スバル インプレッサ WRX STI 試乗レポート(3/4)
- 筆者: 松田 秀士
- カメラマン:佐藤康彦/原田淳
スバルらしい“匠”のワザを感じさせる造り
見た瞬間に「おや?なんかどっしりとしてカッコイイ」と思った方も多いのでは?
実は、4ドア・5ドア共に車高が5mm下げられている。車高が低くなったということはロールセンターは5mmよりもさらに下がり、ロールモーメントが大きくなる。つまり、タイヤを押し付ける力が増大する。そのままではロールが大きくなるからスプリングとスタビでバネ剛性を約30%上げているのだ。
また、5mm下がったことでバンプ(縮み)側のサスペンションストロークも5mm減少するところだが、ストローク的に厳しいフロントのスプリングの形状を変え、フルバンプしたときにスプリングが折り重なるようにして5mmストロークを増やし、差し引きゼロにしているのだ。
このあたり、スバルらしい匠のワザを感じさせる。
そして、ショックアブソーバーの減衰力も変更している。バンプ(縮み)側を弱くして、リバンプ(伸び)側を強くしている。しかし、これは乗り心地をカバーするための処置ではない。あくまでもSTIモデルは走りに特化することを目指していて、テストの結果を見ての変更なのだ。
また、フロントサスペンションのロアアーム後ろ側の車体との接続点にピロボールブッシュを新採用している。このフロントロアアームはアルミ鍛造製。つまり、軽量かつ剛性が高い。
また、ピロボールはレース用車両などのサスペンションに使われるパーツで、ゴムブッシュマウントのように遊びが極めて少ないからダイレクト感が増す。デメリットは振動や騒音が入りやすくなることだ。
さらに、サスペンションとボディを繋ぐポイントに使用されている前後のブッシュ類も形状と強度を変え、横方向や前後方向からの入力に対して剛性をアップしている。Aラインも6速MTモデルに準じた変更となっているが、サスペンション剛性はよりコンフォートな方向へと落とされている。
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