フォルクスワーゲン ゴルフ GTI 試乗レポート

フォルクスワーゲン ゴルフ GTI 試乗レポート
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小さいながらも大きな影響力を及ぼした初代「GTI」。

フロントビューリアビュー

他メーカーのモデルにも“その記号”を冠したクルマはこれまで存在した。このグレード名は決してVWの専売特許には当たらないのだ。けれども、「GTI」と耳にした多くのクルマ好きが最初に思い浮かべるのは、やはりきっとVW車であるだろう。時は1976年。すなわち、今からもう30年近くも前のデビューと同時に「追い越し車線はメルセデスとBMWのもの」といったアウトバーンのヒエラルキーをたちまちにして粉砕。それを起源として、今や神格化されたにも等しいブランドバリューを確立させるきっかけとなった一台が、初代ゴルフGTIであった。

そんな初代ゴルフGTIは、しかし今振り返ってみれば決して驚くほどのスペックの持ち主であったわけではない。

搭載していたエンジンは、“わずかに”110psを発するに過ぎない1.6Lの2バルブSOHC式。ただし、キャブレーション・システムには当時としては先進的だった機械式のインジェクションを採用。GTIの“I”の文字は、その方式を示す頭文字であったとされる。全長/全幅はわずかに3730×1610mmだから、むしろ現在のポロよりもグンと小さいという値。驚くべきは車両重量でわずかに810kg。こちらは、現在の“スモーレストGTI”であるルポGTIよりも、さらに200kgほども軽かったのだ。

見分けがすぐつく外見と、わかるひとにはわかる内装。

インテリアフロントシート

そんな初代GTIからすると、まさに隔世の感を禁じ得ないのが日本にも上陸となった最新のゴルフGTI。何しろ、初代モデルからすればそのボディサイズは全長でほぼ50cm、全幅でも15cmと“ドカン”と大きい。もちろん、内外装の質感もベースのゴルフV同様に定評通りの高さ。「見た目はショボイが走れば凄い!」というのが初代ゴルフの特徴でもあったものだが、それを思うと最新のゴルフというのはやはり「名前は受け継いでいるが全くの別モノ」という意識を新たにさせられる。

外観上「GTI」と“普通のゴルフ”を見分けるのはたやすい仕事。何故ならば「GTI」のフロントマスクはご覧のように、フロントグリル部分をバンパー下部まで“U字型”にブラックアウトとし、一体化させた専用デザインであるからだ。

インテリアでまず目立つのは、サイド部分の張り出しの強いフロントの専用スポーツシート。スポーツモデルには一見不釣合いとも思えるファブリック部分のチェック柄に懐かしさを覚える人は、初代モデルの“それ”を知るそれなりの年配者(?)になりそう。ロゴプレート付きのステアリング・ホイールやアルミ製ペダルなどもこのグレード専用のアイテム。後述する“DSG”車用のシフトパドルは、「2005年秋以降にオプション設定の予定」と言う。

走行面は期待を裏切らない。

エンジン走り

まずは325.5万円という“普通のMT仕様”でスタート。ドアを開閉し、クラッチペダルを踏み込んでギアを1速位置に入れた時点で、「そうそう、「GTI」はこういう剛性感の高さが無くちゃね」と好印象を抱く人は多いはずだ。日本仕様のゴルフとしては初めての3ペダル車だが、右ハンドル仕様でもドライビング・ポジションに違和感はない。ヒール&トゥが楽勝で決まりそうなペダル・レイアウトは、いかにも「凄腕のテストドライバーが走り込みながら決めてくれた」という印象が嬉しいもの。一方で、太さや直径だけでなく断面形状まで部分部分で変わってしまうステアリング・ホイールは、個人的な好みには全く合わなかったが…。

加速時のパワーフィールは、1600rpm付近からのターボ付きエンジンらしいトルクの盛り上がり感が印象的。いわゆる“どっかんターボ”のような刺激性はないが、フルブースト時の強力な加速力は文句ナシだ。秀逸なのはフットワークの仕上がり。タイトターンでは「ちょっとノーズが重いかな」という感触を受けるシーンもあるが、ハンドリングとスタビリティを共に極めて高いポイントで両立させているのは、さすがは「GTI」の名に恥じない

購入予定者を悩ませる「DSG」の能力。

タイヤトランクルーム

一方、基本メカはMT同様ながら、クラッチ機構を2組用意してMT特有の加速の途切れを解消させたのが“DSG”。こちらの仕様は336万円と、前出MT仕様よりも10万円プラスのアップ。例えばのハナシ、左足ブレーキをマスターして左右のペダルを両足で使いこなせるとなれば、3ペダル式MT以上の自在なドライビング感覚を手に入れる事が出来るのもこちらのトランスミッションの大きな魅力。それがこの価格差で手に入るとなると……大いに迷う人も少なくないのではないだろうか。

ちなみにこの新しいゴルフGTI、もちろん居住空間やラゲッジスペースなどはオリジナルのゴルフと同様という高い実用性の持ち主。50~60km/h程度までを中心に「しなやか」とは表現のし難いややかための乗り味ではあるが、高速域での安定感とフラット感の高さは「さすがはアウトバーンの国生まれ」と素直に感心出来るレベルだ。ちなみに、同じパワーパックを搭載したより豪華仕様の「GTX」グレードと比較をすると、その乗り味は何故か明らかに「GTI」の方が洗練された印象が強い。無論、装備品の違いはあるが、それを差し引いて価格が逆転したとしても、ぼくだったら「GTI」の方を選びたい!

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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