ランボルギーニ アヴェンタドール 試乗レポート/清水草一(1/4)
- 筆者: 清水 草一
- カメラマン:オートックワン編集部
思わず「土下座したくなる」ほど暴力的なアヴェンタドールの造形
戦国期、いい馬に乗るということは、武将にとって実用以上の軍事的プレゼンスがあった。
当時、名馬を持つのは“男の夢”。それに乗っているだけで、仲間から一目置かれ、社会的地位すら上がったのである。あくまで物語ではあるが、山内一豊の妻はヘソクリで夫に名馬を買い与え、それをきっかけに夫は、凡将でありながら土佐一国の太守にまでのし上がった。
馬≒クルマ。そういうことなのだ。実用的にはまったく不必要なスーパーカーの立脚点はそこにある。とにかくすげぇクルマに乗る。それによって男は「立つ」のである!
ランボルギーニ・アヴェンタドール。
これは物凄いクルマだ。何が凄いって、まずカッコが凄い。この強烈なキャブフォワード(キャビンが車体の前寄りにあること)。カウンタック以来のランボルギーニの伝統は完璧に守られている。フロントウィンドウからボンネットにかけての傾斜が、子供が滑り台として使えそうなほど一直線である点を含めて。
加えてアヴェンタドールは、多角形(ポリゴン)の造形を随所に散りばめている。
特にフロントエンドの造形は、湾岸戦争で活動したF-117ステルス戦闘機を完璧に想起させる。「これでレーダー波の乱反射を防ぐのか……」って感じで、たたずまいのすべてが超武闘派。暴力の美である。
見ただけで「参りました!」と土下座したくなる。
アヴェンタドールは、12気筒エンジンを車体中央に積んだミッドシップレイアウトを採用している。ライバルのフェラーリはこの分野からすでに撤退し、エンジンを車体前部に移してしまった。ミッドシップはV8の458シリーズだけ。「もう戦艦はいらない」という判断だろう。
しかしランボルギーニは戦艦にこだわった。どんなにカネがかかっても、どんなにムダでも、とにかく「男は戦艦」!大和でありミズーリなのだ。イタリアの戦艦つーとヴィットリオ・ヴェネトですか?その点に関しては、大乗フェラーリ教信者である私も敬服するしかない。
というような、猛烈に凄い、お値段4,100万円もするおクルマに、サーキットで乗せてくださるという信じられない機会がやってきた。
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