三菱がSUVカンパニーで再出発? 企業再生へ「エクリプス」の名にかけた想いとは

三菱がSUVカンパニーで再出発? 企業再生へ「エクリプス」の名にかけた想いとは
三菱 エクリプス・クロス(撮影:ジュネーブショー2017) 三菱 エクリプス・クロス(撮影:ジュネーブショー2017) 三菱 エクリプス・クロス(撮影:ジュネーブショー2017) 三菱 エクリプス・クロス(撮影:ジュネーブショー2017) 三菱 エクリプス・クロス(撮影:ジュネーブショー2017) 三菱 エクリプス・クロス(撮影:ジュネーブショー2017) 三菱 エクリプス・クロス(撮影:ジュネーブショー2017) 三菱 エクリプス・クロス(撮影:ジュネーブショー2017) 三菱 エクリプス・クロス(撮影:ジュネーブショー2017) 三菱 エクリプス・クロス(撮影:ジュネーブショー2017) 三菱 エクリプス・クロス 画像ギャラリーはこちら

SUVカンパニーとしての再出発

三菱 エクリプス・クロス三菱 エクリプス・クロス(撮影:ジュネーブショー2017)

三菱自動車にとって久しぶりの新型モデルとなる、エクリプス クロスが今年、日本を含めて世界各国で発売される。このクルマ、なぜこのタイミングでの登場となるのか? そこには2つの理由がある。

ひとつは、三菱自動車がSUVカンパニーとして再出発するための狼煙(のろし)だ。

三菱自動車の評判は昨年、地に落ちた。燃費計測にかかわる不正問題は、企業としての在り方を問われる極めて悪質な事案だった。私は昨年4~5月、国土交通省で度々行われた同社の記者会見に参加するなどし、同事案の真相を追った。その過程で日産との電撃的な資本提携の発表にも居合わせた。

あれから早くも1年近くが経ち、三菱自動車は再出発に向かって少しづつ歩み始めている。3月にはアウトランダーPHEVの改良バージョンに試乗したが、EV走行の力強さとハンドリングが見事にマッチングし、同車の発売5年目にしてプラグインハイブリッド車の円熟味を感じた。その試乗会場で意見交換した車体部門のエンジニアは、三菱自動車の過去に対して真摯な姿勢を示し、そして未来に対して真正面から向き合おうとする清純さが感じされた。

そうした気持ちが、三菱自動車全体に浸透していると、私は信じる。だからこそ、スイス・ジュネーブショーでワールドプレミアした『エクリプス クロス』は大きな期待をかけている。

同車は、三菱自動車がSUV系に特化するメーカーとして生まれ変わるという、対外的な意思表示である。同社の益子修会長は、三菱自動車が日産傘下になることを公言した際、三菱自動車として独自に企画・製造・販売するモデル数を大幅に絞り込むと説明した。

これからは、SUVカンパニーとして生き残ろうというのだ。中小型のセダンなどは、日産から完成車供給を受けることになるだろう。

また、三菱自動車が日産に完成車供給している軽自動車については、日本の自動車産業界の一部に「軽自動車規格・不要論」が根強くあるなか、中長期的に安定したビジネスとして維持できる保証はない。

そうなると、三菱自動車に残された道はSUVや、それを活用したピックアップトラックとクロスオーバーということになる。

>>三菱 新型エクリプス クロス & エクリプス(89年)等を写真でみる

マツダ「CX-4」と同じ立ち位置?

三菱 エクリプス・クロス(撮影:ジュネーブショー2017)

こうしたSUV系ラインアップでは現在、中小型ではRVR、中型ではアウトランダー、またはタイ生産のパジェロスポーツ(モンテロスポーツ)があるが、世界市場における最近のクロスオーバー人気を踏まえて考えると、RVRとアウトランダーの中間に、三菱自動車としての『生きる道』が見えてくる。それが新型エクリプス クロスだ。

その車格からして、日本でも市場競争力があると、三菱は踏んだ。ライバルとなるマツダ CX-3、新型CX-5、トヨタ 新型C-HR、そしてスバル 新型XVなどとは、商品としての立ち位置を少しずらして設定。エンジンラインアップは、1.5リッターガソリンと2.2リッターディーゼルの2本立てという戦略だ。

なお、エクリプス クロスが狙うこの領域には、マツダ CX-4がいるが、セダンやロードスターなどのフルラインナップを継続するマツダの場合、日本市場でCX-4投入の効果は低いとみて、CX-4は中国を優先市場に据えている。

エクリプスという名前にかけた想い

三菱 エクリプス(1989年)三菱 エクリプス(1989年)

もうひとつの理由は、企業として再生しようという強い意思表示だ。だからこそ、『エクリプス』という名前を使った。

三菱 エクリプスは、80年代末に登場したクーペモデル。日本での存在感はけっして大きくないが、アメリカでは女性人気が高く“セクレタリー(秘書)カー”と呼ばれる新規市場を開拓してきた。

三菱自動車にとって『エクリプス』は、パジェロ、ギャラン、ランエボなど三菱の全盛期を支えた功労者なのだ。

その“エクリプス”の“クロスオーバー”という商品イメージで登場するエクリプス クロスは、新生三菱自動車の旗手になり得る。

また、別の視点からエクリプス クロスを見ると、電動化という足かせを受けず、自由な発想で商品企画が進んだと推測できる。

三菱自動車は近年、アメリカでの販売台数が急減してしまい、そのためアメリカ最大市場のカリフォルニア州が義務化しているZEV法(ゼロ・エミッション・ヴィークル規制法)への対応が微細で済む。

つまり、仮にエクリプス クロスのプラグインハイブリッド車が設定されたとしても、その投入時期は遅いはずだ。

また、EVについては、2015年の東京モーターショーで次期型 RVRをベースとしたモデルを考案しており、ここに日産経由で調達するモーター、インバーター、そしてリチウムイオン二次電池を搭載する可能性が高い。

新生三菱自動車の新たなる船出となる、新型エクリプス クロス。4月15~16日、東京お台場で開催される『モータースポーツジャパン2017』にて、日本初公開となる。

>>三菱 新型エクリプス クロス & エクリプス(89年)等を写真でみる

[Text:桃田健史]

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

検索ワード

桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

三菱の最新自動車ニュース/記事

三菱のカタログ情報 三菱の中古車検索 三菱の記事一覧 三菱のニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる