レクサス コンパクトSUV『NX』登場! ~レクサス初の2リッター直4ターボエンジンを搭載~/九島辰也
- 筆者: 九島 辰也
プレミアムコンパクトSUVの流れ
ポルシェ「マカン」、BMW「X4」、それにアウディ「RS Q3」と、このところプレミアムコンパクトSUVが賑わっている。もう少し求めやすい価格帯にはこれまでもこの手のサイズは多く存在したが、上級クラスではまだまだだった。それがここへきて一気に加速している。
4月20日、オートチャイナ、通称“北京モーターショー”で発表されたレクサス『NX』もまたそんな一台だ。「RX」をラインナップする彼らだが、ここでコンパクトSUVをさらに追加した。「ISシリーズ」のフルモデルチェンジ、「CTシリーズ」のマイナーチェンジに続くコンパクト系の進化と言えよう。
「RXのお客様を横取りするくらいでないと競合とは戦えません」
そんなNXプロジェクトだが、それ自体のスタートは2009年5月までさかのぼる。この時期、RXよりもサイズダウンしたSUVをつくろうという話からはじまったそうだ。そのときのことを製品企画を任せられた開発主査の加藤武明 氏はこう語る。
「時期が時期だけに大変でした。前年のリーマンショックの影響が強く難しかったですね。あまりコストをかけられない雰囲気がありました……」
確かにその時期はトヨタには不運が続いた。リーマンもそうだが、アメリカにおけるトヨタバッシングがはじまったのはその直後となる。世界最大のマーケットにおける大打撃は、彼らにとって計り知れない重圧になったことであろう。がしかし、自動車メーカーとして新型車投入は生命線。開発は進む。
「とにかくデザインにはこだわりました。競合がいっぱいいるところへ割って出るのですから、埋もれては意味がありません。まわりには埋もれるくらいならはじめからやらない方がいいという厳しい意見もあったほどです。なので、かなりエッジを効かせたものが出来上がりました。コンパクトSUVに求められるのはスポーティさだと思います。それを思い切り表現したつもりです。こんな感じですから好きにならない人もいらっしゃるでしょう。キライな方はキライでいい。そんなデザインですね」(前出 加藤氏)
確かに、加藤氏が熱弁を振るうだけあり、NXのデザインは個性的だ。スピンドルグリルからなるフロントもそうだし、リアピラーからリアエンドにかけてもそうだ。テールランプなどはかなり複雑な面で構成されている。生産技術の向上から成し得たワザだ。膨らんだフェンダーも力強さとスポーティさをうまく表した。
こうなると“RXの客をとってしまうかも”という心配はないのだろうか。個人的に「RX450h」を毎日の足に使っているが、それをも凌駕する迫力をこいつは持っている。だが、この質問に加藤氏はきっぱりとこう答えた。「RXのお客様を横取りするくらいでないと競合とは戦えません」と。ただこうも付け加える。「RXにはRXにしかないエレガントさがあります」と。なるほど、それは感じ取れる。
アグレッシブなスタイリングにターボエンジンの走り
NXはパワートレーンも魅力がある。レクサス初の2リッター直4ターボというパワーソースがそれだ。これは水冷エキゾーストマニホールド一体シリンダーヘッド+ツインスクロールターボチャージャーというシロモノだが、この他にもターボ用直噴技術や可変角を拡大した連続可変バルタイなんかも装備する。その意味では高効率にこだわり、パワーと省燃費を両立させたといっていい。238psはこのクラスでは数値的に十分となる。
加藤氏の考えでは、このエンジンはハイブリッドを受け入れない国には重要な存在となるそうだ。そうしたエリアでは高出力の省排気量+ターボが売れ線になる。そのためつくりも精緻でなくてはならない。開発時間はかなりかけたという。ちなみに、ディーゼルエンジンに関してはいまは計画がないらしい。レクサスブランドとしては時期早々という見解だ。まぁ、ディーゼルエンジンは開発にお金がかかるというデメリットもある。
この他のパワーソースには2.5リッター直4と電気モーターを組み合わせたハイブリッドがある。すでに「IS300h」と「GS300h」に採用されているものだ。レクサス的にはこいつがメインストリームであってほしいところ。その出来映えは高評価を得ているだけに、SUVでどうなのか期待は高まる。
といった感じの新型コンパクトSUV。そのアグレッシブなスタイリングにターボエンジンの走りは興味がある。早くステアリングを握りたいと思わせるクルマだ。そう思わせるのはデザインの勝利かも知れない。発売は秋頃の予定。ロードインプレッションは……もう少々お待ちを。
レクサス NX 200t/NX300h主要スペック(日本仕様)
NX200t | NX300h | ||
---|---|---|---|
全長 (mm) | 4,630 | ||
全幅 (mm) | 1,845 | ||
全高 (mm) | 1,645 | ||
ホイールベース (mm) | 2,660 | ||
トレッド 前/後 (mm) | 1,580/1,580 | ||
駆動方式 | FF、AWD | FF、AWD (E-Four) | |
エンジンタイプ | 2.0L直列4気筒ターボ | 2.5L直列4気筒 | |
エンジン | 型式 | 8AR-FTS | 2AR-FXE |
排気量 (cc) | 1,998 | 2,493 | |
最高出力 (kW[PS]rpm) | 175[238]4,800~5,600 | ― | |
最大トルク (N・m[kgf・m]rpm) | 350[35.7]1,650~4,000 | ― | |
システム全体 | 最高出力 (kW[PS]) | ― | 145[197] |
トランスミッション | 6速AT | 電気式無段変速機 | |
タイヤサイズ | 225/65R17、225/60R18、235/55R18 |
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