スズキ 新型SX4 S-CROSS試乗&解説|逆輸入のコンパクトSUVは日本市場で戦えるのか?(2/2)

スズキ 新型SX4 S-CROSS試乗&解説|逆輸入のコンパクトSUVは日本市場で戦えるのか?
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■乗り心地に安定性とスポーティ感を追加した新型SX4 S-CROSS

スズキ SX4 S-クロスの乗り心地と走行安定性は、マイナーチェンジにより変化した。

まず乗り心地は、改良前に比べると少し硬くなり、以前のSUVらしいゆったりと傾きながらカーブを曲がる柔軟性が薄れた。かつてのSX4 S-クロスの個性が弱まったともいえるだろう。

その代わりに走行安定性は向上している。カーブを曲がる時でもボディはあまり大きく傾かず、ハンドル操作に対して忠実に向きが変わる。乗り心地が硬めになった半面、危険回避時を含めて安心感が高まり、スポーティ感覚を強めたとも受け取られる。日本の道路環境では、混雑した街中など、車両の向きが少し機敏に変わった方が都合良い場面も多い。その意味では足まわりが日本向けに改善されたともいえそうだ。

ちなみにタイヤサイズは改良前と同じ17インチだが、改良後はエスクードと同じ215/55R17に変わった。指定空気圧は230kPaで以前と同じだ。空気の充填量が増えたが、足まわりが硬く感じるようになった。

【意外に広くて使いやすい新型SX4 Sクロスの内装】

居住性は改良前と同じだが、念のために触れておきたい。新型スズキ SX4 S-クロスの車内はコンパクトSUVでは広い部類に入り、大人4名で乗車する使い方にも適する。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は、エスクードが握りコブシ1つ半だがSX4 S-クロスでは2つ分が収まる。4名乗車時の居住性はSX4 S-クロスの方が快適だ。

後席が快適になった秘訣は、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が2600mmと長いことだ。前後席に座る乗員同士の間隔は、エスクードが774mm、SX4 S-クロスは814mmになる。つまりSX4 S-クロスには以前からファーストカーの素質があり、そこも視野に入れてフロントマスクのデザインを豪華に仕上げたと受け取られる。インパネは基本的にマイナーチェンジ前と同じだが、カーナビなどが収まる中央のパネルは光沢のあるピアノブラックになって質感を高めた。

>>スズキ 新型SX4 S-CROSS、改良された室内空間の詳細を画像でチェックする

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■安全装備は日本水準に達せず・・・

スズキ SX4 S-クロスで残念なのは、安全装備がまったく進化していないことだ。緊急自動ブレーキはいまだに非装着となる。 エスクードには車両のみを検知できるミリ波レーダー方式が備わり、このセンサーを応用して車間距離を自動制御できるアダプティブクルーズコントロールも採用したから、SX4 S-クロスは姉妹車的な間柄でありながら遅れている。

さらにいえば、今は軽自動車のスズキワゴンR/ハスラー/スペーシアなどにも、歩行者を検知できる緊急自動ブレーキが備わる。これらがまったく装着されないのは困る。

■スズキ SX4 S-CROSSを買うなら2WDと4WDどっち?

新型SX4Scross

新型SX4 S-CROSSのグレード構成は、2WDと4WDが各1タイプずつ。価格は2WDが206万2800円で、4WDの価格は227万8800円と、改良前に比べて2万円ほど値上げされた。

ちなみに、エスクードの1.6リッターエンジン搭載車は234万3600円だが、前述の緊急自動ブレーキを作動できるレーダーブレーキサポートII、アダプティブクルーズコントロールなどが備わる。アイドリングストップも備わり、1.6リッターエンジン搭載車(エスクードは4WDのみの設定)のJC08モード燃費は17.4km/Lだ。SX4 S-クロスよりも2.2km/L優れている。

SX4 S-クロスの価格はエスクードよりも6万4800円安いが、装備の違いを含めると、逆に1万円ほど割高になる。

安全装備がここまで乏しいと、推奨度も下がってしまう。フロントマスクにメッキを施すよりも、まず安全対策を優先すべきだ。 それを行ったことを前提に話をすれば、6速ATとの組み合わせによるダイレクトな運転感覚は、ホンダヴェゼルに比べると欧州車風に感じられる。また後席の居住性はCX-3よりも優れている。

趣味性と実用性を上手に調和させたので、独特の持ち味を発揮できるだろう。そうはいっても、まずは安全装備を充実させないと話にならない。今後のさらなる改良が待たれる。

[Text:渡辺陽一郎 Photo:島村栄二]

■スズキ SX4 S-CROSS 主要スペック(2017年マイナーチェンジモデル)

新型SX4Scross フロント周り

スズキ SX4 S-CROSS 主要諸元
駆動方式2WD4WD
新車価格2,062,800円2,278,800円
JC08モード燃費16.2km/L15.2km/L
乗車定員5名5名
全長4,300mm4,300mm
全幅(車幅)1,785mm1,785mm
全高(車高)1,595mm1,595mm
車両重量1,150kg1,220kg
ホイールベース2,600mm2,600mm
エンジン種類水冷4サイクル直列4気筒水冷4サイクル直列4気筒
使用燃料無鉛レギュラーガソリン無鉛レギュラーガソリン
排気量1,586cc1,586cc
エンジン最高出力86kW(117PS)/6,000rpm86kW(117PS)/6,000rpm
エンジン最大トルク151N・m(15.4kg・m)/4,400rpm151N・m(15.4kg・m)/4,400rpm
トランスミッション6AT6AT

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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