ボルボ C70 海外試乗レポート(2/3)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:ボルボ・カーズ・ジャパン
ボルボ C70 海外試乗レポート
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特筆すべき居住空間と完璧な“クーペ・インテリア”を作り上げるルーフシステム

嬉しい事にテストドライブ当日は、朝から「これぞハワイ!」と叫びたくなるような見事な快晴。気温も24~25℃と、オープンカーにはまさにあつらえた様な状況だ。

こうして、周囲の緑の中を木漏れ日のシャワーが降り注ぐような何とも心地の良いロケーションの中では、やはりレッドの試乗車のルックスがひと際映える。ちなみに、ヨーロッパでのC70にはトータルで10色のボディカラーが用意をされる。「この秋にはデリバリーを予定」という日本市場でも、出来るだけ多くの選択肢を残して貰いたいものだ。

ところで、“TWO CARS IN ONE”のキャッチフレーズの下にリトラクタブル式のハードトップを採用したこの新しいC70。クーペとカブリオレの双方を作り分けていた従来型に比べると、フロントノーズ部分が随分と短くなった事に気付く人も居るだろう。実際、全長を比べると実に135mmもの短縮。そして、その多くがフロントセクションで削られているのが新型なのである。

実は、新しいC70がここまで小さくなったのには明確な理由がある。それはこのモデルが『70』という車名を名乗りつつも、ハードウェア上ではS40/V50シリーズの骨格をベースに開発されているからだ。

現行のV70シリーズがデビューをしたのは2000年の事。すなわち、モデルライフがすでに終盤に差し掛かりつつあるこちらよりも、より設計の新しいモデルをベースとした方が安全面などを含め様々な分野で得策と判断した事が今回、S40/V50をベースにC70が成立している事の主な理由と考えられる。もっともこうなると、今度はどことなく従来型よりも“格落ち”をしたように受け取られてしまう可能性もありそうだ。特に、そのキャビン・スペースに関しては「従来型よりも随分と狭くなってしまったのではないか」と想像する向きがあるかも知れない。

けれども、それは杞憂というものだ。それどころかこのクルマは、数ある4シーター・オープンモデルの中にあっても特筆すべき居住性の持ち主とすら紹介出来る一台。中でも、後席の足元とクーペ時の頭上空間は、誰もが予想をするであろう以上にゆとりあるもの。シートバック角度も妙に垂直に近かったりはしないから、新しいC70のリアシートは、大人が十分に長時間を寛げるスペースとして仕上げられているのだ。

トップを上げた状態でのトランクルームのボリュームは400Lと、クーペとしては十分な部類。リトラクタブル・ルーフ採用車はルーフ・システム収納のためのスペースを必要とするため、こうしてクローズ時のトランクスペースはかなり余裕があるのが一般的だ。

一方、オープン時のボリュームは200Lとさすがに半減をするが、ここで特筆すべきは格納したルーフ下のスペースを有効に用いるためのディバイスが装備されている事。このクルマには、スイッチ操作で格納したルーフを斜めに持ち上げる電動リフターが標準装備。すでに他車にも採用例の見られるディバイスではあるが、限られたスペースを有効に使うにはやはりこれは便利なアイテムだ。

ちなみに、天井部分には全体に立派な内張り処理が施され、クローズ時には「知らなければルーフが開くとはとても思えない」というほどに完璧な“クーペ・インテリア”を作り上げるこのルーフ・システムは、世界最大のサンルーフ・メーカーでもある独ベバスト社の手によるもの。開閉動作は電動油圧で行われ、必要とされる時間は双方およそ30秒。信号待ちの間に華麗に変身、というには些か時間が掛かり過ぎの感は否めないが、11個の油圧シリンダーを寸分狂わぬ順番で次々とコントロールして行くにはやむを得ないという事なのだろう。

わずかな速度でも走行中はシステムの動作をストップするというロジックを採用するのも、多数のジョイント部を有するこのシステムがいかに精密な制御を必要とするかを表しているかのようだ。見た目にもアクロバティックなルーフの動きの陰には、やはりそれなりの苦労が隠されているわけだ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

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