日独コンパクトSUV対決!ミニクロスオーバー vs トヨタ C-HR どっちが買い!?徹底比較

日独コンパクトSUV対決!ミニクロスオーバー vs トヨタ C-HR どっちが買い!?徹底比較
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輸入車はどれも日本車とは異なる個性を備えるが、特に際立っているのが“BMW ミニ”だろう。

BMWの初代ミニは2001年に登場したが、そのコンセプトや内外装は、1959年から2000年まで販売されたミニ(クラシックミニ)をモチーフにしている。

2001年の登場時点でのBMW ミニはノスタルジックカーのように筆者の目には映っていたが、その後はバリエーションを充実。フルモデルチェンジも施されて今では3代目となり、派生モデルも定着して独自の“ミニ・ファミリー”を築き上げている。

そんなミニ・ファミリーのなかでも高い人気を得ているのが“ミニクロスオーバー”だ。

ミニクロスオーバーはその名の通りSUV風の外観を持ち、5ドアボディで実用性も高い。確かに今ではミニにも5ドアモデルが存在し、さらにワゴンのクラブマンも用意されているのでラインナップの明確な違いは分かりにくいところがあるが、その外観はやはり個性的だ。

ミニクロスオーバーのホイールベースは2,670mmとミニ5ドアより105mm長く、後席の足元空間を広く確保していることも特徴となる。

今回はミニクロスオーバーと、比較車種として現在国内で人気の新型SUV“トヨタC-HR”を比べることにしたい。ミニクロスオーバーは個性が強いためにライバル不在ともいえるが、国産SUVの中ではC-HRも目立っている。ボディサイズも似ており、同じような位置付けにあるともいえるためだ。

外観デザイン・ボディサイズ比較/ミニクロスオーバー vs C-HR

ボディスタイルはミニクロスオーバー・C-HRともに個性的ではあるが、デザインはまったく違う。

ミニクロスオーバーは、3/5ドアのミニに通じる外観で水平基調に仕上げた。サイドウィンドウの下端はクラシックミニに比べると高く、視界が良いとはいえないが、周囲が見にくい印象も受けない。

ボンネットは視野に入り、左右のフェンダーを盛り上げたからボディの前端や車幅を把握しやすい。

C-HRもサイドウィンドウの下端が高いが、さらに後席側のサイドウィンドウが狭い。そのため、斜め後方の視界がかなり悪い。後退する時は、バックモニターに頼ることになるだろう。

ボンネットは手前の部分が視界に入り、ミニクロスオーバーと同じようにフェンダーの左右を盛り上げた。ボディの先端位置と車幅は分かりやすい。

ボディサイズはミニクロスオーバーが全長4315mm、全幅1820mm。C-HRは全長4360mm、全幅1795mmだ。全長はC-HR、全幅はミニクロスオーバーが少し上まわる。取りまわし性はC-HRが後方視界で不利になり、全幅はワイドなもののミニクロスオーバーが少し勝る。

・勝者:ミニクロスオーバー

内装デザイン・インテリアの質感・操作性比較/ミニクロスオーバー vs C-HR

ミニの内装は個性的。クラシックミニがインパネの中央に速度計を配置していた時期があり、このデザインをモチーフにBMW ミニも同じ位置に円形のスペースを設けた。ミニクロスオーバーでは、カーナビ画面がそこに収まっている。

その下にはエアコンのダイヤルスイッチがあり、さらに下部にはエアコンのオン&オフやシートヒーターのプッシュ式スイッチが並ぶ。

さらに最下段にもスイッチがあり、中央にはエンジンの始動と停止を行う赤色のレバーを配置した。この左右には横滑り防止装置やアイドリングストップのオン&オフなど、走行性能に関するレバーがある。いずれも上下に動かして操作する。個性的なので慣れを必要とするが、機能的にはさほど不便はない。

C-HRのインパネ形状はミニクロスオーバーに比べると平凡だが、立体感が伴ってエアコンのスイッチはドライバーの方に少し傾けられているなどの工夫が施されている。

内装の質感は互角だが、操作性と視認性はC-HRが勝っていると判断できる。

・勝者:C-HR

前席・後部座席の居住性比較/ミニクロスオーバー vs C-HR

ミニクロスオーバーの前席は、座り心地がやや硬めで体が座面に沈む感覚は乏しいが、底突き感はなくサポート性に優れている。

シートサイズにも余裕があり、座面の前側を前方にスライドさせると座面を長くすることが出来る。これなら長身のドライバーが座っても、膝の裏側までしっかりと支えてくれる。また、背もたれの高さも十分に確保されている。

C-HRの前席は、座面が適度に柔軟。サポート性は平均的だが日本のユーザーにとっては馴染みやすいだろう。

後席はミニクロスオーバーの場合、座り心地は前席と同じく硬めだが、体にフィットする感覚が伴う。床と座面の間隔も適度で、後席に座る乗員の足が前席の下に収まりやすいため、着座姿勢も自然な印象だ。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ2つ分。4名で快適に乗車できる余裕を持たせている。

C-HRの後席は腰の収まり具合がいまいちで、もう少しサポート性を向上させて欲しいところ。膝先空間はミニクロスオーバーに比べると若干狭いが、足が前席の下に収まって窮屈には感じない。4名乗車にも適している。

・勝者:ミニクロスオーバー

乗降性比較/ミニクロスオーバー vs C-HR

ミニクロスオーバーは、サイドシル(ドアを開いた時に見える敷居の部分)の段差が少し大きいが、ボディスタイルが水平基調だからピラー(天井を支える柱)の角度が立っている。乗降時には頭部の通過性が良い。

C-HRはSUVでは床が低めで足の取りまわし性は良いが、ルーフと後席側ドアの開口部は後ろに向けて下降する。従って頭を少し下げて乗り降りすることになる。

・勝者:ミニクロスオーバー

荷室・ラゲッジルーム比較/ミニクロスオーバー vs C-HR

ミニクロスオーバーはリアゲートの角度を直立させたワゴン風のデザインだから、荷室の広さに余裕がある。荷室容量は450Lを確保。後席にスライド機能が備わるのも便利だ。

C-HRはリアゲートを寝かせた5ドアクーペ風の形状で、床が少し高い。そのために荷室の高さが不足気味だ。荷室容量は318Lになる。C-HRのメリットは、リアゲートを寝かせたことで荷室の開口部が広いこと。床が高い欠点はあるが、荷物の出し入れはしやすい。

また、リアゲートのヒンジが前寄りに備わるので開閉する時の後方への張り出しも抑えられており、狭い場所でも使いやすい。

・勝者:ミニクロスオーバー

動力性能・加速など走行フィーリング比較/ミニクロスオーバー vs C-HR

ミニクロスオーバーのエンジンは、2リッター直列4気筒のクリーンディーゼルターボと、1.5リッター直列3気筒のガソリンエンジンをベースにしたプラグインハイブリッドの2機種。売れ筋のディーゼルには、最高出力150PS(4000rpm)最大トルク33.7kg-m(1750~2750rpm)のクーパーDと、190PS(4000rpm)・40.8kg-m(1750~2750rpm)のクーパーSDが用意されている。駆動方式は、クーパーDには前輪駆動の2WDと4WD、SDには4WDが組み合わされている。

動力性能はクーパーSDまでいかずとも、クーパーDで十分。ターボなのでさすがに1400rpm以下では駆動力が落ち込むが、1500rpmを超えてしまえば加速力に余裕が生じてくる。1700~3000rpm付近は、最大トルクの発生回転域でもあるから加速は活発だ。

そして、クーパーSDならば4リッターの自然吸気ガソリンエンジンにも匹敵する程のトルクを発揮し、まさに“パワフル”と表現できる。アクセルペダルを深く踏み込む機会はほとんど無い。ディーゼルエンジンのノイズは相応に響くので、徐行中の車外から聞こえるエンジン音は少し耳障りになるが振動は抑えられている。

C-HRは1.2リッターターボに4WD、1.8リッターをベースにしたハイブリッドには2WDを組み合わせた。

1.2リッターターボの動力性能は1.8リッターの自然吸気エンジンと同等。4WDなので車両重量が1400kgを上まわり、十分な性能とはいえないが自然吸気に近い性格だから運転がし易い。

ハイブリッドは現行プリウスと基本的に同じユニット。スポーティな印象は無いがモーターの駆動力が高く、登坂路に差し掛かってアクセルペダルを踏み増した時などは反応の仕方が滑らかだ。静粛性も優れている。

・勝者:ミニクロスオーバー

走行安定性比較/ミニクロスオーバー vs C-HR

ミニクロスオーバーは、SUVとしては操舵感が少し機敏だ。キビキビと良く曲がる性格自体は、ミニ全体に通じるコンセプトでもある。

だが、全高が1590mmかつ車重が1800~1900kgに達するSUVとしては、個性的ではあってもバランスはあまり良くない。危険を回避する時などは、相対的に後輪側の接地性が下がりやすい面もある。

その点でC-HRは、ミニのような面白さ、楽しさは希薄だがバランスは取れている。カーブを曲がる時の安心感、落ち着いた運転感覚が特徴だ。

・勝者:C-HR

乗り心地比較/ミニクロスオーバー vs C-HR

タイヤサイズは両車ともに17/18インチが主力になる。少し硬めながら、バタバタした粗さを抑えたことも共通する特徴だ。

その上で比べると、SUVらしい柔軟性を感じさせるのはC-HRになる。

ミニクロスオーバーは引き締まり感が伴い、速度域が高まると快適性も向上する。一長一短だが、時速100kmを上限とする高速道路と低速の市街地という日本の使い方では、C-HRが快適だ。

・勝者:C-HR

燃費性能とエコカー減税比較/ミニクロスオーバー vs C-HR

ミニクロスオーバーのJC08モード燃費は、クーパーDが21.2km/L、4WDのクーパーDオール4は21.3km/L、高出力のクーパーSDオール4が20.8km/Lだ。

対するC-HRは、1.2リッターターボの4WDが15.4km/L、ハイブリッドの2WDは30.2km/Lとなる。ミニクロスオーバーの主力となるディーゼルエンジンは軽油を使うので、燃料の単価がレギュラーガソリンに比べて1L当たり20円ほど安い。

従ってクーパーDの燃料代をガソリンの燃費に当てはめると、実質25km/Lくらいに達する。動力性能に対する燃料代という見方をすれば、ミニクロスオーバーは高効率だ。またクリーンディーゼルの場合、エコカー減税は燃費数値にかかわらず免税になる。

C-HRは、ハイブリッドは2017年度の新しいエコカー減税でも免税を保つが、ターボについては減税対象からはずれてしまう。

・勝者:ミニクロスオーバー

グレードと価格の割安感比較/ミニクロスオーバー vs C-HR

価格は、ミニクロスオーバーでは最も安いクーパーDクロスオーバー(2WD)で386万円。

対するC-HRは、ハイブリッドで最上級のG(2WD)でも290万5200円、1.2リッターターボのG-T(4WD)は277万5600円だ。

C-HRのGグレードにバイビームLEDヘッドランプ(15万1200円)やバックカメラ、ディーラーオプションのカーナビ(30万円相当)などを加えても340万円くらいだろう。

ハイブリッドとディーゼルの価格は同等と判断できるから、割安なのはC-HRだ。

・勝者:C-HR

総合評価・どっちが買い!?/ミニクロスオーバー vs C-HR

多くのユーザーにとって買い得なのは“C-HR”だ。後方視界が劣悪なのは困るが、運転感覚はクセがなくて馴染みやすく、乗り心地も快適に仕上げられている。日本車とあって、価格も割安になる。

対してミニクロスオーバーは、クルマ造りの考え方が根本的に違う。コンセプトの本質を突くのは3ドアボディのミニで、個性的な外観から機敏な操舵感まで、“面白さや楽しさ”を重視する。

ミニでは元々、実用性や使いやすさの優先順位は低い。ただし3ドアのミニではファミリーカーとしては不足しており、選べるユーザーも少数になる。そこで設けられたのが、5ドアとホイールベースを拡大したクロスオーバー、クラブマンと考えれば良いだろう。

従ってミニクロスオーバーは一見するとC-HRと同様の実用性を備えるが、本質は面白さや楽しさだから、理屈を抜きに「このクルマでなければダメ!」と考えるユーザーに適する。普通に選ぶならば、クセのないC-HRを推奨したい。

クラシックミニを基準にすると今日のミニはどれも大きすぎるが、今ではファミリーを構成して、BMWやアウディのようなブランドのひとつになった。最近はフィアットも似たようなラインナップを整えつつあるが、ミニの品ぞろえは充実しており、運転感覚にも共通の持ち味がある。

今はクルマの技術が進歩して、走行性能を含めて実用的な機能では差が付きにくくなった。ミニの統一された持ち味に基づくブランド表現は、今後のクルマ造りでは有効な手段になるだろう。

買い得なのはC-HRだが、SUVとしての趣味性が強いのはミニクロスオーバーだ。

・勝者:ミニクロスオーバー

ミニクロスオーバー vs C-HR/カテゴリー別勝者一覧

外観デザイン・ボディサイズ比較:ミニクロスオーバー

内装デザイン・インテリアの質感・操作性比較:C-HR

前席・後部座席の居住性比較:ミニクロスオーバー

乗降性比較:ミニクロスオーバー

荷室・ラゲッジルーム比較:ミニクロスオーバー

動力性能・加速など走行フィーリング比較:ミニクロスオーバー

走行安定性比較:C-HR

乗り心地比較:C-HR

燃費性能とエコカー減税比較:ミニクロスオーバー

グレードと価格の割安感比較:C-HR

総合評価・どっちが買い!?:ミニクロスオーバー

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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