エコカー補助金復活でどうなる!?自動車市場(2/2)

エコカー補助金復活でどうなる!?自動車市場
トヨタ アクア フォルクスワーゲン ポロ フィアット500ツインエア レクサス LS600h レクサス LS600h プリウス S “ツーリングセレクション”(シルバーメタリック) 画像ギャラリーはこちら

今の「燃費基準」は根本的に大きな問題が!

燃費基準が10%厳しくなったのも、クルマの燃費が全体によくなっているわけだから、当然の流れと言えるだろう。

しかしこの対象車の要件、つまり「燃費基準」には、根本的なところで、大きな問題がある。それは、燃費基準が車両重量ごとに決められていて、軽いクルマは厳しく、重いクルマは緩くなっていることだ。

燃費基準そのものを、車両重量ごとに決めるのは、重いクルマの燃費改善を促すという意義はある。しかし、それさえクリアしていれば、減税や補助金を出すというのは、どう考えてもおかしい。

レクサス LS600h

これでは今まで通り、1000万円以上するレクサスLS600hも100%減税対象車になり、しかも10万円の補助金までもらえることになってしまう。いったいナゼ、こんな高いクルマに、減税や補助金を与える必要があるのか!?

これがトラックなら、重いクルマはその分多くの荷物を積めるから、理屈も通る。しかし乗用車はトラックではない。運ぶのは人。あくまで定員までの人員である。

プリウスもレクサスLS600hも、定員は同じ5人(LSには4人乗りもある)。運べる人員が同じで、燃費には3倍の開きがあって、それで燃費の悪いレクサスの方がはるかに巨額の減税を受け、同額の補助金をもらえるのだ。こんなバカな話があるか!

「平成22年度燃費基準」は、おおむね250kgごとに重量区分が設けられてて、ひとつ区分が重くなると、燃費基準がリッター1~3kmも変わる。

たとえば車重1515kgまでは、リッター13kmだが、1516kgだとリッター10.5kmに大きく緩和されるのだ!誰がどう考えても、この基準はメチャクチャではなかろうか?

重量区分の境目より少し軽いクルマは、わざと豪華装備を満載して重くし、燃費基準をクリアしてエコカー減税対象車になるという裏技もまかり通っている。これは、裏ワザを使うメーカーが悪いのではなく、制度が悪い!

「平成27年度燃費基準」の方は、重量区分が110kg前後ごとに改められ、以前よりは細分化されたが、それでもまだまだ粗い。と言うよりも、この重量区分ごとに決められた燃費基準を、減税や補助金の基準にすること自体がおかしいのだ!

減税も補助金も、車両重量とは関係なく、たとえば「リッター20km以上」など、燃費の数字だけでいいじゃないか。重いクルマに優しくする必要などカケラもない!少なくとも、レクサスLS600hに減税や補助金を出す必要はない。そんな超高級車の購入に莫大な減税を与え、かつ貴重な税金で補助をするなど、正気とは思えない。

プリウス S “ツーリングセレクション”(シルバーメタリック)

もちろん、レクサスLS600hの燃費が、プリウスと同じになれば文句はない。しかし、繰り返すが、LS600hの燃費性能は、プリウスの3分の1なのだ。

現状で試算すると、プリウスSツーリングセレクション(252万円)の場合は、取得税10万8000円、重量税2万2500円が免税、自動車税は1万9500円減税、合計15万円の減税。

一方、1550万円のレクサスLS600hLバージョンUZだと、取得税だけで66万4200円という減税になり、総額は74万5700円にもなる。プリウスの約5倍以上だ。

これがおおむね継続されるなど、馬鹿げている。国交省はすぐに考え直してもらいたい。

エコカーについてさらに詳しく知りたい方は、先日発売された拙著『エコカーで100万円得する法』(セブン&アイ出版 1,365円)を一読してみてほしい。

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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