超小型電気自動車「COMS(コムス)」 発表会速報~セブンイレブンで宅配サービス用に大量採用~
- 筆者:
- カメラマン:オートックワン編集部 レポート:オートックワン編集部
大規模な三部構成で開催された超小型EVの発表会イベント
トヨタのグループのトヨタ車体は7月2日、1人乗り超小型電気自動車「コムス」を発表した。2000年より11年間に渡り生産されてきた初代「エブリデ-コムス」の後継モデルだ。折りしも、国土交通省が超小型モビリティの本格普及に向け動いているさなかでの発表だけに、記者発表会には多くの報道陣が集まった。
その注目度の高さを象徴するかのように、発表会も大規模な三部構成となった。通常の商品発表に加え、セブン-イレブン・ジャパンによる「コムス」を活用した宅配サービスの発表、さらには報道陣向けにミニ試乗会まで行われたのだ。
コムスが属するのは「第一種原動機付自転車(四輪)」のカテゴリー。原付のミニカージャンルに区分される。定員は1名、最大積載量は30kg。最高速60km/hまでOKで、原付2輪バイクのようにヘルメットや二段階右折は不要ながら、運転するには普通免許が必要で、シートベルト装着が義務付けられる。いっぽうで車検や車庫証明は不要、軽自動車税や自賠責保険も安く済むなど、経済性に優れる点も見逃せない。ただしこの点については今後、国が目指す「超小型モビリティ」の方向性がどう定められるかによって、大きな変化があるかもしれない。
そんな注目のニューモデル、トヨタの大型ショールームMEGA WEBで行われた盛り沢山な発表会の模様を、まとめてご紹介しよう。
「C」ちょっと「O」おでかけ「M」街まで「S」スイスイ
旧・アラコ(トヨタグループの車体メーカー、のちにトヨタ車体などに吸収)で造られた初代コムスは、シンプルで機能的なデザインが特長だったが、新型コムスは一転、なかなかにスタイリッシュないでたちで登場した。
発表会は、そんなスタイリッシュさを強調するかのように、2人の男女モデルのドライブするコムスが颯爽と登場しスタートした。
トヨタ車体の網岡 卓二 代表取締役社長はコムス(COMS)のコンセプトを、その名にかけて「Chotto(ちょっと) Odekake(おでかけ) Machimade(街まで) Suisui(スイスイ)」だとする。特に開発時に目指したのは、1.「環境に優しい街乗り車としての基本性能の充実」、2.「トヨタ車体ブランドとしての確かな品質」、3.「誰もが乗ってみたくなるデザインとお求めやすい安い価格での車両の提供」の3つだ。
トヨタ車体は、トヨタのいち子会社とはいえ、トヨタの主要ミニバンやハイブリッドカーのプリウス、SUVのランドクルーザー、ライトバンのハイエースにマイクロバス、さらには福祉車両までを生産する大規模な自動車製造メーカーで、トヨタとともに開発にも携わる。そのノウハウを生かし、新型コムスでは先代コムスがアルミフレームだったのに対し、自社のノウハウを生かせて、さらにコストダウンも可能な鋼製のラダーフレームの車体骨格とした。また原付ミニカーでは本来必要とされない衝突実験(時速32km/h・20マイルでの前面衝突)も実施し、十分な安全性を確保した。さらにはインバーターやメーターECUに至るまで自社開発を実施している。
価格は66万8千円から。補助金制度が利用出来るため、実質59万8千円から購入可能だ。全国のトヨタ・トヨペット・カローラ・ネッツの各店のうち約半数の140社2701営業所で扱われ、年間3000台の販売を目指す。
◎参考:
■トヨタ車体、超小型電気自動車『コムス』を発売[2012年7月2日]
セブン-イレブン・ジャパンが「コムス」を活用した宅配サービスを発表
第二部では、コンビニエンスストア最大手「セブン-イレブン・ジャパン」による記者発表が行われた。
流通業界でここ最近の流れと言えば、店舗の大型化だ。イオンやヨーカ堂などの郊外型大型ショッピングモールが全国でオープンする中、街の小規模店舗は年々減少している。クルマを利用して買い物が出来る世帯はいいが、交通弱者である高齢者世帯にとってはますます暮らしにくくなってきているのが現状だ。
今後さらに少子・高齢化が進んでいくと予想される中、セブン-イレブン・ジャパンはここに焦点を向けた。もともと小さな商圏をターゲットに「近くて便利」をウリにしてきたコンビニだが、これまでの「待ち」の商売だけではなく、「御用聞き」や「配達」にも乗り出したのだ。すでに食事宅配の「セブンミール」がスタートしているが、この5月からは500円以上の購入で配送料を無料化。そのため、急激に注文数を伸ばしている。高齢者に加え、仕事を持つ主婦層からも支持を集めているようだ。
そして今回、更なる宅配サービスとしてこの8月から「セブンらくらくお届け便」をスタートすると発表した。「セブンミール」では料理の宅配にとどまっていたが、セブンらくらくお届け便ではセブン-イレブン内のほぼ全ての食品や日用品などを配達する、いわば買い物の支援サービスへと進化する。その配送に一役買うのが、トヨタ車体の新型EV「コムス」なのだ。
100%電気自動車で環境に優しく、超小型のため店舗の駐車場に置いても邪魔にならない点や、車両リース料や燃料代がリーズナブルな点が高く評価された。
まず新型コムス200台を9月までに約200店舗へ先行導入し、実証実験を兼ねて検証。その後、2013年1月より順次本格導入していく予定となっている。
◎参考:
■セブンイレブン、業界初の「超小型EV」を使ったお届けサービスを8月上旬より開始[2012年7月2日]
超小型電気自動車「COMS(コムス)」に速攻試乗した!
さて第三部では、トヨタ車体の新型コムスに早くも試乗することが出来た。とは言っても、トヨタの大型ショールームMEGA WEBに併設する数百メートルの「RIDE ONE」試乗コースをわずか1周するのみだったのは残念。本来なら、混み合う街の混合交通の道路環境下での実用性も確かめてみたいところだが、今回は叶わなかった。
それでも、4輪独立懸架の乗り心地の良さや車体のしっかり感、十分な加速性能は十分に実感できた。定格出力0.59kWゆえ、それほどのトルク感はないものの、スムーズな加速感に加え、回生ブレーキが動作する減速時にも不自然な動きなど特に感じられない点も、何気ないことのようだが、新型コムスの完成度の高さを物語る。
また「超小型車」という言葉の響きから想像される室内の狭苦しさはなく、身長180cmの編集部員が乗車しても何の問題もなかった。シートはリクライニング機構こそないものの150mmのスライド機能が付いており、シート自体もシンプルながら大振りで、短距離移動ならこれで十分だと感じた。
コムスのラインナップは、個人ユーザー向けにキー付きトランクBOXを設け、車体を塗装したP・COM[79.8万円]と、ビジネス用途向けのB・COMに分けられ、後者は「ベーシック」[66.8万円]に加え、荷台付きの「デッキ」[73.1万円]、キー付きデリバリBOX付き「デリバリー」[77.3万円]の3タイプが用意される(※価格は全て消費税込み、補助金は含まず)。B・COMは白い材料色のままの車体が標準で、カラーリングはオプションとなる。
トヨタ車体 新型「コムス」主要諸元[P・COMグレード]
全長x全幅x全高:2395x1095x1500mm/ホイールベース:1500mm/駆動方式:1モーター デフ付き 後輪駆動/サスペンション形式[前]:マクファーソン式コイルスプリング/[後]:後端配置トーションビーム式コイルスプリング[4輪独立懸架]/ブレーキ方式:全輪油圧式ドラム/車両重量410kg/最小回転半径:3.2m/最高出力:5kW/最大トルク:250N・m/バッテリー:EV用密閉型鉛電池「12V-52Ah」x6個/最高速度:60km/h/1充電走行距離:50km程度(JC08擬似走行モード)/標準充電時間:6時間程度(気温20℃時:家庭用100v電源)/メーカー希望小売価格:79.8万円[消費税込み]
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