＜最新情報＞果たしてライバルのスズキソリオに勝てるのか！？トヨタ新型ルーミー・タンク、ダイハツ新型トール、スバル新型ジャスティ【徹底解説】(2/2)

幅広いグレードに安全装備“スマートアシストII”を設定する中、ベストバイグレードは！？

安全装備は前述のスマートアシストIIを幅広いグレードに設定した（価格上昇は6万4800円）。

赤外線レーザーに単眼カメラを組み合わせて、危険を検知した時の警報は、車両については時速100km、歩行者は時速50kmを上限に作動する。緊急自動ブレーキは時速50kmが上限で車両に限られる。歩行者は警報のみだ。サイド＆カーテンエアバッグもオプションで装着できる（5万5080円／4万9680円）。

グレードを選ぶ時には、必ずスマートアシストII装着車にしたい。

標準ボディのトールX・SAII（ルーミー＆タンクX・S）は、左側スライドドアの電動機能などを備えて2WDの価格が152万8200円だ。ホンダフィット／日産ノート／マツダデミオなど、1.2～1.3Lエンジンを積んだ充実装備のグレードと同等になる。価格を安く抑えたいニーズに向いている。

装備の充実したG・SAII（G・S）は、15万6600円高まって168万4800円。右側スライドドアの電動機能やドアミラーのサイドターンランプが加わり、価格上昇に見合う装備が備わる。このグレードであれば車両の周囲をディスプレイに表示する機能とか、LEDヘッドランプもオプション装着が可能だ。予算に余裕があれば推奨したい。

カスタムG・SAII（カスタムG・S）は183万6000円。標準ボディの同グレードよりも15万1200円高いが、標準ボディでオプションとなるアルミホイール（4万3200円）、LEDヘッドランプ（6万4800円）、LEDフォグランプ＆イルミネーションランプ（2万1600円）が標準装着される。これらを合計すると12万9600円だから、内外装の変更は2万円程度に換算されるわけだ。

従ってカスタムも割安で、特に標準ボディに前述のオプション装備をいろいろと加えるなら、これらが標準装着されたカスタムを選ぶ方が得策だろう。カスタムは数年後の下取査定でも有利になる。

またターボは標準ボディとカスタムの両方に設定され、装備差を補正したターボの価格は約10万円だ。これも妥当な金額で、登坂路や高速道路では1000ccエンジンの力不足を効果的に補う。購入時には自然吸気とターボの試乗車を乗り比べて判断すると良い。

近々、本格的なハイブリッドを追加予定のスズキ ソリオにトール4姉妹は果たして対抗できるのか

それにしてもトール4姉妹車は、外観や車内の造りがスズキ ソリオに良く似ている。

同様のことがダイハツ タントカスタムとホンダ N-BOXカスタムなどにも当てはまり、限られたサイズの中で空間効率を追求すると自ずから似通った形状になるが、フロントマスクなどを含めて類似性がかなり強い。

トヨタとスズキは、先ごろ業務提携に向けた検討を開始しており、メーカー同士が接近しながら商品では争う構図になった。

あるいはトール4姉妹車の発売を前提に「スズキさんとはこれから仲良く提携するのだから、ウチがライバル車を発売しても怒らないでね」というメッセージだったのか!?

まあそんなことはないだろうが、今の錯綜する自動車業界を象徴する商品投入であることは確かだと思う。

残念なのはトール4姉妹車の概要を見る限り、1年以上も前に発売されたソリオを超えている機能がほとんどないこと。ソリオの1.2Lのマイルドハイブリッドは、1000kgを下まわる軽いボディと相まってJC08モード燃費が27.8km/Lに達する。排気量に余裕があるから動力性能もトール4姉妹車より高い。

ソリオの緊急自動ブレーキはカメラ方式だから、歩行者を検知して制動も行う。1Lターボの搭載はトール4姉妹車の特徴だが、ソリオも近々本格的なハイブリッドを追加する予定だ。装備の違いを加味した価格の割安感も同程度になる。

それでも軽自動車以外の新車開発が海外向けに偏る現状を考えると、トール4姉妹車の投入は注目すべきだろう。軽自動車に代替えするユーザーを小型車で食い止めたり、逆に軽自動車からサイズアップする時の選択肢に最適なことも、トール4姉妹車の特徴だ。

クルマ好きには関心の向きにくい商品だが、「便利に使える広くて実用的なコンパクトカーが欲しい」と考えるユーザーには、検討する価値の高いクルマとなっている。

[2017/3/31  編集部追記]