フォルクスワーゲン パサートヴァリアント V6 4MOTION 試乗レポート

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3.2L追加でラインナップ完成

パサートはフォルクスワーゲンのなかではフラッグシップとなるモデル。初代のデビューは1973年で、これは同社のメインモデルであるゴルフよりも1年早い。初代から先進技術を積極的に投入するなど、同社のイメージリーダーも兼ねてきた。

現行モデルは06年3月に日本デビュー。4ドアセダンとヴァリアントと呼ばれるステーションワゴンの2種類のボディバリエーションを用意している。

日本市場では先代パサートが販売台数の70%をワゴンが占めているなど、上級感のあるセダン/ワゴンとして知られている。

06年3月にフルチェンジし、6代目へと発展した。このときは2L、2Lターボ、3.2Lの3種類のエンジンを搭載するセダンと、2L、2Lターボのワゴンのラインナップだった。06年7月、3.2Lワゴンが追加になり、バリエーションが完成した。この4WDの高級ワゴンの実力をチェックしてみた。

ライバルの国産車より広く、装備も充実

ヴァリアントのボディサイズは全長がフォルクスワーゲン「マークIIブリット」や日産「ステージア」に近いものの、全幅はヴァリアントのほうが60mm広く、安定感のあるスタイリングと広い室内空間を実現している。

エクステリアの特徴は、クロームメッキを多用した大きなフロントグリル。V6 4モーションはグリル内の3本の横バーにもクロームが用いられている。

インテリアではフロントシートは12ポジションの調整ができるパワーシート、運転席はシート位置を記憶するメモリー装置を装備している。シートや内張りはソフトタッチのレザーを用いている。

また、ハンドル位置もヴァリアントのV6 4モーションは左ハンドルが選べるのも特徴だ。

装備ではバイキセノンヘッドライト、コーナリングライト、ヘッドライトウォッシャーも標準装備になっている。

路面状態が悪化するほどに真価を発揮

ヴァリアントV6 4モーションのエンジンは3.2LのV6の直噴ガソリンエンジン。250馬力のパワーと33.1kgmのトルクは、セダンのV6、4モーションと同じ数値になる。車両重量は1740kg。セダンの4モーションより80kg重い。

ミッションはVWグループが実用化した新世代トランスミッションのDSG 6速を装備している。シフトはセンターコンソール上のシフトレバーで行う。

Dレンジでスタートする。トルクは1200回転からあり、アクセルレスポンスもよい。

マニュアルミッションベースにした2ペダルATのDSGは、シフトダウンのときのエンジン回転計の針の動きに特徴がある。針の落ちにムダな動きがないのだ。

直噴エンジンは2500回転からやや音が高まるが室内への侵入は抑えられている。高回転域は6600回転まで上昇する。

4輪駆動の4モーションは路面状態が悪化するほどに真価を発揮してくれた。頼もしいシステムといえる。

高級車だが、お買い得なステーションワゴン

V6 3.2Lエンジンの4WDワゴンであるパサートヴァリアント V6 4MOTION V6 4モーションのライバルは、国産車では日産ステージア、スバル レガシィあたりだろう。この2車との価格差は約100万円だが、1台を長く乗る人には、決して大きい差ではない。とくにロングドライブの多いユーザーは、購入してから5年を経過すると、国産車ワゴンとの違いがわかるはずだ。

一方、このクラスの輸入車ワゴンとなるとメルセデス・ベンツ、BMW、アウディあたりだが、パサートのボディサイズはメルセデスのCとE、BMWの3と5、アウディのA4とA6のちょうど中間サイズになる。

そして価格だが、V6 3Lクラスのワゴンと比較すると100万円以上も安い。しかもパワートは4WDなのだ。

室内装備だって、その100万円高いワゴンと比較しても十分に揃っている。かなり買い得感の高いステーションワゴンといえる。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

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