ボルボ S60 試乗レポート

ジェントルにもハードにも対応。「寒仕込み」ボルボの推薦銘柄。

試乗に移る前に、もう一度S60に触れておこう。このクルマはベンツのCクラスやBMW3シリーズといった強敵の存在するDセグメントに投入されるべく開発されたボルボの力作だ。

これまでのワゴンを中心とするラインアップで、ファミリーメーカーというイメージが強かったボルボが、S60では高い実用性はそのままに4ドアスポーツクーペと言われるほどのスポーティなアピアランスを実現した。

こうした勢いに乗じてAWDまでも一気に導入したわけだが、このクルマに使われるシステムは、これまでのクロスカントリーやV70AWDパッケージングに採用されていたビスカスカップリング式とは大きく内容を変えている。

プロペラシャフトの後端、デフに入る直前に設けたハルデックッス(スウェーデンの機械メーカー)･ユニットを用いる4WDシステムなのである。

実際に扱って感じたことは、そのレスポンスの良さ。フロントが空転した後に後輪にトルクが伝わる一瞬の待ち時間とステアリングのブレがない。後輪に素早くしっかりとトルクが伝わるので、パワーオーバーで向きを変えることも容易だ。ワイドトレッドによる旋回安定性もその性能に華を添えている。

価格は、FFに比べて高めとなるが、そのシステムの高性能を考えれば、リーズナブルともいえるのではないだろうか。