元レクサスオーナーに最新LCの魅力は響くのか/レクサス LC 試乗レポート
- 筆者: 国沢 光宏
- カメラマン:和田清志
最新のテクノロジーを美しいフォルムでまとったレクサスの最新クーペ
レクサスから美しいクーペ、新型「LC」が誕生した。ラインナップはV8 5リッターと最新V6マルチステージハイブリッドの2つ。次期レクサスLSにも採用予定の最新プラットフォーム”GA-L”(グローバル・アーキテクチャー・ラグジュアリー)を採用した初のモデルだ。長年培った高い評価・分析能力を基に”愛情”をもって厳しい提言を行うことで定評の自動車評論家、国沢光宏氏。かつては自身でレクサス車を所有したこともあるというが近年はそういうこともなくなっていた。果たして国沢氏は最新のレクサスにどう評価を下すのか。気になる試乗レポートをお届けする。
かつて欧米ライバルにも勝る強い輝きを放っていたレクサス
国沢光宏はレクサスに厳しいと思われているけれど、そんなことない。「最初のレクサス」である初代LEXUS LS400(日本名:セルシオ)を買ったし、3代目のLS430にも乗った。なぜかといえば、メルセデス・ベンツやBMWに代表される欧米ライバルのプレミアムブランドに勝る部分を、レクサスがたくさん持っていたからに他ならない。
しかしレクサスの輝きは薄れていってしまう。
なかでも厳しかったのが直近モデルの仕上がり&ブランドイメージ作り。新型ISの試乗会で乗り心地が厳しかったので「なぜトヨタ C-HRのような良質のダンパーを使わないのか?」と聞いたら「コスト的に無理です」。トヨタより200万円も高いのに!
SUVのRXやNXの乗り心地だってトヨタと全く同じ。本質は全く変えず、厚化粧しただけである。
レクサスの顧客の多くは「お金はあるけれど周囲の目もあって輸入車に乗りにくい」という地元の名士。顧客第一主義だというなら、トヨタより高価な分を部品代に回して「もっと良いクルマ」を作って欲しい。
あの輝きが再び! 新型LCの素晴らしい仕上がりぶりに国沢光宏も驚く
長い前置きになった。レクサスの新型LC500/LC500hである。
すでに先行試乗会が行われ、ディーラーには試乗車も用意しているそうで、ハンドルを握った読者も多数。私の読者は「目利き」が多いのだけれど、なかなか評判良い。事前説明によると今までのレクサスよりずいぶん頑張ったそうな。
なるほど実車を見て驚く!
例えばブレーキにキッチリお金を掛けてます。フロントなんか6ポットの対向ピストン式。見たことのないデザインなので、最近ベンツも採用するようになったアドヴィックス(日本のブレーキメーカー)かと聞いたら、そうだという。
クルマ全体の仕上がりだって素晴らしい!
レクサスLC、ハイブリッドとV8はどちらを選ぶべきか
レクサス LCのパワーユニットはV8とV6のマルチステージハイブリッドから選べる。
クルマ好きからすれば、圧倒的にV8の方がパワフルだしエンジンフィールも良い。アイドルストップ無しのクルマで問題無ければおすすめ。ただ世界的にこのクラスのクルマでアイドルストップしないモデルって存在せず。
ハイブリッドはスポーティだし、必要にして十分のパワーを持つ。コスト高のためレクサスですら使っていなかったリチウムイオン電池も、キチンと採用している。加えて従来の”滑らかさだけ”だったハイブリッドと全く違う味付け。ハイブリッドらしさが薄れた反面、楽しさが5倍くらいになってます。
このまま手を抜かず作り込みをしていけば、きっと「違いのわかる人」も納得する魅力的なクルマになっていくことだろう。
ちなみにLC500最大の武器はデザインと雰囲気である。同じ価格帯のポルシェ911よりジェントルだし、BMWやメルセデス・ベンツ、ジャガーのクーペよりカッコ良い。
[レポート:国沢光宏/Photo:和田清志]
LEXUS LC500 主要諸元
全長x全幅x全高:4770x1920x1345mm/ホイールベース:2870mm/車両重量:1940kg/乗車定員:4名/エンジン種類:「2UR-GSE」V型6気筒 DOHC ガソリン直噴エンジン/総排気量:4968cc/最高出力:477ps(351kW)/7100rpm/最大トルク:55.1kgf-m(540Nm)/4800rpm/トランスミッション:Direct-Shift 10AT 10速オートマチックトランスミッション/燃料消費率:7.8km/L[JC08モード燃費]/サスペンション:(前)マルチリンク式(後)マルチリンク式/タイヤサイズ(標準仕様):(前)245/45RF20 99Y(後)275/40RF20 102Y/メーカー希望小売価格:13,000,000円(消費税込)
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