ボルボ XC90 海外試乗レポート(3/3)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:ボルボ カーズ ジャパン
日本での売れ行きもなかなか順調『V50 T-5 AWD』最新モデル
一方のV50 T-5 AWDは、すでに日本にもリリースをされている最新モデル。「ボルボのエントリーモデル初の4WDモデル」とボルボ自らが紹介するそれは、やはりシステムにスウェーデンのハルデックス社製電子制御カップリングを用い、2.5Lの5気筒ターボ・エンジンが発する220psと320Nmの出力を4輪に伝達するというスポーティなスペックを誇るモデルだ。
事実、ターボブーストにしっかりのったシーンでの『T-5 AWD』の速さは、かなり強力、というよりも「強烈」という表現の方が似合っている印象。もちろん、日本の誇るインプレッサWRXやランサー・エボリューションほどの極端さはないものの、その加速力は実用車のそれに求められる範疇を遥かに超えたものである事は疑いない。
それでいながら、V50本来の使い勝手の良さ、ユーティリティ性の高さを少しも失っていない事はもちろんだ。確かに兄貴分であるV70ほどに居住性やラゲッジスペースは持ち合わせないが、一方で「ワゴンは欲しいけれどあそこまでの大きさは必要ないナ」という人にとっては、かなり現実的な選択肢のひとつになるに違いないのがこの一台という事になるだろう。
"前任車"であるV40が、ルックスの点でどうしても「今ひとつボルボらしさに欠ける」というイメージが拭えなかったのに対して、こちらV50は「誰がどこから見てもボルボの一員」と受けとれる点も当然魅力のポイント。実際、日本での売れ行きもなかなかというから、このAWD仕様の追加によってさらに幅広い地域のユーザーから羨望の眼差しを向けられる事になるのは確実だ。
アクセルONと殆ど同時に後輪にもエンジントルクが伝わる印象を体感出来るのは、ハルデックス・カップリングが大いに働いている証拠だ。
実はオーソドックスなカップリングを用いていたかつてのボルボの4WDモデルは、強力なトラクション能力は得られるもののこうした条件下でのハンドリングでは必ずしも精彩を示すとは言えなかった。FWDベースのボルボ車の場合、アクセルONに伴う駆動力はまずは前輪側で発生。それに次いで直ちに後輪側も駆動されるものの、その間のわずかなタイムラグが引き起こす前輪のホイールスピンがアンダーステアのきっかけとなり、どうしてもハンドリングの自在度が制約を受けていたからだ。
ところが、"ハルデックス・カップリング"を用いた最新ボルボの4WDモデルたちは、前述のタイムラグがほとんど無いままに後輪にもエンジントルクを伝えてくれる。結果としてアンダーステア発生の機会が激減し、よりコントローラブルな操縦性を得る事が出来るというわけだ。それでも、厳密にチェックをすると同行のXC90 V8よりはほんのわずかだけ後輪へのトルク伝達タイムラグが大きい印象。これは、今のところXC90 V8のみに、よりレスポンスを高めた"インスタント・トラクション付き"のシステムが採用されているからだ。
それにしても「日本でのベストサイズ」と思われるV50に4WDモデルが追加設定されたのは、特に積雪地帯に住む人にとっては大いなる朗報であるはず。もちろん、高性能の空調システムや即効性の高いデフロスターなど「北欧生まれである特徴」もそうしたシーンではいよいよハッキリと生かされる事になるわけだ。
世の中のあらゆるクルマは、その生まれ故郷の環境下でこそ真の実力を発揮してくれる――これは、これまでの経験に基づいたぼくの持論のひとつ。そして、今回北極圏に持ち込まれた最新のXC90とV50は、まさにそんな思いを実感させてくれるクルマたちだった。
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。