アウディ A8 試乗レポート
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:難波 賢二
オールアルミ構成を採用したフラッグシップ・サルーン
A8。それはアウディ・ラインナップの頂点に立つモデルであると同時に、「最もアウディらしい一台」と言って良いモデルであるともぼくは思う。ここで意味する“アウディらしさ”――これは、「新技術が満載されている事」と同義語だ。メルセデス・ベンツのSクラスやBMW7シリーズといったライバルに対する A8ならではのハードウェア上の最大の特徴は、このクルマのボディがオールアルミ構造で成り立っている点にある。
全長5mを超える大きなボディにフラッグシップ・サルーンらしい装備を満載すれば、通常その重量がかなりのものとなってしまう事が避けられない。ところが、燃費の悪化や衝突時の攻撃性増加に直結する重量増は、今や時代の要請に思い切り逆行をする事柄だ。ここのところを根本的に打破するべく、アウディではかねてから技術を構築してきた“ASF”(アウディ・スペース・フレーム)の構造をこのモデルに採用した。「新型A8のボディシェルはクラス最軽量を誇り、同等スチール・ボディと比較をすると約50%も軽量化されている」というのがアウディ側の説明になる。
他のモデルとは一線を画すA8の風格
4つの大きな車輪がしっかりと大地を捉える骨太感の強いロワーボディに、4ドアでありながらちょっとクーペ風の流麗なグラスエリアが載る……そんな雰囲気が強いプロポーションのA8のエクステリア・デザインは、いかにもアウディ車らしいテイスト。フロントマスクにはバンパー部分を挟んでグリルが上下に分かれる“旧タイプ”が採用されるが、何でもかんでも“シングルフレーム・グリル”を採用する多くの最新アウディたちに対してハッキリとした差別化が図れるという点では、フラッグシップ・モデルとしてはむしろより相応しい顔付きかも知れない。
インテリアがどこをとっても上質なつくりであるのはアウディ車の真骨頂。が、室内空間そのものは想像をしていたほどに広大という印象ではない。もちろん絶対的には全く不足は感じないし、特に『L』の記号が付くストレッチ・モデルでは足元にも際立ったゆとりが残る。が、それでもエンジンとトランスミッションを縦置きにした上に後輪駆動システムも加えるこのモデルでは、室内スペース面で“FFレイアウト・ベース”のメリットを生かす事は出来ないというわけ。すなわち、そこにはメルセデスやBMWなどのFRレイアウト勢に対するアドバンテージは残念ながら存在しないのだ。
リアシートよりもVIPなドライバーズシート
いかにリアシートに迎えるゲストを意識したフラッグシップ・サルーンではあっても、「それでも“特等席”はドライバーズ・シート」というのが欧州流の考え方。もちろんこのモデルも例外ではない。どんなシチュエーションでもきっちり走れてこそ、初めてショーファー・ドリブンにも相応しい適性を備える事が出来る……と、このクルマをドライブするとやはりそんなメッセージ性を痛感させられる。
まずはこのクルマ、どのような路面状況でも安定感が圧倒的な高さ。さすがは“クワトロ”システムを採用するだけあり、その走りの基本テイストからは「ちょっとの雨・風でふらつくようでは『高級車』の資格はあらず!」という叫びが聞えて来るようでもある。バイキセノン式のアクティブ・ヘッドライトは常に進路を明るく照らし、自動防眩式のルーム&ドアミラーがドライビングに有害な光をカットする。このところ、レーンからの逸脱を警報するシステムや様々なプリ・クラッシュ機能などが脚光を浴びているが、むしろA8が標準採用するこうしたシステムこそが「真のドライバーズサポート・アイテム」だとぼくは思う。
オーナーとして敢えてアウディのA8を選択するということ
A6がフルモデルチェンジをして「まるで“A7”ではないか!?」と思えるほどに大型化を果たした現在、A8のフラッグシップ・モデルとしての立場はやや微妙なものとなったと言わざるを得ないかも知れない。が、“標準車”に対して130mmのストレッチ化を行ったこの『L』バージョンに触れてみると、やはりA6とは明らかに異なる独自の貫禄というものか感じられるのは事実だ。
ヨーロッパの社会では、いかにも“重厚長大”感が拭えないSクラスや7シリーズに対し、敢えてアウディのA8を選択するという行為が「自然や環境という事柄に対してより深い理解を持つという意識のアピールにも繋がる」、というハナシを耳にした事がある。それが果たしてどれほどの効用を現実にもたらすのかは定かではないが、確かに経営者がメルセデスやBMWではなくこのクルマで現われたら「ここの企業はひと味違うナ」と感じる人は少なくないのではないだろうか。
アウディというブランドの魅力というのは、そうしたイメージを膨らませる事が出来る点にもあると思う。
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