アウディ TTクーペ 試乗レポート
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:小宮岩男
ほかに類を見ない斬新なデザインは今も健在。
大胆なフォルムで世界に衝撃を与えたアウディTTクーペがヨーロッパでデビューをしたのは1998年の夏のこと。以来すでに丸5年の歳月が流れたが、今見てもTTのルックスは斬新そのもので決して古さを感じさせない。「ホイールの上のデザイン」と称するように4つの車輪をことさらに強調したTTクーペのエクステリア・デザインは、アーチ型のルーフラインと丸みを帯びたフロント/リアエンドの処理がさらに個性を決定付ける。ただし「丸いテールは空力性能に劣る」というのは今や世界の常識。ゆえにTTクーペでも、「当初はデザイナーがかたくなに拒否した」というリアスポイラーの装着を結局余儀なくされたというエピソードも伝わっている。
ハードウェア上のベースは現行のA3。より高い走りのパフォーマンスを有するA4用のコンポーネンツをベースに用いなかったのも、「TTならではのショートオーバハング・プロポーションを実現させるためには、エンジン縦置きのA4ではなく横置きのA3をベースにする必要があったため」と言う説明だ。
ユニークなデザインと質感の高さを両立。
全長わずかに4mプラスというコンパクトさながら、個性的なエクステリア・デザインによって圧倒的な存在感を放つTTクーペ。が、インテリアのデザインもそんなエクステリアに負けてはいない。それどころか「これならばインテリアのデザインだけで購入を決めても良い!」と思わず言わせてしまうほどのインパクトを味わわせてくれるのがこのクルマの室内でもあるのだ。
「アルミに見える部分には、すべて本物のアルミ」というTTクーペのインテリアだが、それも含めてその質感の高さは特筆レベル。ダッシュボード中央部の空調吹き出し口は前方へと“貫通したデザイン”を採用するなど、こちらも何とも大胆で個性的だ。
ユニークなのは視界の広がり感で、デザイナーはこのクルマに乗った際の景色の広がりを「フルフェイスのヘルメットから外界を覗き見た感じ」と表現している。実際に乗ってみるとそれも“さもありなん”の印象。なおスペース的にはやはりあくまでも前席の2人が優先。合法的に2人が後席にも乗れるが大人ではテールゲートのガラスが頭上に迫り、決してゆったり座るというわけには行かない。
AT仕様は専用設計の6速ティプトロを採用。
これまでMT仕様のみだったアウディTTクーペだが、2002年の11月についにAT仕様車が登場。180psエンジンを搭載するFWDモデルに組み合わされたトランスミッションは、シーケンシャルモードの付いた先進の6速トルコン式AT“ティプトロニック”だ。一方、このモデルの投入と同時に従来のMT 仕様のFWDモデルはカタログから落ち、日本の最新TTクーペは「225psエンジンを搭載する4WDの『1.8Tクワトロ』と180psエンジンを搭載するFWDの『1.8T』の二本立てになった。
1.8Tの心臓で有効なターボブーストが発生するのは2500rpm以上。それ以下でも極端にトルクが細いわけではないが、昨今のターボ付きエンジンの中では比較的“段差”感がハッキリしているのがこのエンジンの特徴だ。そのために、スタート時にアクセルペダルを深めに踏み込むと、その後のブーストの立ち上がりと共に加速感が急激に盛り上がる傾向が強い。こうして滑らかなスタートが切り難いのは、このクルマの弱点の一つだ。 が、それを除けばシフト動作も滑らか。車両重量が『クワトロ』よりも100kg以上軽いため、全般的なクルマの動きがより軽快なのは美点に数えられる。
さらに過激なバージョンも……。
アウディTTクーペは今でも十分新鮮な香りを放つ一台。そして「そのルックスにこそ魅力を感じる」という人にとって、400万円を切った価格で提供されるAT仕様の『1.8T』の追加投入はなかなか魅力的なニュースと聞こえるはずだ。
一方、「本格的なスポーツモデルとしては4気筒エンジンであるのがちょっと…」と現在のラインナップにそんな不満を抱く人にも朗報がある。それは2003 年に「3.2リッターのV6エンジン搭載モデルを発表する」という計画が先日発表されたからだ。ちなみにこのV6モデルはそのトランスミッションに、2ペダル方式のMTを採用するというからまたこちらも楽しみ。
見た目上でもその内容でも、先進イメージを売り物にするアウディにまさにピッタリなコンパクトなスペシャルティカーがTTクーペなのである。
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