ボルボ C70 海外試乗レポート(3/3)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:ボルボ・カーズ・ジャパン
ボルボ C70 海外試乗レポート
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絶対化速力はどんなシーンでも十二分

ベースとされたS40/V50譲りの5気筒エンジンを特徴とするパワーパックを搭載する新しいC70のグレードは、ターボ付きの218hp 2.5Lエンジンを積む『T5』、自然吸気の168hp 2.4Lエンジンを積む『2.4i』、そして、基本的にはそれと同ユニットでありながらチューニング違いの138hpエンシンを積む『2.4』という3タイプ構成。日本市場に向けては今回テストドライブを行った『T5』に加え、「リーズナブルな価格を売り物とする『2.4』の導入も現在検討中」と言う。

ターボチャージャーの助けを借りて大トルクを発する心臓を積んだ『T5』の加速感はさすがに力強い。マウイ島のランドマークでもある標高3,000m超のハレアカラ山へと一気に駆け上がる山岳路でも、もちろん力不足などは微塵も感じさせない実力だ。

ベースとなる排気量が1.7トン級という車重に対して必ずしも大きくないため、時にターボラグがやや気になる場面も存在はするものの、「絶対加速力はどんなシーンでも十二分」と思えるのがこのクルマの動力性能でもある。

そんな心臓が発するノイズ面も含め、静粛性は期待以上という印象。中でも、3分割となる凝った構造のルーフ部分も含め、各部からのきしみ音なども一切耳に入らないクローズ時の静かさはまさに「高級クーペのそれ」という雰囲気がタップリのもの。すでに述べたように居住空間が予想以上に広くトランクルームにも十分実用的なスペースを確保するこのモデルは、かくして「これ一台でどんなシーンも快適に過ごせる」という実用性にすこぶる富んだものであるとも言える。

ただし、そうした“性能”を唯一スポイルしてしまいそうなのが開閉操作に大きな労力を要する左右のドア。横転時の機能性までを考慮したというインフレータブル・カーテンや前突時の強度を増すためのアルミ製ビームを内蔵するなど、ボルボが拘る安全性面でも重要な役割を担うこのドアだが、その一方でこうして基本的な開閉性に課題が現れているのはちょっと残念。特に、左右に大きく傾いた路面では、まずはドアを開きそして閉じるという段階で難儀をしてしまいそうだ。

従来型比で剛性が大幅に向上、と謳うボディが生み出すしっかり感は、なるほど「さすがは最新のモデル」と呼ぶに相応しいもの。とは言え、それでもポルシェ・ボクスターやBMW Z4など一級のオープン・スポーツに匹敵するほどではない感触。クローズ時には気にならなかったボディのシェイク感も、オープンにするとやはりわずかに認められる印象だ。

45%偏平の17インチ・シューズを履き、それに合わせてややかためられた足回りが生み出す乗り味は、「何とか“しなやか”という表現を使えるかな」といった仕上がり具合。それでも、長時間のドライブで嫌気がさしてくるような事のないのは、やはり前述のようにボディの剛性感がそれなりに高く、ボディに入力した細かな振動も短い時間のうちにカットをされてしまうという点が大きそうだ。

結局のところ、雨はもちろん毒虫が降って来る事もなかったマウイ島でのドライブ。が、それでもかなりの行程を敢えてルーフを閉じて走ってみる気にさせられたのは、「まずはこちらの状態からデザインを始めた」というクーペ状態でのルックスが見事に流麗であった事に加え、すでに述べてきたようにその快適性面も含めてのこちらの状態での走りというものが、すこぶる好印象であったためだ。

もちろん、オープン状態での走りが何とも爽快なものであるのは言わずもがな。4人乗りのオープン状態で気の合う仲間たちとワイワイ楽しむというのは、他のモデルではなかなかに経験の出来ない事。が、それにも増して、見ても乗ってもクーペ状態の完全無欠さというものがひと際印象に残る新型C70なのであった。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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