スズキ 新型 ソリオ DJE(デュアルジェットエンジン搭載車) 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正・オートックワン編集部
「デュアルジェット」と「エネチャージ」でクラストップの低燃費を実現
試乗したグレードは新型ソリオ「S-DJE」。前述の低燃費技術「デュアルジェットエンジン」「エネチャージ」を採用したことで、JC08モード燃費は25.4km/Lに達する。スイフトのデュアルジェットエンジン搭載車に比べて1km/L下まわるが、全高が1765mmに達するボディが生み出す広い室内を考えれば、十分に納得できるだろう。例えばホンダの「フィット 13G・Fパッケージ」(非ハイブリッドモデル)の数値も24.4km/Lだから、ソリオのデュアルジェットエンジン搭載車も燃費性能は相当に優秀だ。
動力性能は最高出力が91馬力(6000回転)、最大トルクが12kg-m(4400回転)。背の高いボディとの組み合わせでは動力性能の不足が懸念されるが、ソリオはボディが意外に軽く、S-DJEの車両重量は2WDなら1060kgだ。なので力不足はほとんど感じない。最大トルクの発生回転数は4400回転と少し高いが、1500回転付近でも相応の動力性能が発揮されて運転はしやすい。
ボディの軽さは走りの良さにも生きている
足まわりとタイヤの設定は、「ソリオ バンディット」を含めて全車共通。タイヤサイズは15インチ(165/60R15)を採用する。転がり抵抗を抑えたタイヤを装着し、指定空気圧は前輪が280kPa、後輪は260kPaとかなり高い。そのために乗り心地も硬めだが、指定空気圧の数値を考えれば納得できる。路上のマンホールのフタなどの段差を乗り越えた時のショックは、通常走行の乗り心地を考えると意外にマイルドだ。コスト低減を図りながらもサスペンションの動きは滑らかで、不快な突き上げ感を抑えた。
走行安定性と操舵感のバランスも良い。全幅は1620mmと狭く全高は1765mmと高いので、外観を見る限りは走りが心配になるが、操舵に対する反応の鈍さは感じない。背が高いので機敏に曲がるタイプではないが、自然な感覚で運転できる。後輪の接地性も優れ、背の高いボディが生み出す欠点を巧みに払拭した。
この背景にもボディの軽さがある。コーナーを曲がる時でも慣性の影響を過度に受けることがなく、コンパクトカーとして軽快なフットワークを得ている。
この記事にコメントする