アウディ A7スポーツバック 海外試乗レポート(3/3)
- 筆者: 大谷 達也
- カメラマン:アウディジャパン
クワトロらしい安定感とフラットで快適な乗り心地
運転し始めてすぐに感じられるのは、乗り心地の良さである。
オプションで用意されるエアサスペンションをもっともハードな「ダイナミック」にしても路面から突き上げられることなく、段差を乗り越えても強い衝撃は感じない。そのままスピードを上げていけばフラットで心地の良い乗り心地を味わえる。
逆に、もっとも柔らかい「コンフォート」を選ぶと、もう少ししっかりボディを押さえ込んで欲しいと思うことさえあった。
今回はSライン・スポーツサスペンション装着車にも試乗する機会を得た。
こちらは金属バネを用い、標準モデルに比べて車高が20mm下がる硬派なスペック。しかし、これも拍子抜けするほど乗り心地は快適だった。それでいてハンドリングのレスポンスはより鋭くなっているので、機敏な走りが楽しめる。
タイヤはどちらも235/35R20という過激なサイズを装着していたが、この大きなタイヤを苦もなく履きこなしてしまうのだから、ボディ剛性を含めたシャシーの完成度は非常に高いといえる。
A7スポーツバックのクワトロ・モデルは、センターデフに新世代のクラウンギア式を採用しているが、今回試乗した範囲でいえば不自然な印象はまったくなし。クワトロらしい、どっしりとした安定感が印象的だった。
日本に導入される見通しのA7スポーツバック3.0TFSIに搭載される3.0リットルV6スーパーチャージャー・エンジンはレスポンスがより改善されており、もはや過給器付きエンジンであることはほとんど感じられないほど。
それでいながら7段Sトロニック(DSG)との組み合わせにより、ヨーロッパの複合モードで12.2km/リットルという、このクラスとしては優秀な燃費性能を誇る。
これには、アルミを多用して1,785kgに仕上げた軽量化技術も貢献しているはずだ。
ダブルクラッチシステムを用いたSトロニックは例によってスムーズかつ素早いシフトを実現しており、A7スポーツバックのダイナミックな走りを側面からサポートしていた。
A5スポーツバックのセールスは日本国内でも好調と聞くが、そのコンセプトをより明確に打ち出したA7スポーツバックも美しいスタイリングと頼もしい走りで好評を博すことだろう。
日本導入時期は未定ながら、来年中ごろと見込まれる。
価格も未発表だが、ここでは900万円前後と予想しておく。
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