新型レヴォーグデビュー目前!スバル 歴代レガシィワゴンを振り返る(2/3)
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:SUBARU
スバルの安全神話を生んだ3代目
3代目は1998年に登場。消費が「本物志向」と「低価格志向」と二極化する中、レガシィは世界でも通用する「本物のブランド」を目指して開発が行なわれた。コンセプトは「レガシィを極める」だった。
先代に引き続き5ナンバーサイズを死守するが、ボディは新環状力骨構造の採用により、衝突安全性能は当時の格上モデルを凌ぐ成績を獲得。現在に続くスバルの安全神話を生んだ。ちなみにデビュー当初はステーションワゴンのみの設定で、セダンは半年遅れて登場。初代/2代目とステーションワゴンのヒットの影に隠れてしまったセダンのイメージを一新させるべく、B4のサブネームが与えられた。レガシィB4は、従来モデルよりもスタイリッシュなデザインや、ステーションワゴンと差別化されたグレード展開なども相まって、独自の人気を博した。
エンジンは基本的には先代を踏襲するが、2000年にグランドワゴンから改名されたランカスターに3.0Lのフラット6を追加。このエンジンは後にツーリングワゴン/B4にも設定された。シャシー関係はリアサスペンションをストラットからマルチリンクに変更された事が大きなトピックだ。ストラットタワーの張り出しを無くすことでラゲッジスペースの向上にも寄与しているが、メインは走りのレベルアップだった。
また、1999年に世界で初めて実用化したステレオカメラによる画像認識を用いた安全支援システム「ADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)」を設定。まさにアイサイトのご先祖さまと言えるデバイスだが、当時は安全に対する認識はそれほど高くなく、台数は伸び悩んだそうだ。
3ナンバーボディとなった4代目
4代目は2003年に登場。開発コンセプトは「走りと機能と美しさの融合」だ。ラインアップはステーションワゴン/B4に加えて、クロスオーバーSUVモデルのネーミングが北米向けと同じ「アウトバック」に改名。
3代目まで5ナンバーサイズを死守してきたが、4代目では全幅が先代+35mmとなり初の3ナンバーボディとなった。3ナンバー化には賛否があったが、スタイリッシュな内外装は歴代レガシィの中でも最も優れたデザインだと言う人も数多い。
その一方、世代交代の度に重くなっていった車両重量は、アルミや高張力鋼板の採用も相まって、先代比100kg近い軽量化を実現。更に全幅拡大によるステアリング切れ角向上で最小回転半径は逆に小さく、サイズアップによるデメリットは最小限に留められていた。
エンジンは2Lに「等長エキゾーストマニホールド」を採用。スバル独特の排気音は消えたが、燃焼効率の向上に加え、ターボモデルにはツインスクロール式シングルターボが採用され、水平対向の弱点と言われた実用トルクの細さや燃費性能についても大きく向上した。更に上級モデルにはスバル初の5速ATも搭載されている。また、2006年のビックマイナーチェンジではエンジン特性が変更可能な「SIドライブ」も設定された。
4代目レガシィはエンジンラインナップも豊富で、2Lや2Lターボ、3.0Lのフラット6に加え、モデル末期には4気筒の2.5Lターボも設定。更に欧州向けには2.0Lディーゼルターボも用意されていた。一部グレードには6速MTも設定された。
シャシーは先代を踏襲するが、軽量化に加えてGT系ではサスペンションアーム類に鍛造アルミパーツや新設計のビルシュタイン製ダンパーなどを採用。これらの効果によりハンドリングは更に向上した。その一方で、乗り心地の硬さが指摘されることもあったが、その辺りはスバルお得意の年次改良で最適化させている。特に2006年に行なわれたビックマイナーチェンジでは、車体側にも手を入れることで操縦安定性と乗り心地のバランス、更にはステアリング応答性も激変した。
また、安全支援システムは初期モデルにADAが設定されるも途中で姿を消すが、モデル末期にアイサイトへと進化して復活した。
4代目は歴代モデルの中でも最もロングライフとなったが、その実力はデビュー時から高く、2003-2004日本カー・オブ・ザ・イヤーも獲得(スバル車初受賞)している。
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