデルの中間=サイズ感/ポジションともにミドルクラスに位置するモデルとして、いよいよ二代目へとモデルチェンジを果たしたのだ。今回は生産工場もある北米はサウスカロライナで一足先に試乗することができた。

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新型X4ではホイールベースをストレッチし実用性も向上

新型X4は、スペースや機能性を優先させたX3とプラットフォームを共通としながら、デザインよりスポーティな走行性能が特徴。誰もが安全にSACのドライブが楽しめるようにxDrive=4WDを採用しているのは先代同様で、さらに新型ではバリアブル・スポーツ・ステアリングやバリアブル・ダンパー・コントロールなどの電子デバイスによってより扱いやすく、コントロール性も増している。

ボディサイズは全長4752mm×全幅1918mm×全高1621nmm、ホイールベースは2864mm。これは先代X4に対し全長+81mm、全幅+37mm、全高-3mm、ホイールベース+54mmと若干長く広くなっている。ちなみにプラットフォームを共有するX3との寸法差は全長+32mm、全幅+28mmとX4のほうが少し大きく、全高-54mmとルーフが低い。ホイールベースが延びた分、現行X4と比べ、後席の足下スペースは拡がり、ラゲッジ容量の525L~最大1430L(後席を畳んだ状態)も先代より拡大している。つまり実用性の向上も新型の一つのトピックなのだ。

エレガントと筋肉質が融合した個性的なスタイリング

新型X4のデザインをチェックしてみよう。フロントシートの頭上あたりをピークにリアへと傾斜する、ルーフラインからお尻へと目線を移動させてみてほしい。開発プロジェクトのトップ、デュンケル氏も「新型X4のデザインの最大と特徴はリアにある」と、おっしゃっていたが納得だ。真後ろから見るとダイナマイトヒップにも見える厚みの増したリアまわり。実際の走行性能面でもリアタイヤの踏ん張りが増した性能を体感することができるが、それがカタチと佇まいでもアピールしているのだ。

これまでとの違いは、ボディサイドにまで回り込んだ“水平基調のLEDリアライト”の採用と、ナンバープレートの位置。リアゲート上ではなく、バンパーまで下りたことでリアパネルの面積がより強調され、ダイナミックヒップな後ろ姿からは新しさもビシビシと伝わってくる。

フロントビューも大型かつ三次元的なキドニーグリル、大胆に輪郭を縁取ったツインLEDヘッドランプ、水平基調のフォグランプなどが新型X4の“顔”を構成。空力向上を狙ったグリルシャッター(必要なときだけブラインドカーテンのように開く)も採用された。

ボディサイドは、フロントフェンダーからドアグリップ上を通して、リアライトまでを結ぶショルダーラインと、前後のホイールアーチの間に入るアクセントライン、そして2つのラインが上下から押して盛り上がったような局面と陰影によって、筋肉のような力強さがある。

また一方では、滑らかな曲面によってエレガントさものぞかせる2面性が新型X4にはある。北米でも南東に位置するサウスカロライナの日差しが最も効果的なライティングをして見せてくれたボディサイドだけれど、日本でも個性的なデザインを楽しめるに違いない。

という具合に、つい色々と語りたくなるデザインをSACである新型X4は与えられていた。

インテリアの多くはX3と共用するモノが多いが、X4の場合さらにダッシュボードに採用されていたシボの細かい滑らかタッチのレザーや、センターコンソール左右にも革張りのフッかりしたニーパッドが採用されている。これがスポーツカーのテイストとともにレザー面積を拡大することにも繋がり、ラグジュアリーさも増していた。運転席のみならず、少し高い着座位置の助手席から、なだらかに傾斜するダッシュボード越しに見る風景が優しかったことも書き加えておきたい。今回はペア試乗だったため、運転の上手な先輩のおかげでもあるだろうけれど・・・。

スポーツカーのような安定性と滑らかな乗り心地

試乗は日本に導入予定のX4 xDrive 30iをメインに走らせた。

そこで最も印象的だったのは静粛性の高さと滑らかな乗り心地だ。とにかく静かに滑らかに走る。それだけでエクスクルーシブさが増し、ワインディングではスポーティさが楽しめる。その結果、エレガントなスポーティクーペの乗り味の表現に似た印象を受けた。ランフラットタイヤを装着しているのに・・・だ。

その上、バリアブル・スポーツ・ステアリングの恩恵もあって、ハンドル操作の手応えはほどほどに軽く、しかし常に確かさを伴って、様々なシーンでスムーズなドライブを可能にしてくれていた。カントリーサイドの直線では変な遊びはないし、ワインディングではスイスイとコーナーリングできたのも、コーナーの曲がり具合に対し、少ないハンドル舵角でも切り&戻しを可能にしていたこのステアリング制御と、バリアブル・ダンパー・コントロール、そしてよりリアタイヤのトラクション性を高めたX4のためのボディ設計によるもの。気づかぬうちにアシストしてくれてこその制御デバイスだから、それでいいのです。ただ、X3よりもリアのトラクションが増した新型X4は、ハイスピードコーナリングをせずとも、安定感に頼もしさを覚えたことは間違いない。

トルクフルで賢いパワートレーン

パワートレインは2リッター直4ツインスクロールターボエンジン(252ps/350Nm)+8AT。このエンジン、加速に鋭さは感じられないけれど、十分に速い。それよりもアクセルを踏み込んだ分だけ欲しい力をタイヤに伝えてくれるトルクの頼もしさが、制御の賢いトランスミッションとともにレスポンスよく得られるのがいい。

新型X4の走行性能を洗練させているのは、様々な電子制御のさりげないアシストなのは間違いない。さらに開発プロジェクトのトップ、デュンケル氏は「5シリーズや7シリーズにも採用されているBMWの最新の先進安全技術(最新X3にも搭載)や、ITデバイスをミドルサイズのSACにも搭載できるのが我々BMWの強み」とおっしゃっていた。

デザインや走行性能に個性を、さらに他メーカーに勝るとも劣らぬIT技術を採用した新型X4。最新モデルならではの魅力をふんだんに盛り込んだ新型X4の日本導入は、夏の終わりか初秋になる予定だ。

[Text:飯田 裕子 Photo:ビー・エム・ダブリュー株式会社]

    
BMW 新型X4 xDrive30iの主要スペック

駆動方式

4WD

トランスミッション

8速AT

全長

4,752mm

全幅(車幅)

1,918mm

全高(車高)

1,621mm

ホイールベース

2,864mm

乗車定員

5人

車両重量(車重)

2,400kg

エンジン

直列4気筒ツインスクロールターボ

排気量

1,998cc

エンジン最高出力

185kW(252PS)/5,200-6,500rpm

エンジン最大トルク

350N・m/1,450-4,800rpm

注※本国ドイツ仕様のデータより

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飯田 裕子
筆者飯田 裕子

OL時代に始めたレース活動をきっかけに、クルマへの興味/関心を深め、フリーの自動車ジャーナリストに転身。自動車雑誌への執筆や自動車系TV番組出演などから、活動の場を広げ、現在では女性誌および一般誌、新聞、Web、ラジオ番組でのパーソナリティ、TV、トークショーと活躍の場は幅広い。ドライビングインストラクターとしてのキャリアも長く、自動車メーカーをはじめ、一般企業、保険会社、警視庁などが主催するスクールでの指導にも定評あり。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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