BMW 新型5シリーズ 海外試乗レポート/日下部保雄(2/2)
- 筆者: 日下部 保雄
- カメラマン:BMW Japan
8速ATトランスミッションの採用により燃費と出力を向上
トランスミッションは8速のトルコンAT。
BMWが最近使っているツインクラッチタイプではなく、ロックアップ領域を増やして燃費を改善し、さらにツインクラッチよりもスムースな発進が可能なトルコンを使っている。
さすがに8速もあるとワイドレシオに設定でき、クルージングではエンジン回転をかなり下げることが出来て、非常に滑らかな加速を堪能できる。尚、変速の煩わしさを感じることは全くなかった。
エンジンは直噴のパラレルターボで、直6モデルの最大出力は306PS/5,800rpm、最大トルクは400Nm/1,200~5,000rpm。V8モデルの最大出力は407PS/5,500rpm、最大トルクは600Nm/1,750~4,500rpmだ。
新型5シリーズのエンジンはそれほど高回転型ではなく、むしろ燃費を優先させ、かつドライバビリティを上げるための豊かな低速トルクに特徴がある。
ユッタリとした街中の低速走行も得意だし、高速のクルージングも快適だ。かなり早い流れのポルトガルの高速でも535iの出力の余裕はドライバーをリラックスさせてくれる。
ちなみにボディは軽量化が図られて、従来のE60より一回り大きくなり、装備も充実されたにもかかわらず50㎏の程度の重量増に収まっている。
ちなみに、サーキットではさすがにBMW。プレミアムミドルクラスとは思えないほどの軽快さで、高速コーナーは弱いアンダーステア、低速コーナーもオーバーステアが顔を出しにくい設定だ。
ただし、ウェットで特に滑りやすくなるエストリルサーキットでDSCをオフすると有り余るパワーを制御するのに精一杯になってしまう。
電動パワーステアリング(ESP)は、BMWのスッキリとした切れ味をそのまま継承しており、早い切り返しがなければ、滑らかで爽快だ。
新型5シリーズ セダンはどこまでも滑らかで、ある意味ではBMWらしさが薄れたところもあるが、間違いなく良いクルマだ。今後、ツーリングを初めとして続々とラインナップが充実してくるのが楽しみだ。
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