アルファロメオ新型ステルヴィオ試乗レポート|ラテンの血が流れるエキサイティングなSUV(2/2)

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”個性的でヤンチャ”がアルファロメオの真骨頂

エキサイティング、というのは、じゃじゃ馬とも言い換えられる。

アルファロメオにはドライブモードとして「D・N・A」のスイッチが用意されている。Dはダイナミック、Nはノーマル、Aはオールロード、つまりいわばエコモードのように、やや出力を絞ったモードだ。

でも、結論から言えば、「え、もうAでええやん」なのである。それくらいにわりとカゲキなのだ。2リッター直4エンジンとは思えないほどなのは、ターボの効かせ方が実にラテンそのものだから!

ノーマルのNですら、踏めば突然グイっとトルクが膨らんで、ともすればGに身体を押し付けられるような加速をする。ただ、トランスミッションとのマッチングはまだ熟成の余地がありそうで、たとえば速度を落とした後に再加速、なんていうシーンでは下のギアにすぐに切り替わらず、ややタイムラグを感じさせられたときもあったので、これは今後の改良に期待したい。

そしてDだ。

一般道では「誰が使うのん?」と聞きたくなってしまうほどのピーキーさ!まあ、ガツンと生まれるトルクの派手なこと派手なこと。アクセル踏力以上のソレが瞬間で発生するものだから、ともすればパワーに振り回されてしまうほど!実にラテンらしい、ワイルドさを備えている。

しかし、特にハードな登坂道は本領発揮!どんな傾斜だってまるでフラットな路面のように楽々走破してしまうのだ。

そしてA。それらのともすれば過敏な味付けが嘘のように、“普通に流せる”モード。血気盛んに走りたい気分でなければ、日常生活にはコレで十二分だ。

それから、ココも上級者向けなのがブレーキの過敏さ。5ポットのブレーキだからとてもよく効くのだけど、その効きはじめを掴むのにややコツが必要だ。ラテン車にはよく見られるフィーリングなので、初めてイタ・フラを選ぶ人は乗りこなすのにコソ練して欲しい。

使い勝手では注意が必要

使い勝手の点で注意してほしいのは、純正の車載ナビゲーションシステムが用意されていないところ。Apple CarPlay、Android Autoに対応させ、メインディスプレイに表示させるという割り切りだ。

私自身、iPhoneユーザーだが、いかんせんこのApple純正マップアプリの使い勝手がよろしくない。そして現在、Apple CarPlayにはiPhoneなどにダウンロードしているGoogle Mapなどはディスプレイに表示させることが出来ないから、ご注意を。

これほどまでに個性に溢れたステルヴィオの仕上がりで、色々辛口なコメントになってしまったが、”総論で言えばグッド”なのが面白い。

ニヤリとさせられるのだ。

いよいよアルファロメオがヤンチャさを本領発揮してきたな、と。今後を期待させるようなクルマだと感じた。

ジョルジオ・プラットフォーム第2弾

同社がこのステルヴィオの前に市場に送り出した、渾身のセダンをおぼえていらっしゃるだろうか。そう、ジュリアだ。

このジュリア、新プラットフォーム「ジョルジオ」を採用した初めてのモデルで、これまで“マニアックな層にしかウケない自動車メーカー”だったアルファロメオを(私見じゃないですからね!同社談ですので、アルフィスタの皆さんはどうか石投げたりしないでね!)、ジャーマン3に食い込むプレミアム・カーメーカーに成長させるべく、造り上げられたモデルだった。たしかに、驚くほどドイツ車をベンチマークした硬質な走りには、ドギモを抜かれたものだ。

そしてステルヴィオは、そのジョルジオ・プラットフォームを使用した、第2のモデルになる。

コンサバティブな購買層を見込まねばいけないジュリアでは「いい子」風に仕上げてきていたけれど、若く、アグレッシブな顧客層を見込んだステルヴィオでは、信頼のプラットフォームをもとに水を得た魚のようなクルマづくりができたのではないかな。

一筋縄ではいかない、だからこそ面白い。刺激を求める人にこそ、選んで欲しいと思う。

刺激的だけど、運転支援装置類は充実しているからご安心を。自動緊急ブレーキ、歩行者検知機能付き前面衝突警報、車線逸脱警報、ブラインドスポットモニターなどのほかにアダプティブ・クルーズ・コントロールも用意される。

現在、デビューを記念したファースト・エディションを展開中だが、なんと、追って3リッター510psのクアドリフォリオも追加されるというから期待して欲しい。

[Text:今井 優杏/Photo:島村 栄二]

アルファロメオ新型ステルヴィオ主要スペック

アルファロメオ 新型ステルヴィオ ファーストエディション

全長

4,690mm

全幅(車幅)

1,905mm

全高(車高)

1,680mm

ホイールベース

2,820mm

乗車定員

5人

車両重量(車重)

1,810kg

駆動方式

4WD

トランスミッション

電子制御式8速オートマチック

エンジン最高出力

206kW(280ps)/5,250rpm

エンジン最大トルク

400Nm(40.8kgf・m)/2,250rpm

排気量

1,995cc

JC08モード燃費

11.8km/L

燃料

無鉛プレミアムガソリン

価格(消費税込)

6,890,000円

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

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