スズキ MRワゴン Wit 試乗レポート/渡辺陽一郎(1/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
復活「MRワゴン Wit」
クルマの品ぞろえは、理屈では割り切れない。ボディサイズやエンジンの排気量など、機能が似通っていても、たくさん売るためにはデザインの違う車種が必要になる。
軽自動車は特にこの傾向が強く、ボディサイズも全長1395mmと全幅1475mmは、今では全車にわたって共通だ。空間効率の優れた車種が格段に高い人気を得ているので、全高も大半が1600mmを上まわる。この限られた条件の中で売れ行きを伸ばすには、機能は似ていてもデザインの異なる車種を造るしかない。そこに取り組んだこともあって、新車販売されるクルマの約40%が軽自動車になった。
スズキでいえばワゴンRが背の高い軽自動車の本流として1993年に投入され、外観と内装の異なる車種として、2001年に初代MRワゴンが発売された。この時点ではワゴンRが2代目だったので、内外装の質感はMRワゴンが明らかに上まわったが、その後にワゴンRも質感を高めている。2008年に登場した4代目の先代ワゴンRでは、さらに見栄えが向上してMRワゴンの位置付けが曖昧になった。
MRワゴンを「軽自動車サイズの高級車」に仕立てたら持ち味の違うクルマになるが、これは机上の空論。軽自動車では機能に対する割安感が重視され、質感向上の対価として価格を高めれば売れ行きが激減する。さりとて車種を減らせば販売総数が減る難しい状況に陥った。ダイハツも事情は似ていて、ムーヴに対するムーヴコンテの位置付けが曖昧。タントエグゼもタントのような個性を発揮できていない。
大人っぽい落ち着いた雰囲気を纏い、スポーティー路線と一線を画す
MRワゴンの標準ボディはフロントマスクが個性的。ラジエターグリルの開口部を薄くデザインして、軽く睨み付けるような雰囲気がある。
対するWitは、メッキを施したシルバーのフロントグリルが目を引く。ディスチャージヘッドランプの下側にはLEDポジションランプも装着されて上質な印象だ。
内装も従来の軽自動車とは雰囲気が異なる。シート表皮はレザー風の仕上げで、赤のパイピングで縁取りした。
インパネの基本デザインは標準ボディと同じだが、ステアリングホイールは赤のステッチが入る本革巻き。アイボリーとブラウンの2トーンによる内装色とも相性が良い。
ワゴンRスティングレーや、スペーシアカスタムといった軽自動車の上級シリーズは、いずれもエアロパーツを備えたスポーティー路線。
内装もブラック基調が多いが、この流れに対してMRワゴンWitには落ち着いた雰囲気がある。大人っぽい軽自動車を求めるユーザーにピッタリだろう。
居住性に変更はなく、ワゴンRとも基本的に共通だ。シートのサイズは前後席ともに余裕があり、リアシートの足元空間はかなり広い。上質な内外装と相まって、大人が4名で乗車する使い方にも適する。
シートアレンジは多彩で、リアシートのバックレストを前に倒すと座面も連動して下降。フラットで広い荷室に変更できる。リア側のスライド機能を含めて左右独立式だから、乗車人数や荷物の量に応じた融通も利かせやすい。このあたりの機能もワゴンRと同じだ。
メカニズムでは、標準ボディのMRワゴンを含めて、燃費性能を向上させた。JC08モードの数値は、マイナーチェンジを受けたワゴンRと同じでノーマルエンジンが30km/L、ターボが27km/Lに達する。MRワゴンはワゴンRと違って、今回の変更ではじめてリチウムイオン電池を用いた「エネチャージ」などの低燃費技術を投入している。従来型はノーマルエンジンが23.2km/L、アイドリングストップ付きのMRワゴンエコでも27.2km/Lだったから、燃料代の大幅な節約が可能だ。
こういったメカニズムについては、『スズキ ワゴンR 20周年記念車 試乗レポート/渡辺陽一郎[2013.7.29]』も参考にしていただきたい。
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