日本にない日本車 「アキュラ」 ~2012年登場、第2世代『RDX』~/桃田健史(2/2)
- 筆者: 桃田 健史
「ILX」「TL」「RLX」「TSX」「RDX」「MDX」「ZDX」の7車種。
これらを個別に見ていくと「IRL」とは、シビックのシャーシをベースにした4ドアセダン。パワーユニットは2.0リッター(150hp)、2.4リッター(201hp)、そして1.5リッターハイブリッド。
「TL」はDセグメントセダン。直線的なカットラインの風貌で、近未来的なイメージを受けた。ライバルBMW3・5シリーズから多くの顧客が現行TL登場を機にアキュラに流れた。ラインナップは、3.5リッター・V6(280hp)のFFと、SH-AWD搭載の3.7リッター・V6(305hp)。 登場時期は2009年。それから6年周期、フルモデルチェンジは2013年~2014年が妥当だ。
「TSX」はCセグメントセダン/ワゴン。日本の「アコード」がベースで、パワーユニットは2.4リッター(201hp)。セダンのみ3.5リッター・V6(280hp)がチョイスできる。 こちらも「TL」同様に2009年誕生であり、2013年~2014年のフルモデルチェンジが期待される。
SUVでは、今回試乗した「RDX」の上に、「MDX」。3.7リッター・V6(300hp)。さらにその上、同ユニット搭載のクロスオーバーモデルとして、BMWX6をライバルとする「ZDX」がいる。この衝撃的なデザインフォルムに一目惚れしてしまい、衝動買いするアメリカ人も少なくない。「MDX」は2006年登場のため、2013年頃にフルモデルチェンジか。「ZDX」は2009年登場でフルモデルチェンジは2013~2014年が予想される。
こうして全モデルの動向を再チェックしてみると、2012~2014年にかけてフルモデルチェンジが続く。そして、モデル一新の締めくくりのタイミングで、新型「NSX」登場というシナリオである。
アキュラ、日本登場は本当にあるのか?
5年程前、ホンダの国内市場担当役員は「アキュラ日本導入」を公言していた。 ところが・・・。
あのリーマンショックは、ホンダの世界戦略を一変させた。
さらに、リーマンショック後の新興国各地で、市場の風向きが少しずつ変わっていった。
中国では日米欧韓、そして中国地場メーカーとの間で競争が熾烈に。ロシアを含めた欧州では、ホンダ四輪事業全体が伸び悩んだ。
日本ではミニバン&軽自動車、そして日本特有のハイブリッド車市場への特化が進んだ。
こうした変化のなかで、アキュラのポジショニングが模索され続けてきた。
アキュラは1986年、北米生まれだ。北米で絶大なる人気を誇るホンダブランド、その拡張路線として登場。80年代~90年代、アキュララインナップはけっして、「ホンダの高級車」ではなかった。ラグジュアリー路線ではなく、あくまでもスポーティ性を前面に押し出していた。エントリーモデル「RSX(インテグラ)」が若者層にも受けた。
だが、アキュラの成功を追うように登場した、レクサス、インフィ二ティ。さらには、メルセデス、BMWが北米特化のSUV攻勢をしかけてきた。また、キャデラックはFRの走りの良さを強調、リンカーンがアメリカン・ ヘリテージ路線のラグジュアリーで押し迫ってきた。
アキュラ登場以来の歴史、そして主力市場のアメリカでの競争激化、さらにリーマンショックを経て変動が加速する世界市場。
そうしたなかで、ホンダ経営陣としては「日本へのアキュラブランド投入の封印」を余儀なくされた。
だが、再び時代が変わり始めている。
その新たなるトレンドのなか、2015年新型「NSX」を目指した、ラグジュアリー路線でのアキュラ・フルラインアップ化が進行しているのだ。
最近、日本の経済メディアでは「アキュラ日本導入か」という記事が見受けられるようになった。
新型「NSX」の日本導入は決定している。同車は全数アメリカ・オハイオ生産になり、日本に輸入される。このタイミングで、アキュラ日本導入があるのだろうか・・・。
ちなみに、今回の「RLX」記者発表の際、ホンダ関係者は「日本ではレジェンド後継の登場を公言しているが、RLXがそのまま日本に導入されるかどうかは、分からない」という。
やはり、新型「NSX」をキッカケとして、「RLX」を含むアキュラブランドが日本に登場するのだろうか?
日本を含め、世界市場でいま、アキュラ大改革が進行している。
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