アルファロメオ 4C 海外試乗レポート/西川淳(3/3)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:フィアット クライスラー ジャパン
劇的な加速フィール
オープンロードに出たので、DNAをA(アクティブ)にし、マニュアルモードでフル加速を試みた。
加速フィールは劇的だ。一般道でもアッという間に200km/h近くに達する。しかも、安定している。恐怖感がない。そして、ブレーキングの安定感も素晴らしい。
シフトアップそのものも非常に早かった。もう少しキレ味のよさを演出してくれてもいい気がしたが、変速時間自体はかなり短い。アクセルオフ時のバックタービン音は“お下品”。
ただし、極端なターボラグは感じない。トルクの太いNAエンジン、たとえばV8自然吸気の5000回転以下を移植したかのようなフィーリングだ。車体の軽さと相まって、細かなスロットルワークにもよく反応し、右足の出し入れが楽しくなる。
そのぶん、5000回転以上のエンジンフィールはさほど楽しいものではなく、最大パワーが発揮される6000回転までは、惰性で回っているようにも思えた。
一体感に充ちていて、ミッドシップカーにありがちなハンドリングピーキーがまるでない
短い時間だったが、バロッコの特設サーキットでも試乗した。
ひとことでいえば、“ファン”だ。純粋に、楽しい。開発コンセプトが、実に明確に、伝わってくる。サーキットから降りた今となっては、安っぽいインテリアだって許せてしまう。
特に鮮烈な記憶は、速度をどんどん上げていっても、どこまでもフラットに徹すること、なかでもハイスピードコーナリング時におけるニュートラル~弱アンダーの車体の動きと、両手と腰に伝わってくる車体反応の心地よさだった。
とにかく扱いやすい。一体感に充ちている。ミドシップカーにありがちなハンドリングピーキーがまるでない。
ないから“ツマラナイ”という意見もあるだろう。実際、スタビリティの高い後輪を滑らすことは難しい。けれどもそのぶん、前アシをしっかり路面に食いつかせて、リアのブレークを気にかけることなく、ガンガン攻込んでいける。ブレーキペダルも含む右足の出し入れに、クルマが素直に前後左右の反応をみせるから楽しいし速い!
この日のプレゼンテーションで、日本のローンチエディション(今回の試乗車とほぼ同じ仕様、世界1200台限定、アジア200台、日本割り当ては不明)が、本社希望価格で730万円と発表された。ヨーロッパではベースモデルとの差が7000ユーロである。ということは、日本仕様のベースモデルが600万円台になっても不思議じゃない。
“実現のスーパーカー”、その正式な価格も含め、日本仕様の発表は来年早々になる予定。デリバリー開始は、早くて来春、遅くとも初夏、となるはずだ。
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