アクティブセーフティの発達で、交通マナーの悪いドライバーを減らせないの?【教えて!MJブロンディ】
- 筆者: 清水 草一
彼らは、大統領をインタビューする時でも足を組みますが(笑)、混んだ電車の中でも、おかまいなしに足を組みます。それが常識なのです。プラス、電車内でもケータイで大声で話まくっています。
運転マナーの常識も異なります。イタリアでは、街中でも常に信号グランプリです。赤信号の先頭に並んだら、必ず隣のクルマと勝負になるのです。後ろのクルマも負けじと加速します。すぐ先が赤信号なのに!
最初は驚愕しましたが、慣れるとこれが面白くてしょうがない。隣のドライバーがおばあちゃんでもフル加速してきます(もちろんMT車)。崖っぷちのブラインドコーナーの突っ込みで、女の子の運転するクルマに負けたこともあります。「死ぬ気か!」と思いました。
2002年ワールドカップの際、来日したイタリア代表チームは、移動用のバスの日本人運転手があまりにもトロいことに業を煮やし、コーチ自ら「俺に運転を代われ!」と迫ったそうです。
何が言いたいかと言いますと、「正義」の基準は国や地方、そして個人個人でそれぞれ異なるので、それをある程度尊重すべきではないか?ということです。
イタリア人は信号グランプリをやりますが、信号のない横断歩道に人が待っていると、フルブレーキングしてでも止まります。この常識は日本にはありませんよね?日本でこれをやったら追突されるかもしれません。
もちろんイタリアにもトロいドライバーはいますが、「トロく走るのは禁止!」という法律ができる気配はありません。みんな舌打ちしつつ、やり過ごします。
「ここは日本なんだから、全員穏やかに走れ!」というのは、ある意味強権的ではないでしょうか? 我々も舌打ちしつつやりすごすべきではないでしょうか? もちろん、アオリで事故を誘発するようなことは限度を超えていますが、すべてを自分の尺度で測ってしまうのも間違いだと私は思います。
すでに車間距離不保持で警告音を発したり、危険だと判断してブレーキをかけるクルマも登場しています。これは、限度を超えた運転をメカが規制するという意味で、今後有効でしょう。
MJブロンディの「ひとりごと」
アオってくるドライバーがいたら、「ガイジンかな?」と思うと、腹も立たないのではないでしょうか。
運転というのは社会コミュニケーションであり、そこではある程度の多様性を認めないと、逆に息がつまってしまうと私は思います。
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