トヨタが新スポーツカーブランド”GRシリーズ”始動で挑む大変革とは[発表会レポート]

  • 筆者: 松田 タクヤ
  • カメラマン:松田 タクヤ
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TOYOTA GAZOO Racingが”G’s”を刷新

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トヨタのスポーツブランドといえば、クルマ好きな諸兄はToyota GAZOO Racingが展開する”G's”(ジーズ)シリーズが真っ先に浮かんでくるだろう。

トヨタの「G's」シリーズとは、市販車をベースにGAZOO Racingが足回りやボディの強化、エクステリアにチューニングを施し販売していたメーカー直系のカスタマイズカーである。

そのG'sが世に出たのは2010年6月のこと。2代目のノア/ヴォクシーに”G SPORTS”として設定されたのが始まりだ。それ以降、プリウス、ヴィッツ、マークX、アクア、アルファード/ヴェルファイア、ハリアーにも次々とG'sを追加し、走りを忘れたくない世のお父さんなどから高い支持を集め、そのブランドを確固たるものにしてきた。

そんなG'sは既に全車種の販売を終了しているが、9月19日にお台場メガウェブで行われた「新スポーツカーブランド発表会」にて、G'sに変わる新しいスポーツブランド”GRシリーズ”が発表となった!

走行性能のランク別にGR/GR SPORTS/GRMNの3つが設定される新スポーツカーブランドのGRシリーズ。トヨタの新鋭スポーツカーブランド発表会の模様をお届けする。

■関連記事トヨタ、新GRシリーズを発表!86・プリウスPHV・ハリアーなど9車種全13モデル

ガズーレーシングカンパニーは、スポーツカーを通じてトヨタに変革をもたらす!

「トヨタ、レクサス、ガズーと分断していたトヨタのモータースポーツ活動は2015年にガズーレーシングのもとに統合されました。それから二年余り、ガズーの理念に基づくレース活動とクルマファン作りに務めてきた結果、ガズーレーシングは国内は元より欧州など海外においても注目される活動となり、それはWRCの参戦により確固たるものになりました。」

「初代アルテッツァを改造して完走した、ニュル24の奇跡から10年目に当たる2017年4月に、新たなスタートをすることになったガズーレーシングカンパニー。ガズーレーシングカンパニーに与えられたミッションは、第一にレース活動で得た知見を活かして世界に通用するスポーツカーを商品として世に出し、新たな顧客層を開拓すると同時に収益に貢献すること。第二に、開発から生産から販売まで一貫して担当しうる最小のカンパニーを具現化し、新しい仕事のやり方に果敢に挑戦してトヨタの変革をも促すこと。」

「それらの具体的なかたちとして、これまでのスポーツモデルを集約してガズーレーシングならではの新たなスポーツブランドを立ち上げることになりました。それが、本日皆様にご紹介する”GR”ブランドでございます。」

変革と挑戦の旗印 ガズーレーシングカンパニーのビジョンとは?

「ガズーレーシングカンパニーは単なるマニファクチャーではなく、レーシングカンパニーです。WECやWRC、ニュル24など、世界有数のレースにワークスチームとして参画し、エンジニアやメカニックを送りこんでいるまさにレースの実戦舞台が市販車の企画、開発、生産機能を持っていることです。」

「レースという極限状態のなかで人を鍛え、鍛えられた人がクルマを鍛える。そこから生まれる味をコストや品質など色んな制約の中で市販車にどれだけ落とし込むことができるか挑戦する、それこそがガズーのクルマ作りです。そしてそれは机上の会議で仕立てられたものではなく、あくまで汗と油によって作りこまれた味こそがGRブランドが目指すものです。」

「そのクルマ作りは、まずは標準車のコンプリートカー作りから始まり、次の段階ではスポーツ車専用のプラットフォームを手に入れる。そして最終的には世界に通用するピュアスポーツカーを世に出し、ラインナップを完成させます。」

「そして最も大切なことは、永続的なモータースポーツ活動を可能とすることです。自動車メーカーのモータースポーツ活動は、予算があればやる、無ければやらないというご都合主義ではいけないと考えています。モータースポーツはいいクルマ作りの基盤であると同時に、そこに存在するファンやサポーターの皆様、また命を懸けてレースに臨んでいるドライバーのみなさんの期待に応えるものでなければなりません。その為にも景気に左右されないモータースポーツ事業を実現する。」

「レース活動を通してトヨタの応援者を増やすとともに、社員を鍛え、クルマを鍛える。そしてそのノウハウで世界に通用するスポーツカーを世に出し、収益を出し、レース活動を継続する。そのサイクルを永続的に実現すること、これこそがGAZOO Racing Company(ガズーレーシングカンパニー)が目指す姿です。」

と、ガズーレーシングカンパニー社長の友山茂樹氏はその意気込みを語った。

トークセッションにはモリゾーこと豊田章男社長がサプライズで登場!

友山氏のスピーチのあとは、GR開発メンバーやTGRドライバー達10人によるトークセッションが行われた。トークセッションでは司会役のレーシングドライバー脇坂寿一氏と、オートックワンでもおなじみのモータージャーナリストでモータースポーツMCの顔も持つ今井優杏さんによる質問をフリップによって答えるという方式で行われ、会場を大いに盛り上げた。

トークテーマで特に盛り上がりをみせたのが「モリゾーってどうよ!?」だ。モリゾーこと豊田章男社長はレーシングドライバーとしても有名だが、トヨタ自動車株式会社の社長ということは揺るぎない事実。そんな豊田章男社長に対するホンネをぶつけなければならないということで、トークメンバーの10人は苦笑いを浮かべながらフリップを書き込む姿が印象的だった。レーシングドライバーの小林可夢偉選手はフリップに「AMAZING」と書き込んだが、スペルに自信が無かったのか、なかなかフリップを出せずに会場を笑わせた。

そんな小林可夢偉選手が最初に指され、苦笑いしながらも「とにかく最高です!今年ルマンの・・・」と答えている途中、会場の脇から「こんにちは」という声と共に現れたのはトークテーマの元でもあるモリゾーこと豊田章男社長本人だ! 会場から笑いと拍手があふれ、まさかのご本人登場に会場の盛り上がりは最高潮を見せた。

司会の脇坂氏からの「今ってハイブリッドカーがあってEVがあって、ディーゼルもありますよね。これからモビリティがどこへ進んでいくか分からない時代にこうやってスポーツカーの”GR”ブランドを立ち上げる、その辺りはどういうお考えがあったんですか?」との質問に豊田章男社長はこう答えた。

「どこへ向かって行くかっていうのは正直分からないものです、何故なら市場はお客さんと決めていくものだからです。ただひとつ我々にブレないものがあるとすれば、誰かを喜ばせたいという気持ちです。」

「人がA地点からB地点に動くときに、単なる移動する手段としてだけではなく、心とともに感動させたいということです。MOVEという英語には動くという意味がありますが、感動させるという意味もあります。」

「数ある工業製品の中で”愛”という文字がつくものは自動車だけです。これからどんな時代になっても自動車を”愛車”と呼んでいて欲しい、全ての人に”Fun to drive”を与え続けたい。だからこそ今ここで運転する喜びを提案するGAZOO Racing Companyのような会社が必要だと思いブランドを立ち上げました。」と語った。

トークセッションのあとは、GRシリーズのアンベール!

いよいよトヨタの新スポーツカーブランド”GR”シリーズアンベールの時間だ。友山氏のアナウンスのもと、迫力のあるBGMが会場全体に流れる。そしてスクリーン脇の大きなステージからは、ヴィッツのGRMNを始めとする全11台が姿を表した。

「いかがでしょうか、こちらが第一弾として投入していく”GR”シリーズのクルマです。」と、アンベールされた11台の”GR”シリーズを背に友山氏はこう語った。

友山氏自ら”こちらが第一弾として投入するクルマ”と言っているのだから、これからは様々な車種で”GR”シリーズのクルマが開発されてゆくことが期待できそうだ。

”GR”シリーズ一部のプロモーションビデオとアンベールの様子は、ぜひこちらの動画でご覧いただきたい。

デモランでは、モリゾーが華麗なドリフトを披露した!

発表会後に開催されたデモランでは、豊田章男社長自らがGR MORIZO 86に乗り込み、ライドワン特設コース内でドリフト走行を披露するという大サービスが行われた。

ラリーや数々のレースに参戦し、自らがレーシングドライバーでもあるモリゾーこと豊田章男社長の走りは終始安定したスライド走行を披露し、助手席に乗った人は「スライド中でも絶対的な安心を感じました、さすがです。」と漏らしていた。

これから始まる新たな”GR伝説”に期待大!

まず先行して販売されるのはプリウスPHV/ハリアー/マークX/ノア/ヴォクシー/ヴィッツの”GR SPORT”とヴィッツ”GR”の7車種だ。

さらに今冬にはプリウスα/アクアの”GR SPORT”、86の”GR”も発売が予定され、2018年春ごろには待望の”GR”シリーズ最強モデル、ヴィッツ GRMNが投入される。

実は筆者もヴィッツ”GRMN”のプロトタイプをサーキットでドライブする機会に恵まれたのだが、少し動かしただけで「普通のモデルと全然違う!」と、素人ながらに感じるほどのクルマだった。

車重1140kgのコンパクトなボディに、最高出力210PSと最大トルク25.5kgf.mを絞り出す1.8リッタースーパーチャージャーエンジンを搭載したヴィッツGRMNは、まさに”ヤンチャ”のひとこと。

標準装備されたLSDとザックス製ダンパーの味付けも絶妙で、コントロールが破綻する気配を全く感じさせず、フロントタイヤが前へ前へと路面を”蹴っ飛ばす”感覚をしっかりと感じることができた。

意のままに操れるヴィッツGRMNをドライブしていると、いつのまにか笑顔になり「クルマを運転するって楽しい!」と心から思っていた。この感情こそが、”GR”シリーズが伝えたいことなのだと筆者は思った次第である。

自動車の自動運転化や電動化が始まっているこの時代だからこそ、「愛車を運転する楽しさ」をこのような”GR”シリーズのクルマで味わってもらいたいという友山茂樹社長と豊田章男社長。

これからも次々と新しい”GR”シリーズのクルマを開発し、自動車業界に新たな歴史を刻んでいくであろうTOYOTA GAZOO Racingの動きには、今後も目が離せそうにもない。

[Photo&レポート:松田 タクヤ(オートックワン編集部)]

>>トヨタ、”G’s”から「GR」シリーズへ名前を一新|モータースポーツ直系のチューニングカーを発売[新型車解説/2017/9/19]

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筆者松田 タクヤ
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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